32話 クラス
「すごい緊張する...」
私は今、白銀さんが担当するクラスの前に立っている。
「そんな緊張することか?」
「舐めてかかってくるやつは潰しちまうだけよ。」
そう言いながら、零式さんは笑っていた。
「やめてくださいね。」
友達ができない生活は本当に勘弁してぇ……
「入っていいよ〜。」
白銀さんの声が聞こえた。今日から白銀先生か。
教室のドアをゆっくりと開け、教卓まで足を運ぶ。
賑やかだった教室は一気に静まり返る。
え?なに?新入生はあまり受け入れないの?
「あ、赤羽麻希です。」
「よろしくお願いします。」
………………
自己紹介をしても教室は静まり返ったまま。
「転校生の赤羽さんです。」
「みんな、仲良くしてあげてね〜。」
………………
白銀先生が紹介しても、状況は変わらない。
「みんなテンションが低いね〜。」
あ、やっぱり触れるんだ。
何となくみんな私から目を逸らしている。
遠くからコツコツと音が聞こえる。
その音はだんだん近づいてきた。
ガラガラと大きな音を立てて後ろのドアが開く。
「セーフ!!」
見たことがある生徒が勢いよく教室に入ってきた。
「めちゃくちゃアウトですね。」
白銀先生が小さな声で言った。
「お?」
「見た事あるぞ君。確か不良少女!」
遅刻少女はハッとした顔をして口を抑えた。
何故か不良のレッテルを転学初日に貼られた。
「良かった、生きてたんだね!!」
遅刻少女は私の肩を2回叩いた。
「早く座ってね。会長。」
会長……確か、1年生に生徒会長がいるって聞いていたような。
ということはこの人?!
「私は風間真央!よろしくね不良ちゃん!」
風間さんは私に手を差し出した。
私はその手を握った。
「赤羽麻希です。よろしくお願いします。」
「あと、不良じゃないです。」
「む?そうなの?」
「まぁいいや。また後でゆっくり話そうねぇ〜。」
とりあえず話してくれそうな人が出来た??
「それじゃあ赤羽さん、会長の後ろが君の席だよ。」
会長は窓際の後ろの席に座っていた。
その後ろに誰も座っていない席があった。というより、明らかに追加で置かれた席だと思う。
「困ったことがあったらなんでも言ってね。」
小さな声で会長はそう言った。
「それでは、ホームルームを終わります。」
白銀先生はそう言ってから教室を後にした。
昨日時間割や教科書等は白銀先生から受け取ったため、授業は受けることはできる。
問題は追いつけるか……それが一番心配だ。
「赤羽ちゃんはどこから来たの?」
「さっき握手した時にすごい強い力を感じたけど。」
「普通の公立高校から……ですかね。」
「本当に?」
「だとしたらその強さはおかしいんじゃ……」
「……そこまでにしろ真央。」
また勝手に口が動く。
会長は大きく目を開いた。
「零式?零式だよねその声。」
「どうやってるのそれ?」
「零式本人だよ。麻希の中に今はいる。」
「あまり変なことはするなよ。」
「こいつの中にいる式霊が目を覚ますからな。」
「呪われてるってこと……?」
「まぁ、そうとも言うかな。本人に実害はないみたいだけど。」
「というわけだ。麻希がある程度制御できるようにはなってきたとはいえ、麻希とこいつの中に棲む式霊はまだ不安定なんだよ。」
……なんか言い方悪くない?大丈夫?
「なるほどね。」
「ただ、麻希に直接危害を加えようとしなければ、式霊が現れることは無いはずだ。」
「仮に現れたとして、私が全力で止めるようにする。」
「それは安心かな。」
「実技でしばらくこいつは見学だから、みんなも安心してほしい。」
「後ろ盾が随分と強いね麻希ちゃん。」
式者の世界をよく知らないけど、私の中にいる2人のおかげでどうやら私は最も強い人間になってしまったらしい。
ただ、零式さんが話してくれたおかげでクラスメイトが目を合わせてくれるようになった。
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