第7話【リライト】『異世界転移して語り部となり異世界で暮らす』

【タイトル】異世界転移して語り部となり異世界で暮らす


【原作者】ロムブック 様


【原作リンク】 https://kakuyomu.jp/works/16818622175597581464


【該当話リンク】https://kakuyomu.jp/works/16818622175597581464/episodes/16818622175598229790


【作者コメント】

 リライトして欲しいのは、(中略)以下のエピソード、全文です。

 ……

 短くても長くしても良いので、自由にリライトして頂きたいと思います。


【リライトコメント】

 お目汚し失礼します。

 得意の会話劇なので十人十色自己流でやらせて頂きました。対話の中の真実を聞くために努力するところを、地の文を使わずに何処までできるのか……。

 ただ言い回しは変えてあるので、本来の作品の質と異なる点はご了承ください。

 楽しく書かせて頂きました。ありがとうございました。


 ======本文======


 カケルのイデアでの語り部十一名との暮らしも大分慣れた頃。カケル自身も日本の記憶は薄れ始めて三カ月が経った。カケルの語り部としての三番目の来客者が現れた。カケルも来客者が来るのを楽しみにするようになっていた。事実、人と話すことに充実感を覚えてもいたのだ。カケル自身願ってもないことだった。それも司祭、次司祭、他の語り部たちの影響力が強かった。語り部たちは人と人との対話の中に真実を求めているのだ。優秀な実話、物語を求めている。




 今回は子孫繁栄について言及をするつもりらしい。やっと十歳になろうかという少女が来客者がだった。




「こんにちは。お嬢さん」



「子供が産まれるかも知れない。そう母さんが言ってた」



「そうなんだね。それはおめでとう」



「おめでとう?私は別に弟が生まれようが妹だろうが嬉しくないの」



「そうなの?それはどうして嬉しくないのかな、エマちゃんは」



「その分、家計が苦しくなるからよ。当たり前のことでしょ」



「なるほど、そう言うことか。でも、君の父さんと母さんはもう一人欲しいと思ったんでしょう?」



「私は肉体的な愛情や感情は信じないの。あと貧乏なの」



「すごいね。そんなことまでもう知ってるんだ。エマちゃんて天才だね。でも肉体的な愛情や感情って、何なのかな」



「馬鹿にしないで」



「これは失敬」



「武勲や美談ではないけどそれもまた武勲を作るためのものだと思うの。それだけ毎日の生活は大変だと私は言いたいの」



「つまりは『大きな成果を上げる為には、日々の努力が必要』って知ってるんだ。10歳にして、その大変さを理解できてるなんて、エマちゃんは本当に頭の良い子だ」



「でしょ?」


「子供はこれ以上いらない。私だけで充分」



「これからの苦労を考えると、君はそう思うんだね。でも、いらないと言ってももう産まれそうなのではないの」



「まだ確実に決まってない。母さんはそう言ってただけ」



「そうなんだ。するとまぁ君の母さん父さんに夜の営みはあったわけだ。つまりその……二番目の子供を作るつもりで、関係があったと……」


(僕って……こんな事も言えるんだ……)



「その通りだと思う。語り部のお兄ちゃん」



(僕、まだ十六なんたけど……。まだこの話をしないといけなあのかなぁ……。司祭さま、次司祭さま、誰か代わって欲しい)


「じゃあ、もしもエマちゃんが大恋愛をしたら同じように思わないかな。お互いに好きになったら、なかなか拒めない欲求なのではないの」



「なかなか拒めないか。それもそうか。私、大恋愛したことないから」



「もしも弟や妹が産まれるにしても手塩にかけて皆で育てれば良いんじゃないの?」



「それもそうね。語り部のお兄ちゃん。過度に気にしすぎちゃったみたい。でも産まれてこない方が良いと思うのが本心よ。産まれてこなければ弟や妹の面倒をみる必要もなく憂いがないもの。パパやママだってそう思うに決まってる」



(憂いかぁ……でも良かった。納得してくれた)


「じゃあその時が来て、問題があるならまた来てよ、エマちゃん」



「OK」



「君の考え子孫繁栄に対する理論は優秀だと思うよ。こちらも凄い参考になった。あと、僕の名は髙橋カケル。実はこの国の出身じゃないんだ。遠い場所に妹がいる」



「そうなの。会えなくて寂しくないの」



「エマちゃんのような子がいればね。それと自分がいなくなっても心配したら駄目だと言ってあるんだ」



「そうなのカケル。ありがとう、今日は話せて良かった。楽しかった」



「僕も楽しかったよ。気を付けてかえってね」 




 今回の語り部の仕事は終わり、カケルは胸を撫で下ろした。



 ◆



「ふぅ、緊張した……」


(あれでよかったのかな)



 ――部屋の奥から、柔らかな声が返ってきた――



「すごいわね。立派だったよ、カケル」



「司祭さま。……聞いておられたのですか」



「ええ、こっそりと。ごめんなさい」



「いえ。じゃあ、どうでしたか。合格でしょうか?」



「もちろん。大正解よ。あなたの言葉は、ちゃんとエマの心に届いていた。……ちょっと感動したくらい」



「本当ですか」


(それなら、よかった)



「ふふ……あなたと話していると、思わずからかいたくなっちゃうのよね」



「そんな」



「冗談だけど……ちょっと、本気で結婚したくなったわ」



「えっ……それ、本気半分でも困りますよ」



「ふふ、安心して。まだその気はないから」



「じゃあ、『まだ』ってことは、将来は……?」



「さてね。それはあなたの語り部としての成長次第かしら」



 司祭はやわらかく微笑んだ。その表情に、カケルは胸の奥が少しだけ温かくなるのを感じた。


 以前の彼なら冗談半分に笑って終わったかもしれない。だが今は、ふと想像してしまう自分がいた。

 ――この司祭と、もし本当に……。



(やめておこう、今は。まずは語り部の仕事だ)



 そう自分に言い聞かせて、カケルは微笑み返した。



 司祭が冗談か本気かわからないことを言っている。司祭も以前よりカケルと打ち解けて、親密になってきているようだ。これなら語り部の仕事も上手くいくに違いないと誰もが思う。ハネムーンだなんてカケルの方が断らないかも知れない。カケルは妙に期待してしまった。あの司祭とだぞと。




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