カビが生えるまで、眠りたい

カビが生えるまで、眠りたい

ほこりが溜まるまで、眠りたい

いつかの記憶が薄れるまで、眠りたい

あの日の、悲劇さえもかき消すような

あの時の悲しみを塗りつぶすような

あの言葉の怒りを膨らませるような

あの瞬間の喜びを打ち壊すような

あの迫る恐怖を無に変えるような

眠りが欲しい

眠りが欲しい

自分の体が内側から腐っていくような

自分の心が沈んでゆく

飲み干してしまえばいいのか

それすらも分からないまま私は死を望む

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る