第11話 新メニューと調味料
炊き出し部隊と共に貧民街に着いたナギサ。
(貧民街子供:女)
あっ、女神様だぁ!
(ナギサ・カンナ)
今日は来たよぉ〜。
(貧民街子供:男)
女神様、俺、明日討伐行くんだ。
(ナギサ・カンナ)
そうなん?何討伐するの?
(貧民街子供:男)
ファイアベアなんだ。
それでなんだけど、助っ人してくれないかな?
(ナギサ・カンナ)
うーん、どうしようかな……
(貧民街子供:男)
銀貨6枚でどう。
(ナギサ・カンナ)
パーティー?
(貧民街子供:男)
いや、単独なんだ。
一回挑戦したくて。
(ナギサ・カンナ)
そっかぁ……じゃあ断る。
(貧民街子供:男)
なんで!
(ナギサ・カンナ)
クエストはね、必ず成功するから受けるんだよ?
でないと、クエスト不達成は依頼人に迷惑がかかる、それがたとえギルドでもね。
挑戦もいいけど、それで命を落としたらダメだ、もっとしっかり準備しないと。
勝てるかもじゃダメなんだ、勝つが基本、理想は楽勝だよ。
(貧民街子供:男)
そっかぁ……
(ナギサ・カンナ)
まぁ、そう言ってもやりたいんでしょ?
銀貨6枚で引き受けよう。
その代わり、死んでもしらない、それで良い?
(貧民街子供:男)
死んでもしらない……かぁ……
(ナギサ・カンナ)
骨も帰ってこないよ、危ないと思ったら、その場に置き去りにして逃げるから。
(貧民街子供:男)
うっ……
(ナギサ・カンナ)
どうする?
(貧民街子供:男)
やめとく……
(ナギサ・カンナ)
懸命だ。
なら行くか。
(貧民街子供:男)
えっ?
(ナギサ・カンナ)
諦めきれずに、抜け駆けするのが怖い。
なら、一回挑戦するのも良い経験になる。
(貧民街子供:男)
はい!
翌日、ナギサは貧民街にやって来る。
(貧民街子供:男)
女神様!ホントに来てくれたんだ!
(ナギサ・カンナ)
約束したでしょ、準備は出来た?
(貧民街子供:男)
はい!
(ナギサ・カンナ)
じゃ、行こうか。
(貧民街子供:男)
はい、女神様!
ナギサは連れ立って、ファイアベアの討伐に向かう。
男の子は必死に周りを警戒しながらファイアベアを探す。
しかし、肝心な事を見落としていた。
探すのに夢中になって、巣穴に近づいている事を気づいてない。
いくら周囲を警戒しても、単独で巣穴に近づくのは無謀だ。
(貧民街子供:男)
あっ……
(ナギサ・カンナ)
もっと注意しなきゃ。
(貧民街子供:男)
あれって……
(ナギサ・カンナ)
巣穴だよね。
痕跡が多いって事は、近くに居る。
でも、多すぎると数が居る、すなわち巣穴の可能性もあるって気づかなきゃ。
で、どうする?
(貧民街子供:男)
一旦撤退して、単独になったファイアベアを狙う。
(ナギサ・カンナ)
妥当な判断だ。
(貧民街子供:男)
じゃあ、撤退。
しかし、そう簡単にはいかない。
ファイアベアの唸り声が聞こえる。
(貧民街子供:男)
ヤバい……かも……
(ナギサ・カンナ)
落ち着いて索敵してみよう。
索敵する男の子。
(貧民街子供:男)
左にいるから、右から回り込むね。
(ナギサ・カンナ)
分かった。
(貧民街子供:男)
今度はまた左と……正面にも居ます、右に行きます。
(ナギサ・カンナ)
うん。
上手くかわしているように見えるが……
(貧民街子供:男)
あれっ?巣穴……別の巣穴かな?どうしよう……
(ナギサ・カンナ)
なんで別だと思う?
(貧民街子供:男)
だって、こんなに動いたんです。
最初の巣穴からは離れているはずです。
(ナギサ・カンナ)
"はず"じゃダメなんだ、"絶対"じゃなきゃね。
(貧民街子供:男)
うーん……
(ナギサ・カンナ)
じゃあ、地面に書いてみよう。
最初から行くよ。
(貧民街子供:男)
はい、えーっと、最初は右、で次は右、で……あれ?
(ナギサ・カンナ)
どう思う?
(貧民街子供:男)
最初の位置に戻ったっぽい。
(ナギサ・カンナ)
ぽい?
(貧民街子供:男)
いえ、えーっと……
(ナギサ・カンナ)
こういう事もあるから、何か目印を付けとかないと。
魔法が使えないならなおさらね。
(貧民街子供:男)
はい!
(ナギサ・カンナ)
で、もっと重要な事に気づかないと。
(貧民街子供:男)
えっ?えーっと……
(ナギサ・カンナ)
どうしてこうなったのかな?
(貧民街子供:男)
えーっと、ファイアベアを避けて……えっ?……
(ナギサ・カンナ)
囲まれたよ?
(貧民街子供:男)
そ、そんな……
(ナギサ・カンナ)
だから言ったでしょ?無謀な挑戦は死ぬって。
(貧民街子供:男)
ひっ!女神様(涙目)
(ナギサ・カンナ)
頑張れ、死んでも知らないって言ったよね。
(貧民街子供:男)
いっ、嫌だっ!死にたくないっ!(半泣)
(ナギサ・カンナ)
なら、生き延びようか、必死に逃げて。
(貧民街子供:男)
はい(涙目)
それからやり過ごしながら、逃げるんだが……
(貧民街子供:男)
クソッ!
ついに対面した。
必死に倒そうとする男の子。
(貧民街子供:男)
うわっ!っうぅ……
怪我を負ったがまだ軽傷だ。
ところが……
(貧民街子供:男)
あっ!逃げるな!待てぇ〜!
そのファイアベアを追いかけた男の子。
(ナギサ・カンナ)
やれやれ(ため息)
後を付いていくナギサ。
すると、男の子が震えていた。
(貧民街子供:男)
なんで……1頭だったのに……
そこには2頭の仲間のファイアベアが居た。
これで、3対1、しかもファイアベア初討伐、詰んだ。
(貧民街子供:男)
ど、どうしよう……
(ナギサ・カンナ)
死ぬ気で頑張れ、でないと死ぬよ。
(貧民街子供:男)
女神様ぁぁぁっ!
ナギサは木の上に避難する。
男の子はどうしていいか分からなくなって、オロオロしている。
そこへファイアベアが襲いかかってきた。
(貧民街子供:男)
ひいぃぃぃっ!!(涙)
腰を抜かした男の子、ファイアベアの一撃で首が飛んだ。
(ナギサ・カンナ)
やっぱりなぁ。
【アースバインド】
【アースアロー】&【ライトニングプチ】
3頭を瞬殺したナギサ。
(ナギサ・カンナ)
さてと、反省会だな。
【リボーン】
男の子が生き返る。
(貧民街子供:男)
うわああぁぁぁっ!!あ?
(ナギサ・カンナ)
落ち着こうか。
しかし、まだ震えて訳が分からないという感じだ。
(ナギサ・カンナ)
しっかりしようね、冒険者なんだから。
【魂魄】
(貧民街子供:男)
はぁ……はい。
(ナギサ・カンナ)
じゃあ、反省会しよう。
なんで死んだのかな?
服見たら分かるよね?
(貧民街子供:男)
えーっと、はい、首ですか?
(ナギサ・カンナ)
正解、ファイアベアの一撃で首が飛びました。
(貧民街子供:男)
女神様が生き返らせてくれた?
(ナギサ・カンナ)
そうだね、これが単独だったらどうなってた?
(貧民街子供:男)
死んだままで終わってた。
(ナギサ・カンナ)
じゃあ、なんでそうなったかな?
(貧民街子供:男)
えーっと、探索に夢中になって、巣穴まで行ってしまった。
それで、撤退する時、目印を付けていなかったから、追い込まれて囲まれた。
なんとか逃げようとしたけど見つかって、戦闘になった。
それで……
(ナギサ・カンナ)
逃げたから追いかけたと。
(貧民街子供:男)
はい。
(ナギサ・カンナ)
なんで逃げなかったのかな?
相手は逃げた、ならチャンスじゃなかったの?
勝てないから、相手は仲間のいるところに逃げたかもとは考えなかったのかな?
(貧民街子供:男)
あっ!
(ナギサ・カンナ)
今、何やってるか、しっかり考えないと。
撤退なんだから、チャンスがあれば逃げないと。
熱くなったら負け、今みたいに死んじゃうよ?
(貧民街子供:男)
そうか……ボクは撤退してたんだ、戦ってる場合じゃなかった……
(ナギサ・カンナ)
戦闘は最小限、逃げて生き延びないと。
(貧民街子供:男)
はい、分かりました。
(ナギサ・カンナ)
勉強になったね、忘れちゃダメだよ。
で、3頭のファイアベアはこれ。
ナギサが"ストレージ"から出した。
(貧民街子供:男)
ひっ!(真っ青)
(ナギサ・カンナ)
そんな事を言ってると、ファイアベアが6頭来た(ニヤッ)
(貧民街子供:男)
そんな、死んじゃう(涙目)
目の前に現れた6頭のファイアベア。
(ナギサ・カンナ)
見てて。
【アースバインド】
【アースアロー】&【ライトニングプチ】
瞬殺したナギサ。
(貧民街子供:男)
凄い!女神様。
(ナギサ・カンナ)
今回みたいな場合は、確実に勝てるから狩った。
でなかったら意味ないよね。
(貧民街子供:男)
はい!分かりました。
(ナギサ・カンナ)
では帰ろうか。
その前に……
【クリーン】
【リペア】
男の子の服が綺麗になり、真っ新になる。
(貧民街子供:男)
ありがとうございます、女神様。
そしてギルドに戻った。
討伐部位の牙を換金するが……
(ギルド職員:女)
え?……9頭??
(貧民街子供:男)
女神様が討伐してくれたんだ、凄いんだよ!(輝く目)
ナギサは皮は換金したが、あえて肉と骨は回収した。
(ギルド職員:女)
換金しないのですか?女神様……
(ナギサ・カンナ)
うん、皆んなでこれから食べるんだよ。
骨は良い出汁が出る。
内臓も回収したのは、しっかり下処理したら食べれるんだよ。
(ギルド職員:女)
そうなんですか!
(ナギサ・カンナ)
後でこっそり差し入れするよ。
(ギルド職員:女)
ありがとうございます!
そういうとナギサと男の子は貧民街に戻る。
(貧民街住民:男)
おい、どうだった?
(貧民街子供:男)
全然ダメ、死んじゃったし。
(貧民街住民:男)
は?
(貧民街子供:男)
ファイアベアに殺されたけど、女神様に生き返らせてもらったんだ。
もう無茶な挑戦はしない。
あんな目に合うのはこりごり。
(貧民街住民:男)
ま、まぁ、そうだろうな……
ナギサは料理の準備をする。
(貧民街住民:女)
あのう、女神様?
(ナギサ・カンナ)
今からファイアベアを使って料理を作ります。
9頭分あるので、皆さんで食べましょう。
(貧民街子供達)
やったぁ〜!!
ナギサは肉は焼き肉にし、内臓は骨で取った出汁をベースに煮込み鍋にした。
(貧民街子供:女)
女神様ぁ、これ何ぃ?
(ナギサ・カンナ)
これはねぇ、"食べられる内臓"を使ったスープだよ。
(貧民街住民:女)
食べられる内臓なんてあるのかね?
(ナギサ・カンナ)
ありますよ。
ただ、新鮮な上、しっかり下処理しないと食べられませんけどね。
そう言うと、料理を作り上げた。
(ナギサ・カンナ)
皆さぁ〜ん!できましたぁ!食べましょう!
(貧民街子供達)
やったぁ〜!!
皆、焼き肉に群がる。
(貧民街住民:男)
肉だ!クズ肉じゃねぇ!(嬉)
(ナギサ・カンナ)
骨で出汁をとって、小間切れ肉と内臓を使ったスープもあります、食べてみてください。
(貧民街住民:女)
言ってたやつだね、どれ、いただこうかな。
(ナギサ・カンナ)
はい、どうぞ。
(貧民街住民:女)
!!美味しい!!内臓って、しっかり調理すれば、こんなに美味しいのかい?
(ナギサ・カンナ)
そうなんです、私の好きな料理でもあるんですよ。
(貧民街住民:男)
女神様がゴミ……いや、今まで捨ててた内臓なんて食うのか?
(ナギサ・カンナ)
美味しいでしょ。これ、焼いても美味しいんですよ。
(貧民街住民:男)
たしかに美味ぇ〜、初めて食べる味だ。
この歯応えがクセになる。
(ナギサ・カンナ)
それも醍醐味のひとつですよ。
(貧民街住民:男)
なるほどねぇ。
(貧民街住民:女)
新鮮でかつ念入りに下処理ね。
(ナギサ・カンナ)
はいそうです。
古いとお腹壊しますし、念入りに下処理しないと臭くて食べられません。
でも、それさえ守ればこんなに美味しくなるんです。
(貧民街住民:男)
流石女神様だ、よく知ってるな!
(貧民街住民:女)
アンタ!失礼だよ!!
(ナギサ・カンナ)
あはは、気にしない(笑)
食事会が終わった。
(ナギサ・カンナ)
じゃあね。
(貧民街子供:男)
はい、女神様!
(貧民街子供達)
女神様、まったねぇ〜!!
その後、男の子の母親に依頼料を全額渡す。
(貧民街住民:母親)
女神様、これは……
(ナギサ・カンナ)
内緒です、お子さんの将来の為に使ってください。
(貧民街住民:母親)
女神様(潤んだ目)
それからギルドに顔を出す。
(ギルド職員:女)
女神様!
(ナギサ・カンナ)
内緒だよ。
そう言うと、内臓煮込みを渡す。
(ギルド職員:女)
美味しそう、良い匂い♡
そう言うと一口食べた。
(ギルド職員:女)
!!何これ、美味しい!歯応えも変わってる!!
それから、しっかり説明した。
(ギルド職員:女)
ギルドでも扱いたいんですが、良い方法は無いですかねぇ……
(ナギサ・カンナ)
"ストレージ"は?
使えない人には"ストレージ"を付与した小箱を貸すとか。
(ギルド職員:女)
うーん、しかしお値段が……
(ナギサ・カンナ)
有料で貸せば?安く設定して、皆が使えばそのうち元が取れる。
内臓料理も売れば良いじゃん。
(ギルド職員:女)
しかし、作れる人が……
(ナギサ・カンナ)
作りましょうか?
(ギルド職員:女)
えっ?
(ナギサ・カンナ)
作れますよ、幾つ要ります?
大きさは決めてください。
(ギルド職員:女)
分かりました。
(ナギサ・カンナ)
滞在期間がありますから……
(ギルド職員:女)
今日中に用意します!
ギルドを後にするナギサ。
2時後、教会に持ち込んできた。
(ギルド職員:女)
よろしくお願いします!
(ナギサ・カンナ)
はーい。
片っ端から"ストレージ"を付与していくナギサ。
付与するだけだから早い早い。
(ナギサ・カンナ)
ほい、出来た。
また要ったら言ってね。
(ギルド職員:女)
ありがとうございます!
大喜びで帰って行ったギルド職員達。
後にお布施が届いたが、断ると、ならばと契約をと言ってきた。
レンタル料と料理の売り上げの2割を納めるという事で契約し、定期的に教会に収入が入るようになった。
ナギサの狙い通りだ。
お布施と事業の区別をつけ、教会も事業をするという事を周知させた。
その費用はお布施と同じく、有事に向けての備蓄や炊き出しなどの福祉活動の資金となる事も公開した。
以前の干ばつ時に、教会の救済を経験しているだけに、だれも文句を言わなかった。
また、教会の土地に家庭菜園を作り、野菜の栽培を始め、それも炊き出しに使った。
野菜は買える為、香辛料の栽培に力を入れて、炊き出しの味付けに使った。
ナギサは、出来るだけ使えるようにと魔法の開発に取り掛かる。
(ナギサ・カンナ)
取っても取っても実る魔法って無いかなぁ……
(専属お世話係 ケイン)
神話の世界ならありますよ。
ただし、それで怠惰になり、また儲けようと取り合いになり、戦争になって神罰が下り、最高の慈悲を失う話です。
(ナギサ・カンナ)
そこまでいかなくて良いから、香辛料に特化して、炊き出しと自分達の日常に困らない程度が出来ればいいんだ。
味噌、醤油の作り方も教えるし、砂糖の作り方も。
海に近い教会では"塩"の作り方を教えて、教会内で使えるように融通できるようにしたり。
(専属お世話係 ケイン)
そんな事できるんですか?って、味噌と醤油ってなんですか?
(ナギサ・カンナ)
まぁ、やってみよう。
そう言うと、ナギサは調味料の作成に入った。
味噌と醤油は時間がかかるので帝都で作り、成功してから各教会に技術者を派遣した。
塩は海沿いにある教会で作り、各教会に運び込んだ。
砂糖は、教会の農園で"てん菜"を育て、作った。
どれもゴミが入っていなかった為、周りが驚愕した。
貴族達が売ってくれと教会に殺到したが、女神様に相談すると追い返した。
そして、味噌、醤油が出来上がると、また殺到した。
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