第22話 ケルベロス討伐開始!

「ケルベロスはこの先にいるんだな?」


 改めて、エルに確認を取り、俺は剣を力強く握り直す。


「あぁ…この先にケルベロスはいる。ヤツにかけられた封印は、中にいるヤツの情報を何も外に出さない絶対結界…外からは簡単に封印が解けるが、中からは絶対に開けることのできない結界だ」


 ーーめちゃくちゃ強い結界だな。それをかけることのできた盾士タンクは相当優秀だったようだ。しかし、そんな強い人たちが揃っていたパーティーでも敗北したケルベロス討伐。今回は勇者が2人いるとはいえ、かなり厳しいものになるだろう。



「ケルベロスはどんな技を扱うの?」


 今回のダークホース?…であるアルターが、エルに不安そうに聞いた。


 ーーそうだろう。俺だって不安だ。この討伐クエストは誰だって不安になるだろうし、怖い。…だが、だからこそ俺たちがやるべきだ。ヤツを討伐できる力を持っている俺らの責務だ。


「私が把握しているのは、火炎放射のような攻撃と、雷を纏った斬撃技の2つだ。ケルベロスは知っての通り、炎と雷、そして水の3属性の高位魔術を扱うのだが、私たちが見たのは炎と雷の技だけ。……すまないが、水の魔術は対策もできない」


「いやいや…それだけでも十分だよ。ありがとう。」


「そうだよ!そもそもケルベロス討伐のクエストを受けられるパーティーは今この世界でもかなり少ない…その情報はウチらにとって、とても大切でありがたい情報だよ!」


「それに、ケルベロスについては鑑定士の私が調べます。クエストでドロップしたアイテム等を鑑定するのが、1番得意ですが、討伐方法くらいは暴きたいと思ってますよ!」


「すまないな…ありがとう」


 そう言ったエルの目元は、少し輝いて見えた。





「そうこうしているうちに着いたぞ。ケルベロスの住処。いいか?お前たち…今から結界の封印を解く。戦闘準備を頼む」


「こいつがケルベロスですね」


 マーラがまじまじとケルベロスを見つめている。




「ついにか…わくわくするな」


「いやいや…レイン、無理しなくていいよ。本当は怖いんでしょ?そんな漫画の主人公みたいなセリフ、誰も期待していないから…」


「い…いや、別にそんなつもりで言ったわけではないぜ」


「へ〜…ではレインさん。なんでそんな震えてるんですか?私が鑑定したところ、その震えは怖いという結果がででますが…」


「こ…これは武者震いだ…武者震い。きっと武者震いだよ」



「ははっ!やっぱりレインは面白いね」


 アルターが泣いて笑っている。

 ーーおいおい、泣くほどか?




「レイン…君は面白いヤツだな」


「えっ?」


 俺は唖然とする。


「それに、みんなもこのケルベロス討伐は怖いだろ?」


「ウチも怖い…」

「私も怖いです」

「もちろん俺も怖い」


 俺以外の3人も怖いらしい。

 ーーなんで、さっきはあんなにバカにしてたんだよ。俺はいじられ役じゃないぞ?

 ……き…きっと、俺はいじられ役ではない…



「だろうな。私が以前、挑んだ時も怖かった。だがな…以前と違うのはこの怖さをみんなで共有できているところだ。私のパーティーでは、目標への努力は惜しまなかったが、みんな弱音を吐くことは少なかった…いや、吐ける環境ではなかった。これはリーダーの私に責任があるだろう。……でも、君たちは違う。しっかりとみんなで感情を共有している。これは君たちのリーダーの影響も大きいだろう。ただ強いだけではなく、メンバーと対等に接し合い、時にはいじられる…そんなリーダーだからこそ、この空気感なんだろうな」


 ーーえ…俺褒められてる?…ていうか、俺はやはりいじられ役なのか?



「あはは!…なんか今からケルベロス倒そうとしてるのに、笑いすぎて、なんかウチ不思議な気分!」


「リラックスしているのは良いことだ。ただ、気を抜きすぎるなよ」


「そうだね、了解!」


「俺もみんなの役に立てるように頑張るよ。とりあえず、ケルベロスの攻撃を防ぐために、格納は出しておくね」


「私はケルベロスを鑑定して、アイツの情報を集めます!」


「みんなよろしく頼む。…では開けるぞ!」


 光。

 ーー覆っていた光の壁は瞬く間に溶け出し、ケルベロスはその悍ましい姿を曝け出した。


 そして、間髪入れずーー


 雷撃。


 独立した3つの頭から繰り出される高位魔術。その一頭からの斬撃攻撃が俺たちを襲う!



「任せて!」


 アルターの《格納》がすかさず、アイツの技を吸収する!


「さすがだな、万能士レンジャー。私の技を吸収しただけある」


「お礼は良い。みんな攻撃のチャンスだよ!」


「もう攻撃してるよ!」


 俺は、雷撃を吸収され動揺していたケルベロスを見逃さず、すかさず俺の斬撃をアイツの首に放った!


 一閃。


 ー三頭のうち、雷の魔術を放った一頭の首を切断した!


「やったか⁉︎」


 攻撃から数秒、洞窟に沈黙が伝わる!





「いや…技が効いてない?」


「そうではない。アイツの頭が再生しているのだ!」



 ーーモゾ…モゾモゾ…モゾモゾ。

 首を切られたはずのアイツの頭は瞬く間に再生した。



 ーー何?俺の一撃だぞ…勇者の一撃。それが効かないなんて、どうやって倒せば…



「みなさん、分かりましたよ!アイツの倒し方が!」


 ーー!!


「アイツの頭はご存知の通り、三頭が独立しています。ただ…倒すには頭を全て同時に切断しないといけません!」


「何?独立した三頭を同時に…だと。どうする?俺とエルの勇者の一撃を喰らわせて倒すか?……でも、それでも2人だ。1人足りねぇ…」


「クソっ…一体どうすれば…」


「カナ!お前の矢でアイツの首を撃ち抜いて、切断できるか?」


「いや…それはさすがに…アイツの首が太すぎる」


「そうか……どうすれば…」



「それなら、僕の格納が使えるかも…」


 誰もが倒し方に絶望したその瞬間、アルターが声を発した。その声には驚きと確信が混じっていた。




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 お読みいただき、誠にありがとうございます。

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