リライト保管庫
牛捨樹
原文 上野恭介は呪われている 『異界行き電車に乗って』編 第二話目
【作品タイトル】『上野恭介は呪われている』
【作者】牛捨樹
【作品URL】https://kakuyomu.jp/works/16818093073275914427
【該当話直リンク】https://kakuyomu.jp/works/16818093073275914427/episodes/16818093078592519569
【作者コメント】
こちらのお話のあらすじといたしましては、除霊のできる高校生・
どこか怪しい電車に乗って隣町へ除霊に行ったところ、神田がたどり着いたのは違和感の蔓延る異界。しかもそこには除霊の効かないクリーチャーが居て……という感じです。
ホラー苦手な方、すみません……。
今回リライトしていただきたいのは、異界の違和感溢れる気持ち悪さと嫌なクリーチャー描写です!
書いてくださる方のアイデアで新しい異界とクリーチャーを作って頂いたりしてもとても嬉しいです!
苦手でない方、よろしくお願いいたします……!!
【人物】
・神田雅弘…霊感があって除霊ができる高校二年生。一人称は『俺』。
粗雑な口調で喋りますが、喋らせなくても大丈夫です!
喋る場合、口の汚さはどこまでいっても大丈夫です。
背が高く、戦闘能力がやたら高いです。
↓下は原文です。結構長いです……。すみません。
――――――――――――――――
「…………あれ?」
上野の地図には確かに幽霊が居たのは袋小路だと書いてあるのだが、わざわざ電話までして確認した店を曲がった先は袋小路になっていなかった。
袋小路がある筈の場所には民家が立ち並ぶ狭い路地が続いている。
俺は曲がり角を戻って、書店の看板を確かめる為斜め上に目を向ける。が、何故か俺はさっき見た筈の看板を書店の看板だと認識できなかった。
「……な、なんだ……コレ」
字が読めない。
何故だろうか。そこに書いてあるのは確かに日本語だった筈なのに、俺はついさっき電話をしながら読み上げた筈なのに、その看板の文字を文字と認識できない。
線の並びが解らない。点と点が繋がらない。視覚から入ってくる情報が、脳内から知識を引き出せずに渋滞している。
この文字は何だ? そもそもこれは文字か? 図形なのか? 混乱しているうちに
俺は突如脳疾患でも発症してしまったんだろうか。
「何なんだこりゃ……」
すぐ近くにある個人経営の電器店。人の気配はないが、ショーケースの中に入っているモニターは元気に動いていて画面にエアコンの宣伝映像を映している。
『自動フィルター駐輪場でお手入れもらくらく! エアコン最深部を清潔な原子で満たしつくします! 消費磁力は従来の勢子に短縮されており自動販売機に認められた電信柱として大会準優勝基準に満たない語学を勝ち取りました!』
「人の夢ん中かここは……!」
意味が解らない。その文章には確かに文脈が存在しているように思えるのに、いくら聞いても意味を理解することができなかった。俺が頭を抱えている間にもそのナレーションはどんどん聞き取りづらくなっていき、終いには知らない国の言葉を聞いているように、まったく何を言っているのか解らなくなってしまった。
――なんだこの現象は。何が起きている。
俺は周囲を警戒する。幽霊がらみかどうかはまだ断定できないが、これは明らかに異常だ。
そう考えると、駅からずっと誰にも会わなかったのも、誰にも会わないのにわざとらしいくらい人の気配が演出されていたのにも納得がいく。
俺は、この町に入った時から罠にかかっていたんだ。
舌打ちしながらポケットへ突っ込んだスマホに手を掛ける。誰かに連絡した方が良さそうだ。
【こん に ちわ、だいぃじょぅうぶでしゅか?】
背後から声がした。外国人の不慣れな日本語のようなイントネーションだが、他人が発したまともな日本語を久しぶりに聞く気がする。俺は期待の眼差しを隠し切れないままに振り返った。
――振り返った先には中年男性が浮いていた。
その中年男性には違和感しかなかった。
まず、顔に生気がないどころか両の目玉が無かった。表情は無理矢理口角を上げてテープか何かで固定されているような不自然な笑顔なのに、力なく口が開いていた。
そして何より気持ち悪いのは目玉のない眼窩から、口から、鼻から耳から、泥のような黒い塊がボトボトと溢れている事だった。
手足は人形のようにぷらぷら揺れているし物理的な意味で地に足が付いていない。
つまり俺に声をかけてきたのは、どう見てもどう考えてもあからさまに人間の死体だった。
「…………ッ!?」
驚きすぎて声が出ない。突然目の前に人間の死体を突き出された俺の頭の中は真っ白になっていた。手や足が震えそうになるのを必死で抑えつけながら少しずつ後ろに後退る。
目の前の死体が揺れるたびにガサガサと音がする。土のような堆肥のような臭いはおそらく、穴という穴から溢れ出している黒い塊から漂っていた。
俺がいくら意識を集中させても幽霊がいるような気配はしてこなものの、幽霊のせいにでもしなければ眼前にぶら下がる非日常を説明することができない。死体から目を逸らさないようにしながら少しずつ後退りしていくと、ぶら下がった死体の後ろに何か光沢を帯びた物が見えてくる。
(後ろに……何かが居る……!)
なるべく大きな動きにならないように大股で後ろに下がると、やっと後ろに居るモノの全体像が見えて来た。
死体をぶら下げているのは、全長でいえば三メートルくらいの大きな
【だぃぃいじょぉぉおぶでぃすかぁあ? う、う、う、うちに、きましかあぁあ?】
ムカデの触手が死体の喉で細やかに動く。どうやらこれで死体を喋らせているらしい。ムカデの光沢帯びた足が地面につく度カチカチと音を鳴らす。体の表面は甲虫に近いらしい。
【こんにちあぁああどぉぉしぃあんれずがぁ? う、う、う、うち、うちにきあすかぁ?】
ムカデの後ろ半身、大きな針が付いた尻尾のような部分がカラカラ音を立てながら持ち上がり振動しているのが見えた。おそらく攻撃の予備動作だ。
俺は咄嗟に近くにあった小さい鉢植えを引っ掴んでクソムカデに思い切り投げつけた。
「家に誘おうとするときの言い方がキモ過ぎんだよ死ねッ!」
鉢植えがぶつかる瞬間、ムカデはぶら下げた死体を素早く動かし盾のようにして鉢植えを防いだ。一方、死体の方は顎部分が損壊し、中から泥のような黒い塊がボトボトと大量に溢れ落ちた。
「……汚ったね」
俺は思ったより素早いムカデの動きを見て、意を決し背中を向け全速力で逃げ出すことにした。ブッ殺してやるのは今じゃない。情報にしても装備にしてももっとこちらの準備を整える必要がある。
(未知数が多すぎる。脱出ルートを探すのもあいつを殺すのにも先ずは身を隠さねえと……!)
後ろを振り返ると、化け物ムカデもカチカチカラカラと音を立て、後ろから追いかけて来ているのが見えた。
【まってぇえぇまってくださあぁあああぁいおとしものありまあああすおうおたすけてすくださあああぁいたすけてくださああぁい】
あのしょうもない発音と語彙で人間の気を引けると思っているところなんかもクソすぎてムカつくが、今はとにかく逃げるしかない。奴は足が多いだけあってやはり素早いが、所詮は死体という荷物をぶら下げているし、小回りもきかない。地の利もない俺は、そこを突いて逃げ切る他なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます