オネエな私の異世界備忘録
真珠院ミレイ
プロローグ
「さ、これで完璧♡ ほら、鏡を見てごらんなさい。最高に可愛くなったわよ!」
私はにっこり微笑んで、仕上げにほんのひと塗り、リップグロスをオン。
その艶めきは、彼女の緊張をふっと溶かす、最後のひと押し。
ここは、とある百貨店の一角。
人気コスメブランドのカウンターは、今日もたくさんの「変わりたい」人で賑わってる。
接客歴はまだ浅いけれど、私の“目利き”と“技術”は、ちょっとやそっとじゃ負けないつもりよ。
――ええ、ちょっとオネエ口調が目立つのは自覚してるわ。
でもそれが案外、安心感につながってるみたいで。ギャップって、武器なのよね♡
「すごい…自分じゃないみたい…。」
鏡の前で、嬉しそうに笑うお客様の顔に、私もつられてほころぶ。
ああ、こういう瞬間があるから、この仕事、やめられないのよね。
人を“キレイ”にできるって、やっぱり最高だわ。
「じゃあ、次回までにアイブロウの描き方、ちゃんと練習しておくのよ?
自分でもできるようになったら、もっと自信がつくから♪」
軽くウィンクを添えて、お客様を見送る。
その背中がすこしだけしゃんと伸びているのを見て、私はこっそりガッツポーズ。
今日もいい仕事したわね、私!
あと数分でシフトも終わりだし、帰りに新作のリップでもチェックして――
──そう、その時だった。
突然、足元に淡く光る模様が浮かび上がった。
まるでファンタジー映画で見るような、魔法陣……?
眩しい光が一気に視界を飲み込んでいく。
耳鳴りのような音がして、周囲の喧騒がどんどん遠ざかる。
ファンデーションの香りも、店内の音楽も、すべてが遠のいていく。
代わりに私を包むのは、まぶしい光と……見知らぬ空気の気配。
次に目を開けた時、そこは、見たこともない異世界だった――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます