Mahoo!ニュース『特集:貧困層の間で流行する悪魔召喚。その実態について』

6/6 16:39 配信 日刊幻想新聞

 5月29日、セントラル市法務庁のドラグーン種シューティングスター長官は、セントラル市で違法な悪魔召喚例が急増している事を明らかにしました。悪魔召喚は現代においては魔導学府など専門知識を保有する集団が適切な手続きに則った上で初めて認可されるものとされています。召喚する悪魔の階位や程度に関わらず禁止されており、社会秩序を著しく乱す行為として糾弾されており、また監視対象となっています。


 しかし、昨今、都市壁の外側で、いくつもの悪魔召喚の痕跡が確認されています。セントラル市警の発表によりますと、昨年観測された違法な悪魔召喚の件数は31件ほどにとどまりましたが、今年はすでに50件もの違法悪魔召喚が確認されており、その数は増加しています。


 セントラル市魔導学府のトライテン導師は、悪魔召喚は適切な手順、道具、願いの明確化と達成までのロードマップの作製などが事前に必須であり、わずかな誤りが大きな不幸を呼び込むほか、適切な悪魔以外を召喚してしまった場合、多くの災いを呼ぶ可能性があると警鐘を鳴らします。

 「かつてソロモン王の時代、悪魔は72柱に定義され、秩序だった悪魔召喚が成立していました。しかし、このシステムはご存じの通り1914年に瓦解し、非制御下の悪魔たちが召喚できるようになりました。その結果として第一次人魔大戦へと発展し、世界中で甚大な被害が発生したわけですが、それだけに現代の悪魔召喚は強い規制対象となり、各政府はこれに備えた監視システム『シバの目』を構築したわけです。(この後、悪魔学の詳細な解説が続いたため中略)……我々魔導学府としては、現在この件に対しての対策術式を構築しています。詳細をお話しすることはまだできませんが、必ず違法な悪魔召喚を抑え込めるよう、尽力してまいります」


 本誌記者はこの問題を取材する中で、ある事実に気づきました。悪魔召喚の実施された場所、および逮捕者の属性を照らし合わせた結果、これらの悪魔召喚は主に貧困層を中心に行われていました。


 そこで、悪魔召喚で逮捕された人物から、匿名と種族非公開を条件にインタビューを実施しました。


本誌記者(以下本):「本日はよろしくお願いいたします」


Aさん(以下A): 「はい。お願いします」


本:「まず率直にお伺いしますが、貴方は何故悪魔召喚を行ったのでしょうか?」


A:「その、生きることに希望が見えなくなって。だから、最後くらい、何か美味しいものが食べたくなって、悪魔召喚なら願いが叶うって聞いたから」


本:「――――なるほど。美味しい食事を。失礼ですが、対価として見合ってないのでは?それならお金持ちになるとかの方が、美味しい食事だけでなく色々なものが手に入ると思うのですが」


A:「あ、そういうのもあったんですね。でもそんなこと、考えられなくて、思いついたのが、ただ、美味しいものが食べたかったんです」


本:「そうだったんですね。話を戻しますが、生きることに希望が無くなったというのは」


A:「私が幼いころ、両親は離婚して母に引き取られました。母は仕事で手一杯でご飯はいつもマジックストアで買った総菜で、学校もお金が払えなくて行けなくなってしまって。言ってても汚いからっていじめられたので、行きたくなくなりました。それで家出をして、ゲー横(セントラル市壁門付近の地域。ゲート横の略)で同じような子たちがいて、それなりにうまくやってたんですが、そこをシメてる子から嫌われてしまって、居場所が無くなっちゃったんです。家にも溜まり場にもいられなくなったから、もういいかなって」


本:「そうでしたか。それで、悪魔召喚のための道具や知識はどうやって準備を?」


A:「友達だったB子から教えてもらったことがあったんです。(この文章はセントラル市法務庁指導の下、伏せさせていただきます。ご了承ください)。そうやって準備をしました。難しくはなかったです」


本:「なるほど。よく理解できました。その後、悪魔を召喚して?」


A:「はい、教えられたとおりにやったら、悪魔が丸で囲んだ中から出てきました。(悪魔のビジュアルについての情報は伏せさせていただきます)みたいでした。それで、沢山美味しいものが食べたいって言ったんです。そしたら悪魔から怒られました」


本:「怒られた?」


A:「その『お前魂捧げるんやぞ?!美味い飯くらいで釣り合うわけねえだろうが!』と怒られまして」


 本誌はこの取材結果をセントラル市魔導学府に協力を取り付け、セントラル市法務庁承認の下、Aさんが召喚した悪魔を召喚し、取材を敢行しました。また、悪魔の名称については、法務庁指導の下、伏せさせていただきます。


本:「では、取材させていただきます。よろしくお願いいたします」


悪魔(以下悪):「契約だから答えるけど、最近の召喚者は頭がおかしいのばっかりだな。それで、Aだろ。ふざけてると思ったね。魔術師ならともかく、普通の連中がささげられる対価は魂くらいのもんだ。で、Aは美味しいものが食べたいとかいう漠然な願いで呼び出して魂を捧げるとか言い出した。これが『世界中の名店の料理を対価が釣り合うまで食べ続けたい』とか『歴史上、あるいは名料理人が作った料理を食いたい』とかなら叶えたぜ?それならば対価は釣り合うからな。だがよ、魂ってのは尊いもんだ。尊いからこそ俺たちにとっても価値がある。Aの願いを釣り合うように叶えることは難しい。すぐに死ぬつもりのやつにどうして釣り合うだけの飯が食わせてやれるんだ。だから説教したんだよ。生や魂が如何に貴重なものか。例え状況がクソでもそれをよくできるのは生きてるうちしかできねえってことをな」


本:「失礼ながら、悪魔であるあなたが説教を行うのはただの徒労だったのでは?」


悪:「そりゃな。だが、あそこで説教しなかったらただ絶望して死んでいくだけだろ?それは魂の価値の毀損だ。いずれ俺たちが手にするかもしれない魂の価値を下げるのは不利益でしかない。ただの損失回避だ」


 その後の調査で、この悪魔はAに対して警察への自首を進めて、適切な行政支援につなげる方法を指導したとされております。


 今回取材したAさんは悪魔の説教により結果的に魂を失わずに済みましたが、悪魔召喚を適切な許可と手順なしに実行してしまうと、遅かれ早かれ魂を失う結果となります。また、Aさんの様に周辺環境が閉鎖的で、想像力が働かない状況では、自ずと悪い方向へ流されやすいものです。

 どうか早まらず、適切な行政の支援を受けられるよう、本人だけでなく、気付かれた方は通報いただけますと幸いです。


魂の相談窓口:MEL XXX-XXX-XXXX (受付時間10~19時・24時~6時)

セントラル市中央区ホワイトサンクチュアリ1-14-5霊魂相談課(受付1階) 10時~17時 2時~5時



みんなの投票

Q:違法悪魔召喚についてどう感じますか?

投票数:532件

非常に問題だと思う   90% |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

問題だと思う        7% |||

あまり問題だと思わない  2% |

問題だと思わない     1% |


コメント 147件

41:ヒューマン種バンセンタ・ブー [人材派遣業社長]

「昨今の貧困事情は実に嘆かわしいですね。皆、稼ぐ力に乏しすぎます。しっかり稼ぐことを覚え、利益を最大化すれば豊かな生活ができるのに。努力が足りなすぎます」


47:名無しの妖精さん

>>41

「流石社員から利益を搾り取ってる会社の社長が言うことは違うな」


48:ヒューマン種バンセンタ・ブー [人材派遣業社長]

>>47

「何を根拠に?名誉棄損で訴えますよ?」


62:名無しの妖精さん

>>48

「即レスで必死過ぎて笑えるわ。自分で求人サイト見て来いよ。額面で16万GCとかマジウケるわ」


63:ヒューマン種バンセンタ・ブー [人材派遣業社長]

>>62

「向上心があればもっと稼げる仕事ができるはずです。その仕事をする者が向上心がないだけの話では?」


78:名無しの妖精さん

>>63

「だめだ、こいつホンモノだ」


83:名無しの妖精さん

>>78

「こいつより悪魔の方が優しいとかマジウケるわ」


以下12件の返信


3:名無しの妖精さん

「悪魔さん可愛いかよ。萌えるわ」


15:名無しの妖精さん

「悪魔さんめっちゃ優しいじゃん。ちゃんとご丁寧に行政につないでるのウケる」


31:名無しの妖精さん

「願い方下手糞すぎんだろ。俺なら永遠の命を願って一生魂を取られないようにするね」


60:名無しの妖精さん

>>31

「植物か無機物に変えられて死にたくても死ねなくなって、殺してくれって願うオチだろ」


94:通りすがりのノーライフキングさん

>>31

「永遠の命は本当にやめておいた方がいいですよ。あらゆる感覚や感性が鈍って無感動になります。並の刺激では全く物足りなくなります。死んだまま生きる事になりますよ」


42:名無しの妖精さん

「てか、こいつ想像力なさすぎね?バカ過ぎてウケる」


55:名無しの妖精さん

>>42

「お。ゴルゴーンさんちっすちっす。鏡見た方がいいっすよ」


59:名無しの妖精さん

>>55

「は?バカはてめえだろ?(この文面は伏せさせていただきます)」


以下5件の返信


103:私って綺麗?さん

>>55

「ゴルゴーン差別やめてください」


132:名無しの妖精さん

「悪魔の事を優しいとか萌えるとかいう人たちがいますが、それは彼らの術中であり非常に危険です。悪魔は我々を貶めるためならば如何なる手段も問いません。この記事の悪魔は、嘘はついていないのでしょうが、かといって、自身の好意を脚色している可能性が非常に高いです。忘れてはいけません、彼らは高次元の存在であり、我々とは異なる感性、知性を持っています」


151:悪魔さん

>>132

「ほんとそれな。マジで信用なんかすんなよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る