第2話 高祖、ドヤ顔で曰くも。
項羽の怒りの咆哮と韓信の困惑をよそに、劉邦はニヤリと笑い、腕を組んでドヤ顔で語り出した。
「おいおい、そんなに怒んなって、項羽。歴史ってのはな、一朝一夕にできあがるもんじゃねぇんだよ。ま、俺が天下取ったのは事実だが、その過程にはな、いろいろと『現代的な工夫』が必要だったってわけだ」
劉邦は、近くにあったホワイトボードを指差し、そこにマジックペンで下手くそな図を描き始めた。
「ほら、見てみろよ。これ、『リーダーシップ論』ってやつだ。おめぇは確かに強かったが、人を信じきれねぇし、すぐ感情的になる。そりゃあ、ついてくるもんもついてこねぇって話だろ? 俺はな、『人材を活かす力』があったんだよ」
得意げに胸を張る劉邦に、項羽の額には青筋が浮かび上がった。
「さらに言えばな、おめぇは『ブランドイメージ戦略』が足りねぇんだよ。西楚の覇王だか知らねぇが、庶民感覚がねぇ。俺はな、そこらへんの気のいい兄ちゃんって顔で、天下を取ったんだぜ? これが
韓信、正史との違いにブチギレる!
劉邦の現代用語を交えたドヤ顔解説に、これまで黙って聞いていた韓信が、ついに我慢の限界を迎えた。彼の顔は、ポカンとした表情から、みるみるうちに青ざめていく。
「ちょ、ちょっと待ってください、劉邦様!」
韓信は、怒りに震える声で叫んだ。
「何を勝手なことを言っておるのですか!? 私は貴方に
彼の言葉に、項羽がフンッと鼻を鳴らした。
「ほら見ろ、韓信も呆れておるわ! その通りだ、韓信! この小物はな、天下を取ればすぐに功臣を疑い、粛清するような器の小さい男なんだよ!!」
韓信は、項羽には目もくれず、劉邦に向かって続けた。
「そして、その『ブランドイメージ戦略』とやらも、私から言わせれば『背水の陣』を建てまくる、無茶苦茶な作戦の言い訳にしか聞こえません! 正史では、私がどれだけ苦労して…!」
「背水の陣」建てまくりの劉邦、即効罵倒開始!
韓信が「正史と違うだろうが」と反論しようとするのを遮るように、劉邦は再びドヤ顔で言い放った。
「あーあー、韓信、おめぇもいちいち細かいこと言うなよ! 『背水の陣』はな、あれは『極限状況におけるモチベーション管理術』なんだよ! 兵士たちを追い込んで、力を最大限に引き出すってやつだ! 何度か使ったが、結果オーライだっただろ?」
「結果オーライでは済まされませんっ!!」韓信が叫ぶ。
「毎回毎回、私の胃はキリキリ痛み、心臓は止まりそうになる思いでございました! それをなぜ、そんなドヤ顔で語れるのですかっ!? 項羽先輩に謝ってください!!」
韓信の叫びに、劉邦の顔が大きく歪んだ。
項羽、ドヤ顔でふんぞり返った!!
項羽は、韓信の言葉に大きく頷き、劉邦を指差して高らかに言い放った。
「ハッハッハッハ! その通りだ、韓信! まことに良く申した! 貴様のような小物に、人の心を語る資格などないわ!見ろ、韓信すらも貴様を認めんぞ!」
項羽は、韓信の言葉を自らの勝利宣言のように利用し、劉邦に向かってこれ以上ないほどのドヤ顔を突きつけた。
劉邦は、その項羽のドヤ顔に一瞬ひるんだように見えたが、すぐに言い返す準備を始めたのだった。
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