第17話 「アメリカ大陸横断」
メンフィスからラスベガス
距離にして1581マイル(2545km)
22時間56分
ニューメキシコのアルバカーキーを経由する。
アメリカをほぼ横断する砂漠の旅…
「飛行機を使っている余裕はない…幸いここから一直線、精霊の秘密の道を使う」
僕とロボはバイクで並走しながら大声で怒鳴りあっていた。
サイドカーにはプラボが座っている。
「どういうことだ!」
「石飛ばしのようにワープしながら進むのさ!!」
廻りの車も100km以上でブンブン飛ばしている。
周囲はハイウェイ以外何もない。
「人目が途絶えたらワームホールを開く!!」
薫に向かっても怒鳴っている。
ロボとプラボのサイドカーを頂点にして楔形にシフトする。
前方に渦巻く黒い渦が見える。
飛び込んだ!!
抜けると右手に赤い平べったい山々が見える。観光写真でよく見る風景だ。
モニュメント・バレーのような風景…
また黒い渦が見えた。
再度飛び込む。
今度は前方に山々が見える。
あれがロッキー山脈か…
「これが最後だ!!」
黒い渦を三度超えた。
僕らは山々の中にいた。
防寒服を通しても肌寒い…
今度は北上する…もう直線ではないので「この手段」は使えない。
国道40号線から93号線に乗り継ぐ…
流石に疲れたのでドライブイン「ポープアイズ・ルイジアナ・キッチン」で一休みする。
特にロボの消費が激しい。
「今度はわたしが運転する。サイドカーでゆっくり寝ていて…」
「ああ…」
滅多に弱音を吐かないロボがここまでになるとは余程の荒業だったのだろう。
帰りはラスベガスからニューヨークまで飛行機を使うしかないか…
帰りがあるのならばだが…
タンクにガスを入れ終わった。
ポープアイズ・ルイジアナ・キッチンを後にする。
93号線北にラスベガスの表示を見た
フーバーダムを見て左に進み、いよいよラスベガスだ。
おなじみのカーボーイがクイクイしている広告を見るため93号線を降りる。
市内に入り早速電話を探す。
「アルフレッドか…」
「はい佐々木様…」
「酋長を攫ったギャングとは…」
「マカブルファミリーと名乗っております。ラスベガスのカジノを牛耳っている
組織でオムコエバ師は多額の負債をこのファミリーに背負っていたようです」
「なんでまた…」
「師は儲けの大半を共同体に寄付していましたから返済を後回しにしていたようで
持ち船が修理にだされたので返済が滞ると思ったのでしょう…」
「事情は説明しなかったのか…」
「しても納得する連中ではありますまい」
「なんにしてもバサラブ公は肩代わりしてくれそうか…」
「それはご心配なく」
「でラスベガスに着いたんだが待ち合わせ場所は…」
「やつらの経営するホテルでございます」
「名前は」
「カジノ・ロワイヤル・ホテル…」
ぼくらはかなり極めてホテルに入った。
先方には来訪をあらかじめ伝えている。
僕とロボは黒のタキシード、髪はポマードで後ろに結わえている。
薫は黒、プラボは赤のドレスを粋に着こなしている。
ついてくるなとは一応は言ったが…聞くような玉じゃない。
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