召喚した王女と召喚された勇者
龍門義和
A面 異世界から召喚した勇者が思いどおりに動かない!
第1話 王女様の野望
私、エステルはファンライズの第一王女の姫であります。
我が国はこの大陸で唯一魔王国と接しており、魔族からの直接の襲撃は未だないものの、断続的に魔王国から魔物が襲来し、国は疲弊をしています。
他国でも自然発生的に魔物が生まれ被害はあるものの、魔王国由来の魔物はその数や質が桁違いです。
その魔物の素材や魔石を他国に売ることで、なんとか国を維持しておりますが、それもこの国が受ける被害に比べたら微々たるもの。
魔王国と接する広い範囲は魔物の襲来で荒れ地となっており、農作物が育たず、税収の確保もすることができません。
その為に食料の生産も需要を満たすことが出来ず、他国からの輸入に頼っております。
このままでは、私がファンライズの女王となる頃には魔物に蹂躙されて魔王国の一部となっていてもおかしくありません。
この状況を逆転させるためには、私は禁断の勇者召喚をおこなうしかないと思っています。
ファンライズを建国した祖王が残した禁断の秘術。
時代の流れの中で一部不明となっているところもありましたが、私自身が様々な資料を集め解析をして、なんとか完成をさせました。
お父様である王様は異世界から勇者を拉致同然で連れて来る召喚に忌避感があり、宰相からも勇者召喚には数少ない主要産業である魔石を大量に必要とする為、財政に大きなダメージを与えるので反対をされたが、私の派閥の貴族達を扇動して、なんとか勇者召喚をお父様と宰相に認めさせました。
そしてさらに、この大陸で魔王国からの襲撃を受けている我が国はこの大陸の盟主とならなければなりません。
勇者が魔王国を制圧した暁には、勇者の力と魔王国の戦力を使って、この大陸を併合していきましょう。
今まで、ファンライズだけに魔王国の魔物を押し付けてきた報いです。
この国には、それだけの権利があります。
お人好しで甘いお父様では、勇者召喚はギリギリ認めることができても、その後に大陸制覇なんてすることは出来ないでしょう。
そう、次のファンライズの女王となる私が大陸制覇をするしかありません。
「私こそがこの大陸の女王となるべきなのです。」
いよいよ、勇者召喚の準備が整いました。
祖王が過去に勇者を召喚をおこなったとされるこの場には、私と実際に召喚をおこなう魔術師が10人、護衛の為の騎士が数名、そして我が国の最大魔力を有する魔術師団長がおります。
実際に召喚をおこなう魔術師達は我が国でもトップクラスの魔力量の持ち主ですが、この召喚をおこなうことでほぼ魔力が尽きて、最悪の場合、魔術が使えなくなる恐れがあります。
そして、魔術師団長には大事な任務を任せています。
それは勇者に奴隷の首輪を装着させること。
勇者が必ずしもファンライズに、いえ私に対して友好的であるとは限りません。
そこで、勇者には召喚された直後に奴隷の首輪を装着させることにしました。
これは王様であるお父様にも秘密であります。
きっと、お父様に話をしても反対をされてしまうでしょう。
なので、奴隷の首輪の主の設定も私にしてあります。
私が大陸の女王となる為にも、その方が良いに違いありません。
ちなみに、魔術師団長が首輪を装着させるのは、奴隷にする人物よりも魔力が大きい人物が装着をさせないと抵抗をされて拒絶をされてしまうから。
伝承によると、召喚される勇者は素質としては、この世界の住人を遥かに凌駕するだけのものがありますが、召喚された直後はそこまで強いわけではないとのこと。
それでも、念には念を入れて我が国で最大魔力を有する魔術師団長にお願いしたのです。
さらに、勇者を鍛え上げる為に我がファンライズ国内は勿論のこと、他国からも一流の人物を招聘しました。
それが後々、他国を併合する戦力となることも知らずに、他国も甘いものです。
特殊な魔法陣に大量の魔石を配置をして、魔術師達が魔力を注いでいきます。
魔法陣から徐々に光が溢れ出し、大きな柱となって輝いています。
「さぁ、私を大陸の女王にしてくれる勇者様、どうぞいらっしゃってくださいませ。」
小さく呟くのでした。
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