詩海文章〝クトゥルフ詩〟~死の星より森地の闇に降り立った者たち~

楠本恵士

第一詩・夜道で君に成りすます異形のカエル

 夜道の田舎道に君の抜け殻。

 華麗な黒髪が夜風にユラユラ揺れている。


 田んぼのカエルの鳴き声が、ボクの心に不安を呼び起こす。


 遠い前世の空から降りてきた、ジュラ紀の記憶、脳裏の記憶。

 ああ、そうだ思い出したよ。


 ボクが君の中身を食べたんだ、舌の上に残る君の血の味、肉の味。


 今は人の姿を保っている、ボクの姿。

 君が好きだ、好きだったんだ、だから我慢できなくなって君を食べたんだ。


 君の抜け殻を拾い上げて、中を覗くと眷属のカエルが皮の裏側に付着していた。

 ボクは静かに君の皮を着て、君に成りすまして明日学校に行く。


〈気が向いたらクトゥルフ詩は増えます〉

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