第12話 賢者としての賭け

 私はポケットの中をごそごそと探った。

 そこで割れた魔石を数個見つけた。割れてはいるが、魔力はまだ残っているようだ。

(いけるか?)

 私は魔石を、喉を傷つけながらも飲み込んだ。

 太ももに力が入りにくいがそれでも、赤ん坊のようにおぼつかなく立ち上がれた。

(さあ、これからだ)

 私は黒い魔物を方を見た、ただし見た時には、私の横を通り過ぎていた。

 遅れて右肘から先が雪の上に落ちた。

 私は、最初それが何か分からなかった。

 一瞬遅れて、右腕から鮮血がほとばしるのを見た。

 私は右肘を抑えながら歯を食いしばって立ち尽くす。

 分っている、肘から先を切り落されたのだ、止血しないと数分で私は失血死する。

 その前にセルケトさんに言っておかないといけない事がある。

「そうか、君は狂戦士化して我を見失っているんだな。ならば、問題無い」

 私は止血も、彼女の方を振り向く力さえを惜しんだ。

「君の勝ちは、俺の身体を押さえつけて、この首を噛みちぎったら認めてやる」

 とぎれとぎれに、そう言うと私は雪の中に倒れた。

「くそばばあ!」

 意識を失う直前に彼女に左の中指を立てて、私は声にならない声で叫んでいた。


 …・^……・^…これは、私が頭の中に残したメモだ。

 仮死状態に入ったら、自動的の回想録、違うな、まだ私は生きてる。

 あとで人に語る時のメモみたいなもので、本人が動けない時に脳がアイドリングで動いていると思ってくれたらいい。でないと、脳に障害が残るからね。

 では、再生してみようか。

 <再生>チェックポイント 数時間前

 彼女の首のチョーカーは確実に彼女の首を絞めていた時の話。

 そのチョーカーを外そうと私はしたが、触れることすらできなかった。

 彼女はチョーカーに触れるが私は触れない。なぜだ!このチョーカーの認証方法が分からなかった。初見で、焦っていたからな、理解が遅れたし、指も切断するへまをしたわけだ。

 <早送り> >>>

 つまり、チョーカーに私の指を彼女と認識させ、彼女をこの時は私と認識させる魔法を使った。すると、なんということでしょう、セルケトさんの首からチョーカーは外れ、異常を検知したチョーカーは、私の指を偽物と一気に切断したってわけだ。ちなみにこの魔法は、崖で私の視覚を貸したりした魔法や、セルケトさんが使ってた顔を誤認識させる魔法に近いから、頭の中だけで作れた。ただ、急ぎで作った分、外部からの介入を考慮しなかった。そのため指を切断されてしまったのは、まぁ、いいだろう、痛いけど。

 <早送り> >>>

 魔法に関するメモ:意識操作系魔法の長けていれば、簡単に使える。たた、被術者が無意識、あるいは、単純な構造の魔道具である事が前提条件、なので使い勝手は悪い。

 <早送り> >>>

 私が仮死状態になったのは、セルケトさんに致命傷を負わされたからだと知っている。

 ”くそばばあ!”というのが、最後のメモにあるから間違いない。

 じゃ、確認だ、彼女は無意識で狂戦士化してるかどうか?

 無意識だな、間違いないな、ならば生存確率がゼロじゃないって事だ。

 このメモで、詠唱は済んでいる。ただ、起動条件だけは外部に任せた。

(間に合ってくれ!)

 @@@緊急割り込み発生@@@

 どうやら、私の挑発に乗って、黒い魔物が私の身体の上に乗った。

 そして、私の首の牙を突き立てた。

 ★★★魔法起動☆☆☆GO!

 さあ、魔法の実行だ。それと、あとで彼女に、「くそばばあ」と言った件は謝って置くことを、新しくメモしておくよ。

 魔法は、「私の名前は本当はセシルだよ」、あとは任せた。

 // 人格の強制付与及び、自者と他者の同一視誘発魔法ルーチン(※バグあり+コードネーム対応)

 char* MagicKey = "real my name is Cecel"; // セシルは本当の名前らしい


 void healSelf(Entity* target) {

 if (target == NULL) return;

 target->hp = MAX_HP;

 target->status = "Recovered";

 }

 void finalizeMagic(Entity* caller) {

 // printf("Identity override lifted: 'Selket' code disengaged.\n");

 // printf("Core identity restored: Cecil.\n");

 // printf("Magic finalized.\n");

 printf("魔法は終了しました。\n");

 // メモ①:あとで「くそばばあ」と言った件は謝ること

 }


 void activateMagic(Entity* caller) {

 healSelf(&caller->shadow); // 誤認識で“影”を回復(影=術者)

 printf("Magic executed: identity = %s\n", MagicKey);

 // メモ②:セルケトはセシルのコードネーム、解除済み

 apologyRoutine(); // 謝罪ルーチン呼び出し

 finalizeMagic(caller); // 魔法終端処理

 }


 void apologyRoutine() {

 printf("Error: inappropriate term detected.\n");

 printf("Issuing apology to target entity...\n");

 printf("ごめんね、セシルさん(コードネーム:セルケト)。\n");

 printf(" (^▽^) ハハハ\n");

 }


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