「お前が女だったらいいのに」とよく言われる俺の親友がtsした途端、めちゃくちゃ詰め寄ってくるんだが?

kこう@受験によりほぼ停止中

第1話

 ある日の朝。

 プルルとスマホの着信音が鳴り響くと同時に俺——浜野颯太はまのそうたの目は覚まさせられた。


「んだよ、こんな朝早く」


 髪をボサボサ掻きながら、枕元ににあるスマホを拾う。

 朝はギリギリまで寝ていたい派の俺の眠りを妨げされたことで、機嫌はすこぶる悪く、割と荒めに画面をみる。


「はぁ、まーたあいつかよ……」


 口から、怒りよりも呆れや面倒臭さが漏れた。

 そしてそれと同時に少し着信を無視することを決めた。


 なぜならば、そのスマホの画面に表示されていたのが藤原聖ふじわらのぞみ——俺の親友の名前だったからだ。


 その文字だけ見るとなんとなく女性っぽい印象を受けるもののちゃんと男である。

 ただ、男にしては小柄な身長で、中性的な顔立ちに高めの声をしているため、制服を着ていなかったときに女性と間違えられることもしばしばあるらしい。


 それゆえに「お前が女だったら苦労しないのになぁ」と周りからよく言われているとかなんとか。


 確かにあいつ雰囲気だけみたら本当に女っぽいもんな。性格もまぁ……クソガキだし。


 それでも割といいやつだから俺も親友やってるんだけどさ。


「はぁ……まだなってのか」


 なんかとか回想で時間を潰しているうちに、諦めたりしないものかとと思ったが、それも虚しく、不在着信が2件溜まった中でも電話が続いている。


 しかし、経験上、朝イチに望から電話が来た時はろくなとかがない。

 本当に毎度毎度、朝にはきついことを要求してくるのだ。


 いっこ例を出すなら、「ちょっと早めに目が覚めて、お腹すいたから朝ごはんつくってー」と片道10分ぐらい歩かされたことだろうか。

 願いを断るのが苦手な俺も悪いが、体がクソだるい中、そこそこの距離を歩く羽目になったのはだいぶ辛かった。


 普段朝に電話がかかってきても元気がある時以外割と無視を決め込んでいることが多いのはこれが理由だ。


 一応、ほんとに非常時だったら、メールにしてと言ってるものの、今のところ一度もメールが来たことはない。



 そして、そんなルールがある中でも今日も別にメールはない。しかし、いつもは割とすぐに諦めると言うのに今回は10分ぐらい経ってもずっとコールが鳴り止まない。


 あいつのことだから、特に何もないと思うが、ここまで来るともしかしたら……と言う可能性もある。


 幸い、今日は思ったより目覚めがよく割と元気もあるので今までで一番辛かった朝ラン一緒にやろ、と言われても今ならついていけると思う。


 ここまで長い電話も珍しいし、何があっても今日はもう、付き合ってやることにしよう。


 そう思い、少しだけ覚悟を決めたのちに、俺は電話に出た。


『——あ、颯太!? 電話出るの遅いよ!?』


 通話ボタンを押した途端、聞こえてきたのは、とても可愛らしい女子の声だった。


 第一声の言葉は予想通りだっだが、あまりに予想外のその声に即座にスマホの画面をもう一度見る。

 しかし、そこにはやはり望と書かれていて、宛先を間違えたと言うわけではないことがわかる。


 望は一人っ子で妹とかはいないはずなのにどうして、と混乱に落ちいる直前、俺はふとある可能性に気づいた。


 ……もしや、あいつ俺に隠して彼女を作ったのでは!?


 あいつとは基本一緒に行動しているものの、お互いにバイトとか部活とかがある時まで同じと言うわけではない。 

 ゆえに、俺の知らないところで彼女を作っていたとしてもあり得ない話ではない。

 

 つまり、この朝の電話は彼女とお泊まりしたついでに俺に彼女できました報告でもして驚かせようとしたと言うことだ。


 ふはは、甘いな望。

 確かに最初は驚いたが、どれだけの付き合いと思ってるんだ。

 お前の考えなんてお見通しなんだよ。事前に知っていたらそうそう驚くことなんてないんだよ。


『……颯太? さっきから無視しないでくれない?』


「はは、ごめんごめん。まだ眠くてさ」


『まあ颯太朝弱いもんね』


「今の社会、朝強い人間の方が珍しいと思うけどな」


 それはそう、と同意の声が電話越しに聞こえる。

 

 さすが望の選んだ彼女と言ったところだろうか。

 初めての相手にもかかわらず、すごいスムーズに会話をすることができる。


 親友としてどんな相手か見極めておこうと思ったが、これなら安心して任せることができそうだ。

 一緒にいる時間が減るのは少しだけ寂しいが、せっかくだしめいいっぱい祝ってやろうじゃないか。


「で? こんな早くからどんなようで電話してきたんだ?」


『あ、そうだ。颯太との話が楽しくて忘れてた!』


「はは、望の彼女にそう思われるなら嬉しい限りだ」


『……え? 彼女?』


 困惑の声が聞こえてきた。

 どうやらまだ隠し通すつまりらしい。


 せっかくなら向こうからのネタバレをして欲しかったが、そこまで待つつもりはないからもう言ってしまおうか。


「隠さなくてもいいぞ、彼女ができたから俺にドッキリついでに報告しに来たんだろ?」


『いやいや!? 何言ってんの!?』


「え、いやお前望のふりしてる彼女さんだろ?」


『本人だよ!?』


「何言ってんだよ、確かにあいつの声は高いが、流石に女の人の声とは間違えないぞ」


『いや違うから、聞いてよ!! 僕、朝起きたら女の体になってたんだよ!』


……何言ってんだ、こいつ?


「いや漫画の世界じゃあるまいし、んなことあるわけないでしょ」


『本当に嘘じゃないんだって、ほらビデオ通話にして証拠見せるから画面見て!』


 半信半疑になりながらと言われた通り、画面に目を落とす。

 そして、ビデオ通話に切り替わって映った望の姿は……


「……本当に変わったのか?」


 ほぼ全く変化がなかった。


 いや、変わったかと言われたら変わったのかもしれないが、もともと中性的な顔だった上に、胸が大きくなったりしてるわけでもないため、正直どこが変化したのか全くわからない。


 

「お前さ、ただ純粋に女声練習しただけってオチはないよな?」


『え!? 信じてくれないの!?』


「いやだって、若干見た目がすらっとした感じはしても勘違いと言われた納得するぐらいの変化だし」


『……っ! ならもう決定的な証拠を見せるよ!!』


「……!! ちょ、まさかお前!!」


 気づいて静止を呼びかけた時にはすでに遅く、その日、俺は望が女になった証拠を確かにこの目で見る羽目になった。


そして——





「——颯太! 僕は君を絶対に堕とすよ!」


 次の日、まさかそんなことを宣言されるとはこの時は全く思ってもみなかった。


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