試される人の願いの間に。

陽炎ザクロ

第1話「始まりの鐘」

 「ソラ、君は自分を知らなければならない。これで君に会うのは十五回目だ。君も君の神託を楽しみにしているよ」


 ぼんやりと移る黒い人影が徐々に消えていく。

 懐かしくて、胸が締め付けられそうで仕方ない。


「待てよ! 俺はお前のこと何も知らないんだっ! 」


 俺は必死に見えなくなっていく影に手を伸ばす。

 見覚えのある天井、天井に向かあって手を伸ばしている。


「んー、俺ってなんか変な夢でも見てなかったら、こんな変なポーズで起きないよな」



 自己分析をしながらベッドから起き上がり、うるさくなっている枕元の卵型の目覚ましのアラームを叩いて切る。


 地球では昔からモノリスと呼ばれる異界からくるモンスターに蹂躙されていた、そこで生物は潰えるかに思えたが、人々の中にパートナーと呼ばれる、異能を発現させる者たちが現れ、年代を重ねる毎に、平和を勝ち取ってきたのだった。

 だが、世界中のモノリスを発生させる門ゲートの強さは年々増していき、ランクという定義がされていった。

 学園の寮でワンルームにシャワーとトイレは別だ。

 背伸びをしながらカーテンを開け外を見る。

 土砂降りだ。


「天気悪っ! ここは天気が良くて、俺が今日はいい天気だ。何かいいことがあるはずって言えるパターンだろう! 」


『おーい、ソラ。そんなくだらない妄想力働かせてないで、早く学園に来い。あまりにも遅いから連絡してみたらこれだ。今日はライセンスの測定の日だって忘れてないか? 』


 親友の声がチョーカー型端末から聞こえてくる。


 ライセンスは世界中で十五歳から測定していて、どのランクか測定後。ナンバーズというパートナーが渡される。

 パートナーとは深層心理からの覚醒で目覚める精神体だ。

 ランクによってパートナーが覚醒してどのような能力が扱えるか決まるからだ。


「やっべ! 連絡してくれてありがとうな。トモキ」


  俺は急いで外出の準備に取り掛かる。


『いいってことよ。僕はもうライセンス認定されてBランクだよ』


「すごいな! Bランクってことは軍所属も夢じゃないだろ」


『まぁ。そうなんだけど、パートナーがいつ覚醒してどんな能力かで配属決まるらしいんだよね』


「そっか、よし。ダッシュで向かうわ」


『土砂降りなの忘れてない? 』


「あ……」


 俺は新品の制服を濡らさないように、傘をさしなるべく急いで学園へ向かった。


 学園は高層ビルのように高い。

 世界中の人種が集まる学園だ。

 

 東京湾に作られた人工島はいわば、エリートを生み出すための箱庭である。

 

 それぞれの分野に分かれ、十八歳の成人まで学ぶ。

 それが「ナンバーズ養成学園」の在り方だ。


 俺は測定時刻二十分遅れで学園の門を潜った。


―ピー、上代ソラ出席確認しました。


 門の通過で確認音声が流れる。


 測定室前まで行けば、赤髪の短髪で赤い目の青年が手を振っている。

 黒い制服が合っている。


「おーい、ソラ―。遅すぎだよ! 」


「え? トモキか? 」


「ふっふっふ、赤色ってかっこよくない? パートナー覚醒してないけど、外見は変わるって本当だったみたい」


「じゃあ、俺も見た目変わるのか」


「初めは違和感あるだろうけど、慣れればいいよ。僕は気に入ってる」


「上代ソラ、測定室に入りなさい」


「……ソラ、頑張って」


「ん?そんな心配そうな顔するなって、測定するだけなんだから」


 トモキの顔は検査室にはいる最後まで変わらなかった。

 中に入ると金属の椅子に手足を固定され、そして頭にはヘルメットが頭に被される。


(なんか、映画で見た、電気椅子みたいで怖いな)


「それでは、測定を始めます。ピー、三、二、一、照射」


「ああぁぁぁああああああああ!! 」


 機械音の秒読みと共に、俺は頭が割れるような痛みから全身が壊れそうな痛みに比例し、身体が自然と反応しのたうちながら、意識を飛ばした。


「……測定終了しました。測定判定はDです。深層意識にあるパートナーの測定結果です。これからの学園生活を楽しんで下さい」


 自分の汗のかいた長く黒い前髪を掻き上げる。


「激痛だったし、測定はDだし、髪伸びただけっぽいし、最悪だ」


 俺はベッドに寝かされていたので見れば制服は白から最低ランクのDランク判定の赤の上着になっている。

 俺はあることに気づいた。


「……マジで? 」


 休憩室の姿見を見れば、黒髪の絹のような長髪に女顔に見える美形で金色の瞳の華奢になった俺がいた。


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