第10話 韓信と項羽さんが、呂布の味方についた結果がこちらです
呂布の殺気に満ちた罵倒が劉邦に降り注ぎ、関羽と張飛が必死に呂布を羽交い締めにしている中、ある一人の男─韓信─は、冷たい目で劉邦を見下ろし、呂布に命令を下した。
韓信: 「呂布殿! 構うことはありません! 殺れっ!! その『恩知らずの臆病者』を、今ここで討ち果たしてください!」
韓信は、憎しみを込めた眼差しで劉邦を指差し、言葉を続けた。
韓信: 「この劉邦が築き上げた『漢』とやらは、まことに『腐敗と裏切りの王朝』に過ぎません! 私を裏切り、多くの功臣を粛清し、その末裔までもが、漢を名乗りながら漢を混乱させた! その存在自体が、天下の災厄! この『忌まわしき漢王朝』は、今ここで終わらせるべきです! 呂布殿、存分に力を振るわれよ!!」
韓信の、魂を削るような罵詈雑言と、まさかの「殺害命令」に、劉邦は青ざめ、ただただ震え上がった。
韓信の言葉が響く中、項羽は、呂布に羽交い締めにされた劉邦から少し離れた場所で、静かに涙を流し始めていた。
彼の目は、遠い過去を見つめているようじゃった。そして、関羽と張飛に語りかけた。
項羽: 「関羽殿、張飛殿……お前たちには、わしの、この痛みが分かるであろうか……」
項羽の声は、怒りではなく、深い悲しみに満ちていた。
項羽: 「あの時……わしは、劉邦の卑劣な策略により、垓下で追い詰められた。四方を劉邦の兵に囲まれ、わが楚の歌が四方から聞こえてきたのだ……『四面楚歌』、まさしく絶望の淵であった……」
項羽の目から、大粒の涙がとめどなく溢れる。
項羽: 「愛する虞美人は、わしを案じ、ただ一人の女性として、わしに殉じようとした……『虞や虞や汝を奈何せん』……わしは、彼女を守ることができなかった……この手で、彼女を自刃させてしまったのだ……」
有名な楚漢戦争において涙なしには語れない、『虞美人の剣の舞』の
その涙は、天下を失う悲しみではなく、愛する
項羽: 「そして、あの『背水の陣』とやらも、結局は劉邦の腹心であり快刀であった部下、韓信が、わしを追い詰めるために用いた策だというではないか……わしは、あやつらの卑劣な策によって、まことに絶望の淵に突き落とされたのだ……この無念晴らさむべきか……」
項羽の慟哭にも近い告白に、関羽と張飛は、これまで劉邦の末裔として抱いていた「漢の正統」という概念が、根底から揺らぐのを感じた。彼らの目から、涙がこぼれ落ちる。
そして、劉邦を恨む呂布と、項羽の悲痛な叫びが、彼らの心を完全に変えた。
関羽は、羽交い締めにしていた呂布の腕を離し、その顔を怒りで歪ませた。
関羽: 「呂布殿っ!! お控えくださいなどと、愚かなことを申して、まことに申し訳なかった!! 我々が、いかに傲慢であったかっ!!」
張飛もまた、劉邦に向かって咆哮した。
張飛: 「そうだぞ、劉邦のジジイッ!! おめぇのやったことは、天下の愚行だ! 項羽の旦那の悲しみも、陳宮の旦那の苦労も、全く理解できてねぇんだな!」
そして、二人は呂布に向き直り、深々と頭を下げた。
関羽: 「呂布殿! どうか、お力をお貸しくだされ! 我々も、この腐りきった漢王朝の元凶を……劉邦を……ぶち殺されい! 貴方様の御力で、真の天下を取り戻してくだされっ!!」
張飛: 「そうだ! 呂布の旦那! おめぇの無双乱舞で、このクソみたいな漢王朝の連中、ぜんぶぶっ飛ばしてくれよ! 俺たちも手伝うぜ!! 漢王朝なんぞ、滅べっ!!いなくても問題ねえよっ!!」
関羽と張飛は、まさかの即掌返しで、呂布と共に漢王朝、そしてその始祖である劉邦への討伐を叫び始めたのである!
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