第17話 四川風麻婆豆腐
「そう、それならいいんだけど……」
この世界、貴族はやべー連中という意識で庶民の間では統一されているからな。
何しろ意味不明な税金ばかり作って生活を圧迫してくるから、ここみたいな辺境の村なら監視の目は少ないが、人口1000人を超える町とかになると、煩過ぎるまである。
何事にも金・金・金という税金だし。
なのでリリカが心配になるのも分からなくはない。
「今日は、お前もルイとカイも薬草の搬送に来なかったけど何をしていたんだ? 村長から、家から出るなって言われていたって事は――」
「私は、お母さんにも家から出るなって言われていたの」
「ふむ……」
あのアリエさんが家から出たら駄目だと言っていたのなら、もしかしたら来る役人が何かを仕掛けてくると警戒したのかも知れないな。
何しろ処女税や結婚税までもが存在しているのだ。
現代日本で暮らしてきた俺からしたら到底納得できない税すら存在する。
「まぁ、とりあえず今後のことを考えるとルイとカイにも聞いた方がいいかもな。あいつらは幸い男だから、リリカの事を含めて考えたら役人に何か目的があったとしても、その目的に推理で近づくことはできるかも知れないし」
「そうだね。それにしても、カズヤって、いっぱいと色々なことを知っているんだね」
「そうか?」
「うん。だって算数だって出来るし……。私、二桁の計算もできないから」
「――なら、今度、勉強を教えてやろうか?」
「え!? ――ほ、本当?」
「もちろんだ。算数というか数学は、そこまで難しい物じゃないからな。ただ、いまは借金返済のために頑張らないといけないから、それが終わってからになるけど。それでもいいか?」
「ありがと、カズヤ。約束ね」
「ああ。約束だ」
ようやく笑顔を見せたリリカが村の方へと戻っていった。
それにしても家から出ないようにとアリエさんと村長から念押しされていたという部分が気になるな。
今夜あたり、闇夜に紛れて村長の家に盗聴器でも仕掛けておくとするか。
どうも村に戻ってきてからの村長の動きが怪しいからな。
「ねえ! カズヤ!」
「お、おう!?」
去っていくリリカの後ろ姿を見ながら一人思考していると自宅のドアが開き、ワンピース姿のティアが出てきた。
連日、お風呂に入っていること。
それは温泉水だということもあり、かなりの美少女に進化している。
「ど、どうかしたのか? それより、ただいま」
「おかえりなさい」
あれ? 少し、言葉が流暢になっている気がするな。
「ごはん!」
「ああ。お昼ご飯にするか」
家に入り台所へ。
浴槽とドラム缶風呂が出したままだったので無限アイテムボックスに全部収納する。
「さて――、たまにはきちんとした料理でも作るとするか」
「何を作るの?」
「聞いて驚け。麻婆豆腐だ。しかも四川風だぞ」
「それ辛いやつ!」
「ああ。辛いやつだな……ん? 何で、ティアはエルフなのに四川風麻婆豆腐が辛いって知っているんだ?」
「んーんんんん! んんんんんっーっと! わかんない!」
「そっか、わかんないか」
この不思議ちゃんエルフは、嘘を言っているようにも誤魔化しているようにも見えないから発言から何を考えているのか深読みができないんだよな。
俺はガスコンロを二つ、アイテムボックスから取り出し、10キロのお米と追加で四川風麻婆豆腐の元や、フォアジャオと豆腐を追加購入しておく。
土鍋に無洗米の米を入れたあと、通販スキルで購入した水のペットボトルで規定値まで水を淹れてからガスコンロの火をかける。
「おー。本格的なの!」
「まぁ、いつも総菜とかレトルトばかりだと飽きるからな。栄養バランスから体に悪いし」
ティアの問いかけに答えながら、通販スキルで購入した中華鍋に四川風麻婆豆腐の元を投入。
日本食品産業が作った麻婆豆腐の元だが、これがうまいんだ。
あとはお豆腐を切って、麻婆豆腐の元と一緒に煮立たせてから、水でといだ片栗粉を入れて、しばらくガスコンロの火で鍋ごと炙ったら完成だ!
「よし! あとは花山椒フォアジャオをかけて完成と! さて出来た!」
テーブルセットの上に二人分の四川風麻婆豆腐と、土鍋で炊いた白米をおく。
「ティア。ご飯にしよう」
「待ってたの!」
すでにスプーンを手に待っていたティアは、さっそく四川風麻婆豆腐を口に入れた。
「おいしいの! このピリ辛がいいの!」
「そっか。ほら、ウーロン茶だ」
俺から受け取ったウーロン茶を時折飲みながらティアは四川風麻婆豆腐と白米を食べ進めていく。
それを見て、俺も口にするが――、
「10年以上ぶりに作ったが、やはり日本の食品産業は強いな」
素人が作っても美味しく作れるように出来ているのは本当に素晴らしい。
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