第36話 反乱軍トップと
「いや、そんなこと急に言われても信じられないよ!
そりゃ、あんたらには命を助けられた恩があるから信じたいのは山々だけどさぁ。」
早速、俺達の集めた情報を伝えようとしたところ、俺達が助けた反乱軍のトップの妹が通りかかったので伝えたが、とても信じられないとの反応だった。
確かにただの旅人と名乗っている連中が集めた情報じゃ信用なんて出来ないか。
ただ、信じて貰えないなら、多分この反乱軍はおしまいだろう。
その時は割り切ってしまって、どっかのタイミングで逃げ出すだけだな。
何処かで俺達がファンライズ関係者とバレる可能性もあるが、しらを切っていくしかない。
俺はもうこれで最低限の責任は果たしたと思っていると、急に奥から男が現れた。
「おい、何を騒いでいるんだ?
おっと、見ない顔がいるが、お前らが噂になってる旅人か。
妹が世話になったみたいだな。」
「あ、兄貴!
こいつらがその旅人なんだけど、ちょっと聞いてくれよ!」
話の流れからすると、この男が反乱軍のトップってところか?
そういえば、まだここのトップとは挨拶をしていなかったが、紹介もなしに俺達が持ってきた情報を伝えていた。
「そりゃ、お前の言う通りに急にそんなこと言われても信じられないが・・・」
そう言いながら、俺達の顔を見たと思ったら、クローリーさんの顔を凝視していた。
「あんた、もしかしてクローリーか?」
「確かにそうですが、えっと・・・」
「トマスだよ!ほら、ファンライズで世話になった!」
「あぁ、トマス殿でしたか。確か、帝国のこうs」
「ちょっと待った!
ここでは何だから、移動するぞ!
俺はこいつらと話をしてくるから、お前はちょっと待ってろ」
ということで、妹を置いてけぼりにし反乱軍のトップと個室へと移動をした。
置いてけぼりの妹さんは不満そうな顔をしていたが大丈夫だろうか?
「すまんな。
わざわざ移動をして貰って。
俺の出自はここの連中でも一部の人間しか知らないんだよ。」
「あぁ、そういうことですか。」
という感じで、それぞれ自己紹介をすることになった。
この反乱軍のトップのトマスさんは実は帝国の公爵家の次男だという。
というのも、この反乱は武力で皇帝を打倒する革命的な解決を前提としているのではなく、現在の皇帝に退位を迫り、権力者側の総入れ替えを目論む内部の権力闘争の面が大きいとのこと。
その為の大きな圧力と民衆の暴走をある程度管理する為の反乱軍であり、その反乱軍の管理統制を任されたのが、トマスさんというわけだ。
勿論、皇帝やそこに連なる現体制側に危機感を感じて貰わないといけないので、その内実はバレないように細心の注意を払われている。
また、トマスさんは公爵家きっての放蕩息子として有名で、貴族社会では何処で何をしているのか知らなくても誰も気にしないとのことで白羽の矢が立った。
ちなみに、妹さんの母親は元公爵家のメイドで、トマスさんからすると腹違いの妹になる。
別に母親と公爵家の奥様と仲が悪いわけではないが、権力闘争に我が子が巻き込まれるのを嫌い別宅で公爵家の支援を受けながら生活。
妹自身が公爵家の血筋とは知られていないらしい。
忙しい公爵様に変わって妹が小さな頃から様子伺いをして面倒も見ていたのだが、反乱軍の一員として動いている最中に見つかってしまい、そこで堂々と妹宣言。
反乱軍に近づくなと説得をしたが、兄を心配する妹は離れることもなく、仕方がないので組織内で置いておくことになったとのこと。
「クローリーが来たってことは、ファンライズから勇者を連れてってのは分かっていたけど、あんたがその勇者なんだな。
今回は、あんたのおかげで、もうすぐ収まることが出来そうで助かったわ。」
トマスさんが詳しく説明をしてくれたところによると、俺達が兵士を軽く一蹴したことで企画された大規模な反乱軍討伐計画が騎士・兵士側から皇帝に遡上をされたのだが、今までの散発的な内乱とは異なり、本格的かつ大規模な武力衝突が発生をすると帝国の国力は大きく損なわれると判断をした皇帝は退位を決意。
新皇帝も既に決まっており、それに合わせて現体制側を一掃して、国内に対して融和的な民衆人気の高い体制を目指す方向で進んでいる。
また、反乱軍もその方向性で良しとする流れにして、時期を見て解散するとのこと。
ただ、反乱軍の中でも過激な人物も少数存在するので、そこは上手く処理をするとのことで、なんだかんだで権力者側の強さを伺い知れた。
とのことで、俺達が集めた情報以上のことを、既に反乱軍上層部は把握をしており、しかも裏では解決まで進んでいた。
結果としては、俺達の情報収集は無駄に足で終わったが、反乱が終わりに向かっているなら何よりだ。
そこから1週間ほど反乱軍の拠点をベースに帝国内を観光。
既に皇帝の退位と新皇帝の就任の発表に合わせて、税制の改革や貧困層への補助等々、国内向けに新しい政策が発表をされたことで帝国内はお祝いムードとなって、観光を楽しめた。
そして、最後に新皇帝への最初の挨拶という、おめでたい成果を携えてファンライズへ帰国することになった。
さて、ファンライズへ帰国後はやっと魔王国への出発だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます