第36話 温泉旅館7日目
旅館に来て7日目。
今日は温泉街ニホーストで過ごす最後の日。
そして、俺とカナで
今年開かれる大会はニホーストにあるコロシアムで行われるそうだ。
今日までの観光で、街の外観に合わないと思っていた建物があったのだが、まさかそれがコロシアムだったとは…。王都周辺のコロシアムと比べると3分の1の大きさにも満たない建物だから、この街の田舎度が伺える。
まぁ…その分観客と出場者の距離が近く、歓声が直接伝わるらしい。アルターたち全員も観戦に来てくれるらしいし、俺のかっこいい姿をこの街に轟かせてやるぜ!
ーー俺も今日からモテモテだ!
…と考えながら、俺とカナはコロシアムに向かっていた。
隣のカナも今日は気合いが入ってる。
…にしても、コロシアムでやるなんて、戦いでもするのか?
ま、俺は《剣聖》の天賜を与えられた勇者だし…勝つこと間違いなしだぜ!
ーーニヒヒ…!
「何笑ってるの? レイン…」
ーーしまった!
俺のニヤけが外にも溢れ出てしまっていたようだ…気をつけなければ…
「い…いや、なんでもない。 ただ、久しぶりの戦闘になるからな。 楽しみで」
「そ…そう? ウチはてっきり、今日の大会でみんなに活躍見せて、モテモテになろうとしてるのかと… まぁ、レインは勇者だし、実力は折り紙つき。 みんなとの実力差もすごいと思うから、本気出しすぎないでよ?」
ーー何⁉︎
俺の魂胆がバレているだと?
ま…まぁ、俺の咄嗟の言い訳に納得?してくれたっぽいし…きっと大丈夫なはずだが…
「ま…レインは顔も結構カッコいいんだし、女遊びはほどほどにね」
「あ…あぁ」
ーーそれができたら苦労しないぜ…
ーーと、話していたらコロシアムに到着した。
今回の出場メンバーは8チーム。8つの街から1チームずつ出場し、トーナメントで優勝を決める。
トーナメントはこうだ。
Aグループ
1回戦
レイン&カナ vs マリ&リカ
2回戦
バスター&ルッポ vs ケニー&ビース
Bグループ
3回戦
パーチ&エル vs トップ&グナシー
4回戦
エリカ&カレン vs キッド&ダクト
AグループとBグループで、トーナメントを勝ち上がったチームが最後に戦い、優勝を決めるようだ。
ーーあっ!
俺はある名前を見て、ある出来事を思い出す。
「あっ! レイン、あのエルって…」
どうやらカナも気づいたようだ。
Bグループの3回戦に名前を連ねる女性。
ーーエル。
エル・キーマット。彼女は俺と同じ勇者に選ばれた女性で、訳あって、俺とカナのパーティーが共同して、一度敵として戦った相手だった。まぁ…今は和解しているが。
まさかここで彼女と再会できるとは。
早く彼女に会いたい。
(第11話からの3章参照)
「にしても大変だね。 エルが出場するなら、かなり頑張らないと… あの時でさえ大変だったし… 気を抜いていられないね」
「そうだな」
「あっ! いたわ!」
「今日こそあなたを倒して、ワタシたちの街を真の温泉街にしてみせる!」
「そうだよ! 頑張ろうね!」
トーナメント表を見ている俺たちに、女性たちが近づいてきた。
「カナ…誰か知ってるか?」
「えっ…誰だろ…。 …あっ!もしかしてマリとリカ?」
「そうよ。 忘れたなんて言わせないわよ?」
「そうそう」
「めっちゃ久しぶりだね! 2人とも!」
「トーナメントの2人もあなた達だったよね。ジャーパンの専属冒険者はマリとリカのお父さんたちじゃなかった?」
「もう年なのよ。 それにワタシたちもあなたと同じ冒険者なのよ。今年からはワタシ達が出ることになったのよ」
「えへへ…じゃあ久しぶりの対戦だね」
「ふんっ! 余裕こいているのも今のうちよ! あなたのバディは勇者のレインらしいけど、ワタシたちには『秘策』があるから!」
「楽しみだね、エリ。アタシたちの『秘策』が火を吹く瞬間が…ニヒヒ…」
「ウチも負けないからね! 2人とも! それにしても、2人ともレインを知っているんだ」
「そりゃ…もちろんよ。 勇者として有名だもの。 知らないのはおばさん、おじさん世代だけよ。 ワタシたちの世代なら知ってて当然よ」
ーー嬉しいハプニング!
やったぜぇぇぇぇぇぇ!
俺のことを知っているらしい。もしかして、本当に俺モテモテになれるんじゃないか?
「と…とにかく! 対戦では覚悟してなさい!」
2人は捨て台詞を吐いて、どこかに行ってしまった。
「彼女たちは幼馴染でね。 小さい頃はよく遊んでたの。 それに、彼らの故郷の街、ジャーパンも温泉街として有名でね…どっちがより魅力的か…ってよく競ってたの」
「へぇ…そうだったんだな。 じゃあ…なおさら温泉街のプライドをかけて負けられないな」
「そうだね」
「レイン、カナ。久しぶりだな」
背後から聴き覚えのある声が聞こえてきた。
「よぉ…エル。 まさかこんなところで会うなんてな」
「あぁ…私も驚いている。 まさかこんなところで再会できるなんて思ってもみてなかったからな。 実はあの後、自分探しの旅を始めてな… 今は訳あって、カーブスの街で専属冒険者をやることになったんだ。 私が勇者だって、ついうっかり話してしまったら、ぜひ
「俺たちもだぜ」
「他のみんなはどうしてるんだ?」
「あぁ…アルターたちも観戦に後から来てくれるらしいぜ」
「そうか。 彼らにも沢山迷惑をかけたからな。 挨拶しないと…」
「そんな…気にすることないよ。 ウチたちと同じで、再会を心待ちにしてると思うよ」
「そうだぜ。 あんまり悲しい顔で挨拶するんじゃないぞ。 エルは責任感強いし…」
「すまないな。 気をつかせてしまって…」
「ってか、それより…エルも出るとなっては、今回の大会、かなりレベルの高い大会になるんじゃないか?」
「確かにそうかもね。 今までは小さい田舎の街の冒険者たちが集まってただけだったけど、まさか今回の大会で勇者が2人も参戦するなんて…2人とも本気出さないでよ?」
「あぁ…でも、カナもSランクの天賜を持った
「そうだぞ。 カナの弓はかなり効いたからな」
「そんな…エルまで…。 なんか…少し照れる///」
「お互い頑張ろうな」
「あぁ…正々堂々戦おう!」
そうこうしていると、出場者が全員集まった。
俺たちはコロシアムの中央、ステージに集められた。観客席にはたくさんの観客が集まっている。
街のほとんどの住人が観戦に来ているんじゃないか?
「ヘイヘイ! 気分はどうだい? 出場者達?」
MCがめっちゃハイテンションだ。
「今回の大会のMCを担当するぜ! リードだ!
よろしくぅぅぅ!」
「「「イェェェー!」」」
観客達の歓声がヒリヒリと伝わってくる…
この大会がどれだけ大切なのか分かる。
ニホーストの人たちのためにも、絶対勝たないとな。
「早速だが…今回の種目を発表するぜ! コロシアムが会場ってことで勘づいている奴もいると思うが、ズバリ! 今回はバトルトーナメントを行うぜ!」
「だが…ここで注意だ! 実は今回の出場者は今までよりレベルの高い実力者が集まっていてな。 ガチンコバトルは少々危険だ。 だから! 今回は頭の上にゴム風船をつけてもらって、先にチーム全員の風船を割った方のチームを勝利とするぜ!」
「Are you Ready?」
「「「イェェェェェ!」」」
俺たちの戦いが始まる!
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お読みいただき、誠にありがとうございます。
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