第46話 決闘
俺、圧勝!
件の魔族との決闘は特に語るべき点もなく、圧勝で終わってしまった。
いや、マジで全く持って見せ場もなく、俺が魔術で拘束してぼこすかと攻撃魔術を繰り出していくだけの的あてゲームで終わった。
手加減をして見せ場でも用意をした方が良かったのかと思ったが、信長さんが満足そうに頷いているので、これで問題なかったようだ。
ちなみに、魔王国の決闘では相手を殺してしまっても問題ないようだったが、流石に大人げないので、後遺症になりそうな怪我はさせない配慮はしておいた。
決闘の為に準備がなされていた魔王国の治癒魔術師が回復をさせたことで、件の魔族はすぐに復活をした。
「クソ。
魔王陛下の御前でこんな醜態を晒すとは。
もう、決闘なんて関係ない。
我がプライドの為に貴様を殺してやる!
おい、お前ら私に協力をしろ!」
そう叫ぶと、自棄っぱちになったのか、決闘の立ち会いをしていた同じ魔物を殺さずを主張する連中と共に、束になってかかって来た。
しかし、実力は特に同じ程度だったので、これも簡単に一蹴。
正直、この程度だったら、どれだけ束になっても負ける気はしない。
ただ、まぁ、恥の上塗りをした連中に、信長さんは激昂しちゃったわけで。
「決闘で負けたのは致し方なし。
ただ、負けたからといって束になってかかっていくとは、魔王国の貴族としてあるまじき姿。
さらには、束になった上で、惨敗とは非常に情けない。
貴様らには厳しい沙汰を下すので、覚悟しておくように。」
俺に物理的にボロボロにされた皆さんは、信長さんからの追加の沙汰で精神的にもボロボロで茫然自失となってしまった。
後に下された沙汰は、貴族家の当主だったものは強制的に引退をさせられ、家督継続は許されたものの、伯爵家だった家は子爵家のように、一段格下での継続となった。
また、一部には貴族家の嫡男だった者もおり、そいつらは家督相続権を失い、今まで下に見ていた弟や妹に相続権が移譲されて、部屋住みとして生きていくか、平民として生きていくかの選択を迫られているらしい。
そんな沙汰も一通り終わり、信長さんやハミルトンさんと茶室にて一服をしている。
最初に茶室に来た時は見様見真似でそれっぽい所作をするのでいっぱいいっぱいだったが、今は信長さんから直々の指導でそこそこマシになって来ていると思いたい。
「まだまだ、甘いにゃ。」
とは、師匠であるクロからの言であるが、猫に茶道の所作のなんたるかがわかるのか?
いや、クロならばマジで分かっていそうだ。
「さて、めんどくさい連中は始末も無事に終わったのぉ。」
「図らずも、連中の愚かな行為で大きな粛清も出来ましたので、当分の間は大人しくしていることでしょう。」
「当分の間か。
また、時が経てば騒ぎ出すか。」
「はい、魔王陛下のご推察のとおり、間違いなく騒ぎ出す連中が現れましょう。
これは魔物を生かすか殺すかというよりも、人間の国との交流がないことに原因があると思われます。
交流もない国の為に、我が国が率先して魔物殺していると、うがった考えをするものが現れるでしょう。」
「やはり、そうなるか。
ワタルよ。
人間の国、特に隣国に当たるファンライズの首脳はどう考えておるのじゃ?」
「ファンライズの王様や宰相さんは冷静な判断ができる方々だと思います。
俺にも魔王国と交流が絶って久しいので調査をして来て欲しいと依頼をしてきましたので。
ただ、次期女王候補である第一王女のエステルは過激派ですね。
勇者召喚を押し切って実行をして、勇者である俺が魔王を退治。
さらには、勇者の力で人間の国も攻め込んで、大陸の覇者になる。
そんなストーリーを思い描いていたようです。
俺には直接言って来ませんでしたが、ファンライズの首脳部は気づいていましたね。」
「その話は前にも少し聞いたのぉ。
ハミルトンはどう考える。」
「そうですね。
ファンライズ首脳部は一定の信頼はおけるでしょうが、次代がそんな感じですと、いささか交流をしていくのは心配ですね。
ただ、人間の国々中で唯一接しているファンライズを無視して、他の人間の国と交流を持つのは現実的ではありません。」
「うむ、ワシも同じ感想じゃな。
しかし、これ以上は向こうの意向を確認しないと結論は出ぬか。
ワタルよ。
おぬしは魔王国の調査でファンライズから我が国へ来たのだから、結果報告へファンライズへ戻らねばならぬな。」
「そうですね。
とりあえずの魔王国側からファンライズへの魔物の襲来も収まっていますし、一度はファンライズへ戻る必要があるかと思います。」
「では、その際にファンライズの首脳と対談ができるように頼まれてくれんか?」
「わかりました。
信長さんと対談できるように働きかけてみます。
さっそく戻りましょうか?」
特に魔王国でやらなければいけないこともないので、とっととファンライズに戻って対談をセッティングした方が良いだろうな。
「なんだ、ファンライズへの帰還せねばならん日程は決まっておるのか?」
「いえ、魔王国の情報がほぼ皆無な状況だったので、特に帰還日程も定まっていませんよ。」
「ならば、もう少しここにおれ。
もっと、日ノ本の未来の話も聞きたいし、ワシとの死合の勝ち逃げも許さんと言ったであろう。
ハミルトン構わんよな。」
「魔王陛下のご意向のままに。
ワタル殿は魔王陛下の相談役とでもしておき、国賓待遇で歓待をさせて頂きます。」
というわけで、魔王国での歓待を受けつつ、帰国のタイミングを図ることになった。
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