現実じゃ無理なんで、異世界で全部やる。~ノリと勢いで仲間を増やし、ノリと勢いで異世界を生きる~
梓季島
プロローグ
――目を覚ましたら、雲の上にいた。
「……は?」
青空の中に浮かぶ、神殿みたいな場所。どこを見ても白。神々しい。ついでに肌寒い。
「まさか、うちのコを助けるために、運命を断ち切るなんて……驚きです♪」
後ろから、まるで天気予報のナレーションみたいな声がした。
振り返ると、ふわふわの白いワンピースに銀髪の美女。しかも笑顔が意味深だ。
「えっと……どちらさま?」
「私は地球の神、通称“アース”です♪」
地球の……神?
神って名乗る割に妙に軽いし、語尾に音符つけてくるのどうなんだ。
「夕人さん、記憶ありますよね? あのとき、女の子を助けて――」
ああ、そうだ。
信号待ちで見かけた中学の同級生・乙ちゃんが、スリップしたトラックに轢かれそうになって。
気づいたら体が動いて、代わりに俺が……。
「死にました♪」
アースの笑顔で、現実に引き戻された。
「というわけで、異世界転移です♪」
「転生じゃなくて転移?」
「記憶を保持したまま、別の世界に行くって感じですね〜。乙ちゃんも巻き込まれかけたけど、無事です♪」
それを聞いてちょっと安心する。けど次の瞬間、
「ちなみに、夕人さんには特別に“チートスキル”を選ばせてあげます♪」
急にテンションがソシャゲガチャ。
目の前に、透明なパネルが現れた。選べるスキルは……ありすぎ。数百、いや数千はある。
「三つまで選んでくださいね〜♪」
【夕人の選んだスキル】
物質創造:生物以外の見たことのある物を自在に作れる。現代兵器でも魔道具でも可。ロマンの塊。
時間遅延:夕人の体感1秒が、周囲の60秒。いわゆる“時止め”の応用版。
叡智の書:この世界の魔法・武術・知識を網羅した辞典。
「この三つ……最強過ぎない?」
「ふふっ、サービスです♪ 追加で“鑑定”もどうぞ〜」
追加スキルて。どこの通販番組だよ。
いよいよ転移の準備が整った。
乙ちゃんが心配そうにこっちを見てる。でももう迷いはない。
「夕人くん、強く生きてね……!」
「任せろ。俺、異世界でも絶対に生き延びてやる」
アースが手をかざすと、空間が裂けた。
その向こうには、剣と魔法の世界――俺の物語が待っている。
……と思ったら、
「一個だけ伝え忘れてました!ステータスウィンドウは人差し指と中指で十字を切って、交点を摘まんで引っ張ると見れますよ~♪」
「あ、はい…」
気を取り直して、今度こそ俺は異世界へと飛び込んだ――。
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