第4話 旅立ちの風と、黒き影
--風の祠を後にした春樹とリリィは、南東に位置する交易都市-《ミスレーア》を目指して歩いていた。
「この先、旅えお進めるためには”星の台座”の情報が必要です。その鍵えお握るのは、”記録の民”--エルディアの司書族でしょう」
「記録の民って……風の民とは違うのか?」
「はい。レアルトには、私たち風の民以外にも多くの”古種”が存在しています」
◆レアルトに生きる主な種族たち◆
・風の民(アーエル)
風と精霊に愛され、気配と気流を読む力を持つ。祠や遺跡の守り人を務める。
・記録の民(エルディア)
かつて”知識の樹”と呼ばれた大図書館に住む、高い知識と記憶力を持つ一族。魔法理論や古代語に精通。
・炎を宿す者(ヴォルカン)
地下都市に生きる戦士種族。剣術と鍛冶の力に優れ、戦争時代は前線の要だった。
・水の従属民(リュナス)
水辺に暮らし、癒しと予知の力を持つ。感情に敏感で、心を読まれるとされる。
・無属の民(ナスロス)
どの属性にも属さない、流浪の民。多くは傭兵、盗賊、商人として世界を渡り歩く。
「種族だけじゃないんだ。魔法も、種類があるのか?」
「ええ。レアルトの魔法は”属性(エレメンタル)”と”系統(アーク)”に分類されます」
◆レアルトのおける魔法システム:<属性>と<系統>
・属性(エレメンタル)
魔法は6つの基本属性に分類される。風、炎、水、土、光、闇。
・系統(アーク)
それぞれの属性に、3つの系統魔法が存在する。たとえば、風属性の場合:
-動風術(ドライブウィンド):移動・速度・推進に特化
-断風術(カッティングウィンド):攻撃・斬撃・圧力を生む
-導風術(ガイディングウィンド):感知・追尾・導きを行う
「すげぇ…てことは、魔法って、属性×系統で使い分けるんだ」
「ええ、そして”発動媒体”が必要となります。私たち風の民は”詠唱”と”精霊の契約”を使いますが、他種族では魔導具や呪符を使う者もいます」
春樹は腰につけた鍵を見つめた。
「これ…じいちゃんの鍵は、発動媒体ってこと?」
「そうです。貴方の魔法の”起動点”になります。ただし--」
リリィは足を止め、木の根元に指をかざした。
「実演したほうが早いですね。見ていてください」
リリィが低く呟いた。
「断風術・第一式--《刃の
空気が鋭く振動し、木の根元がスパッと切断された。
「こ、これが……!」
「魔力回路を開き、属性と系統にアクセスすれば、誰でも使えるようになります。……春樹さん、貴方も試してみますか?」
「やってみる!」
春樹は鍵を両手で握り、リリィに教わった通り集中する。イメージは”風を操る”こと。祖父の声が、ふと頭の中で響いたような気がした。
『風は目に見えぬが、常にそこにある。恐れるな、感じろ』
「……断風術・第一式……《刃の
--ブゥン!
風が腕を走り、目の前の葉が一瞬で舞い散る。かすかに、木の幹が裂けていた。
「やった……!」
「初めてにしては上出来です。属性との親和性も高いですね。やはり、風間時蔵様の血が--」
その時。
「……ようやく見つけたぞ。継承者」
背後の茂みから、黒いローブをまとった男が現れた。顔は画面で覆われ、右手には歪んだ杖。
「”黒衣の者”……!」
「時蔵の遺産は我々のものだ。この世界の循環など、もはや幻影に過ぎぬ。”継承の風”は、ここで断たれるべきだ」
「下がって、春樹さん!」
リリィが前に出る。風が彼女の周囲に渦を巻いた。
レアルトに広がる魔法と種族の網、そしてそれに干渉する”黒き意志”。
春樹の前に、初めて”敵”が姿を現した。
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