ダンジョン出現と仮面の英雄──匿名配信から始まる2人の物語(旧タイトル:仮面のまま、君に恋をした。──ダンジョン配信で伝説になった高校生、正体バレたら即終了!?)

せんみつ

■プロローグ『その名は“黒の影”』

ダンジョンが“現実に出現”した時代は、もう終わった。


数多の命を飲み込み、無数の勇者を生んだその異空間は、いまや徹底的に解析され──

仮想空間へと再構築された。


誰もが安全に“疑似ダンジョン”に挑戦できる時代。

学術研究、軍事訓練、そして何より、エンタメとして配信化された“戦い”。


仮面の戦士たちが、ダンジョンで戦うその姿を、世界中が視聴している。


名前も顔も必要ない。

必要なのは、ただ“映える強さ”と“物語”だけ。


そんな世界で、ひとりの少年が夢を見た。



「ヒーローって、どうしたらなれるの?」


誰にも聞こえない声で、ユウトは問いかけた。


幼い体で、朽ちた木刀を何度も振る。

小さな裏庭、誰もいない場所。

画面の向こうで戦う仮面の戦士たちに、胸を焦がしながら。


拍手も賞賛もない。

でも、彼はずっと振り続けていた。


──あの人みたいになりたい。


“ありがとう”って言ってもらえる、そんな戦いがしたい。



やがて時は流れ、

仮面のヒーロー《黒の影》が、ダンジョン・アリーナに現れる。


銀と黒の仮面。

無言で敵を斬り伏せ、誰よりもスマートに、そして孤独に戦うその姿は、瞬く間に伝説となった。


けれど──

彼の素顔を知る者はいない。


誰も知らない。


彼が、かつてのあの少年だったことを。


そして、少年が助けた少女。

この出逢いによる物語が今後語られる事になる。

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