第10話 リアの秘密

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こちらに頭から書き直している加筆修正版を連載しております。

【B.A.L.A.D(バラッド)】

https://kakuyomu.jp/works/16818792437319819876

よろしければこちらもご覧ください。

================================================= 迎えを頼んでいなくてもリアはいつも迎えに来てくれる。


 あまり能力を使っていなかったので頭痛は堪えられないほどではない。これほど軽度で済むのは久しぶりだ。


 今回の襲撃に思うところはあるが、どうせパイロットまで情報は下りてこない。いつものことだ。


 ヘレナの診察を耐え、リアと一緒に部屋に戻る。


 普段と変わらないように見えるリアだが、きっと次の一言で変わってしまう。


 だが、私たちの日常は明日も続くか分からない。


「夜、どこに行ってるの?」


 リアの笑顔が引きつった。


「だから、具合が悪かったから医務室に……お姉ちゃんが心配しないように……」


 答える途中でリアの目から涙がこぼれた。リアをそっと抱きしめる。


 世界で唯一の家族。今まで一緒に生き抜いてきた。嘘が通用しないことはお互いに分かっている。


「みんなお姉ちゃんが居なくなった方がいいって人たちばかりだから……代わりにお姉ちゃんが危なくなったらちゃんと助けてくれるって……」


 リアの身体にダミアンやアレックスの汚らわしい手が伸びているのを想像する。


 全身から一滴残らず血液が抜けていくような脱力の後、頭の芯に痛みを超えた熱が生まれた。その熱は白色矮星のように重く青白く光っている。


「あいつら、殺してやる……」


 部屋を出ようとする私の腕を、リアは掴んだ。


「いいの……やめて」


「リア?」


 リアの力が弱くなる。


 背後から突然銃口を突き付けられたような、ひやりとした恐怖を感じた。


「……お父さんとお母さんのところに行こう。もう堪えられない……」


 頭の奥に生まれた熱の一切が、跡形もなく消え去った。

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