第20話
第20話
拝啓
お父さん、如何お過ごしでしょうか?
海外でのヒナの居ない生活には慣れましたでしょうか?
僕は今、父さんに心配させてしまった分、祝日まで学校に登校している勤勉っぷりを世に見せつけています。
そんな中私事にはなりますが
魔王が俺の奴隷になりました
「な、なんじゃこれは!?」
魔王、改めマオは以前までの禍々しいオーラなどは一切なくなり、すっかり見た目通りのロリっ子になってしまった。
ツノもなくなり、魔族特有の爬虫類のような目も我々哺乳類と同じような瞳に変わっていた。
理解できない状況に俺とヒナは口を開けぽかんとすることしか出来ない。
ヒナに抱きつかれた状態のままレインが
「魔族はね、その魔族が従属していいと思った人間に名前を付けられると、その人間との主従関係が奴隷契約として結ばれてしまうの。あたしもさっき思い出したわ、ごめんなさい」
そう説明しながら軽く頭を下げる
「そういうのは早く説明しろよ.....てかマオって俺に従属したいって思ってたの?」
そうマオに聞くと、ロリっ子は俯いてたまま耳を赤くして
「だってレインがあんなに楽しそうにしてるの初めてみたんじゃもん.....寝床も用意してくれるし、我に優しくしてくれるし、何より創造者に仕えたいと思うのは想像された側の本能みたいなものなのじゃ.....!」
もじもじしながら答えるロリっ子に俺は
「まぁ、お前がいいなら別にいいけど.....」
俺にはレインともヒナがいるのに更に魔王まで奴隷契約で関係を持ってしまうとか設定が濃ゆすぎて頭が痛くなる
その後も色々とレインから説明を受けたが、俺と奴隷契約を結んだことによってマオは人間と変わらない姿へと変わってしまったらしい。
奴隷契約を結べるのは比較的温厚な性格の魔族だけなのでそこら辺に配慮されたモノらしい。
誰が配慮してんだとかいちいちツッコんでいるとキリがないのでとりあえずの説明はこの位にして夕飯を食べたヒナはどうやら父とまた連絡をとり、マオも新たに学校へと通わせることを取り付けたらしく、父から怒涛のメールが来たが色々と素直に事情を説明すると一応は納得してくれたっぽい。
持つべきものは子のわがままをきいてくれる親だなあとしみじみと実感させられた
学費の面ではレインやマオが『アイテムボックス』から取り出して純金やらを少し質屋に持っていくだけでなんとかなりそうだったのでとりあえずは安心した
......マッチポンプじゃないよ、たぶん......
ヒナとレインは話し合い、毎晩交代で俺の部屋に来て寝ると言い出したのでそろそろ本当にダブルベットを買おうかと真剣に悩む。
2人が話している間マオも加わりたそうな顔で2人を見ていたが、結局のところ話し合いには参加しなかった。
その日の晩はいつも通りレインが部屋に来、ベットに潜り込んできていつもより甘えて来ているような気がした
「1日しか経ってないのにとっても久しぶりにレンの隣で寝る気がするのは何故かしら.....? とにかく今日は人間の姿のまま一緒に寝てあげるわよ、感謝しなさいよね」
レインは顔を赤くしながらもツンデレの典型的なセリフみたいな感じで少し口調強めに言ってくる
「俺としては猫吸いしながら寝たいんだけど」
「あれっ!?」
昨日はよく眠れなかったので猫になったレインに顔を埋めてから疲労回復しようとしたのだが、当のレインにはそんな気はなかったらしい
「まあ人間のままでもいいか、んじゃおやすみ」
「ちょ、寝るの早いわよ! ってどこに顔埋めて......ひゃあっ!?」
猫吸いではないが美少女吸いしながら寝るのも悪くない。
すべすべしていて少しばかりひんやりとしたレインの腹の感触は顔を埋めるととても気持ちがいい
「ちょ、だめっだってば、そんなところに顔、埋めないでぇ.....」
レインの顔を見てみると顔がむちゃくちゃ赤くなっていてとても可愛らしい。
だが俺は学習する人間だった。
前回のように朝起きたら大変なことになってしまうと時間が無いためトイレで格闘することが出来ない。
ならば、前日の夜風呂に入る前に済ましてしまえばそのまま朝までは賢者でいられるはずなのだ。
画期的なアイデアを思いついた俺は風呂に入る前に自室でコトをすませ、今晩限りは賢者でいられるという最高のコンデションで今レインの腹に顔を埋めているのだ。
普段の俺ならむちゃくちゃムラムラする表情を見せつけてくるレインだが、賢者となった俺は無敵も同然、お構い無しにレイン吸いを続行する
そうこうしているうちに昨日全然寝られていないのもあってか、急激にまぶたが重くなり、夢の世界へと誘われる
「ヒナちゃんにそういうことはしないって約束したのに......! レンから誘ってきたんだからね、もう容赦しないんだから.....!」
がばっという音とともにレインが毛布をめくると.....
「すー、すー、」
.....
「もう、なんなのよーー!!」
ぐっすりと眠りにつく俺の姿があったという
朝目が覚めるとむちゃくちゃほっぺたが痛かった。
何かしたのかとレインに聞くと怒ったような口調で
「なんにもないわよ! エッチ! ヘンタイ!」
と何故か怒鳴られてしまった
「おはようございます、お兄ちゃん.....ってどうしたのですか、ほっぺが真っ赤っかでよ!!」
朝起きて一番にヒナにそう言われ洗面所に向かい鏡に映った自分の顔を見てみると、綺麗なもみじ跡がほっぺに残っていた。
その日に俺はレイン吸いは人間の時にはもうやらないでおこうと強く心に誓ったのだった。
1週間後マオの制服やその他諸々が届いた。
マオは見た目的に小学生だが、実年齢は100を超えているので高校に通わせようとしたところ
「ヒナと同じ学校が良いのじゃ」
と言い出したのでヒナと同じ中学の方に通わせることにした。
ヒナと同じ中学のセーラーに身を包んだマオはやはり美少女というのを再認識させられるほどに可愛らしかった。
もちろんヒナも負けていないし、むしろヒナと勝負しようということの方がおこがましいというのだが、それでもやはり目を惹かれる。
設定はウチの親戚の子供ということにしているため苗字も川崎を名乗らせることにした。
弁当を4人分作ることでヒナの負担が増えると思ったが、
「大丈夫ですよお兄ちゃん、3人分も4人分も変わりませんから」
といつも通りネクタイを結んでくれながらヒナが言う。
ちなみに人間化したマオは魔力だけで生きていくことは不可になり、きちんと俺たちと同じような食事をとらなければいけなくなった。
なんだか嬉しそうにしていたマオに飯を食わないでいい方が生きていく上で絶対いいだろと言ったところ、普通に殴られたのであまり触れない方が良いらしい。
「「いってきまーす」」
「「行ってらっしゃーい」」
高校生は中学よりも若干遠い場所にあるので俺とレインは2人に見送られながら登校する
「はぁ.....」
「なんだか今日はいつにも増して元気がないわね?一体どうしたっていうの?」
俺がいつもより憂鬱な気分で登校してるいると隣を歩くレインが聞いてくる
「どうしたもこうしたも、今日は文化祭の役員決めがあるんだよ」
そう、城西高校の年に2度の文化祭のうち一回目の春の城西祭が開催されようとしているのだ
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