6話 赤羽麻希
「話し合いは終わりましたか……?」
高校生は不安そうな顔をしながら質問を投げかけてきた。
「とりあえずね。」
そういえば、この子の名前を聞いていなかった。
「君、名前は?」
「私は赤羽麻希です。」
「赤羽さんね。」
「赤羽さんは高校生?」
高校生と断定していたけど、実際はどっちなんだろうか。
「今年から高校生になりました。」
「どこの高校に通っているの?」
「ここから近くの公立高校です。」
「ただ……」
何か問題があるかの様な間が開く。
「何か問題がある感じ?」
「私にはお姉ちゃんがいるので……」
「周りに見えているみたいです……」
大体察しがつく。
「よかったらうちの学園に来ない?」
学長には話を一切通していないけど、多分こうしたほうが色々と都合がいい。
赤羽さんは学校で浮いてしまうことがなくなる。
赤羽さんに取り憑いている式霊が万が一暴走した時、学園内にいれば対応が遅れることがなくなる。
また、暴走が学園内だけで完結させることができる。
「そんなことできるんですか?」
彼女は驚きと不安が混じった顔をしながら言った。
「この後聞いてくるけど。」
「多分できる。」
なんとなく確信があった。
彼女は困惑している様子だった。
「お姉ちゃんはどうなりますか?」
「君の意見を尊重するよ。」
「私は……」
「私はお姉ちゃんと一緒に居たいです。」
先ほどまで困り顔だった彼女とは違って、まっすぐな目で彼女は言った。
「決まりだね。」
「学長に話はつけておくよ。」
「多分近いうちになると思うから、荷物はまとめておいた方がいいと思うよ。」
そう彼女に言い残し、僕は施設を後にした。
…………帰りはゆっくりと帰ろう。
擦り傷は痛いし、全身に与えられた衝撃は今も残っていてそれも痛い。
………………………………………………
………………………………
………………
「痛い痛い!」
「じっとしてくださいよ……」
呆れられながら、保健室の先生に手あてをされる。染みるんだもん。
「珍しいですね。」
「白銀先生がここまで怪我をするだなんて。」
「普段は自分が強いって豪語してるのに。」
なぜだろう。保健室にいるのに心が痛くなってきた。
そうこうしていると、学長が保健室に来た。
「大丈夫でっか?」
半笑いの学長が僕を見つめる。
「みんなで僕をいじめるんですね。」
「まぁまぁ拗ねんといて。」
「ほんで話って?」
本題を忘れていた。
「うちの学校って生徒の空き枠とかありますか?」
「相変わらず無茶苦茶言うね君。」
「厳密には空いてへんよ。」
終わった。
あれだけいけるとか思ってたのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます