ウイリアムテル序曲
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イタリア生まれのオペラ作曲家。父親は食肉の検査官をする傍ら、トランペット奏者でもあった。また母親も歌手。ナポレオン支持者であった父は投獄され、母は歌手で生計を立てるためにロッシーニを連れて劇場で働いた。
6歳の頃から音楽教育を施されたロッシーニは、少々ふくよかな体形をしていたが、ハンサムで女性にモテた。創作期間、約20年の間に39曲のオペラを作曲したが、以降40年間はごく僅かな宗教曲や小品を書くだけにとどまった。前期はオペラ・ブッファ。後期はオペラ・セリアの分野で活躍した。悲劇を取り上げることが多いイタリアオペラの中では、比較的、喜劇やハッピーエンドの楽曲を書いた異色の作曲家でもある。
ウイリアムテル序曲は、フリードリッヒ・フォン・シラーが書いた「ヴィルヘルム・テル」戯曲を元に1829年にロッシーニが作曲したオペラ「ギヨーム・テル」の序曲である。彼のオペラ作曲家人生、最後の曲でもある。作者自身が名付けたわけではないが、チェロの独奏で始まる「夜明け」、風邪と雨と描写した「嵐」、イングリッシュホルンの独奏で始まる「静けさ」、トランペットのファンファーレに導かれて奏させる「スイス軍隊の行進曲」という四つの接続曲の形式をとる。
この全てがオペラの内容を予知させるような雰囲気を持つ傑作である。序曲から第四幕までを通すと、約3時間55分の大曲でもある。
*オペラ・ブッファ:18世紀前半、イタリアのナポリで生まれたオペラの形式の一つ。貴族たちの娯楽であったオペラ・セリアとは相対的で市民のより身近な問題を取り扱うオペラだった。
*オペラ・セリア:17世紀にヨーロッパで主流だったオペラのこと。正歌劇。バロック時代の慣習にのっとった三部形式だった。思春期に去勢された男性歌手、カストラートが活躍した時代とも一致する。
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