パーティを追放されたSランク冒険者は追放先で新人育成をしながら無双する。
司馬波 風太郎
第1話
世界にダンジョンと呼ばれるものが現れてから数十年が経過した。そのダンジョンに存在していたモンスターは現実世界に現れると人間を襲い始め、人類の脅威となった。
しかしダンジョンが現れたと同時に人間にも変化が見られる。映画や漫画で書かれるような異能の力に目覚めた人間が現れ始めたのだ。
彼らはやがて自分達の脅威となったモンスターと戦うために自分達の組織を立ち上げる。今日それは冒険者協会と呼ばれるようになり、モンスターと戦う異能の力を持つ彼らは冒険者と呼ばれるようになった。
今日、彼らによってモンスターが討伐されダンジョンが管理されることによって、現実世界が破壊されることは格段に減り、人々はダンジョンのあることを受け入れて生活を営むようになっていた――。
*
「圭、お前にはこのパーティから抜けてもらう」
冒険者としてパーティーを組んでいる友人の天崎 迅の突然の宣言に俺――桐谷圭は呆然としてしまった。
「な、なんでだよ、迅。いきなりパーティを抜けろなんて……なにか理由でもあるのか」
「理由? それはお前以外のメンバーがお前がここから出て行くことを望んでいるからに他ならない」
迅にそう言われて俺は他のパーティーメンバーを見つめる。他のメンバーからも迅の意見に対して反論は出なかった。
「どうしてこんなことを……」
聞くだけ無駄なのかもしれないが俺は思わず聞いてしまっていた。打ちひしがれた俺の様子を見て迅は満足そうに笑う。
「なに、皆お前の傲慢さに辟易していたということだ。俺達に合わせずスタンドプレーでモンスターを対峙したりするからこんなことになる」
それはお前らが自分の実力を考えず、格上の魔物に挑んだりするからだろう。自分のパーティーの名を売りたいばかりに無謀な攻略ばかり決行するのをこっちがカバーしているというのに。内心で俺はパーティーを組んでいたメンバーを毒付いた。
「俺の今言ったことはお前以外のメンバーの総意だ。俺は皆の意見を代表して喋っているに過ぎない。分かったか」
ああ、よく分かったよ、用は嫉妬したから追い出したいってことだ。なら、俺がとるべき行動は一つ。
「……分かった。パーティーの総意がそういうことであるなら俺はこのパーティーから去ろう」
「ふん、聞き分けがいいな。だがこっちとしてもくだらない揉め事が起きないでお前がパーティーを抜けてくれるならありがたい。さっさとここから去れ」
「……ああ」
迅の冷たい言葉を受けて俺は彼に背を向ける。そのまま一歩を踏み出して彼らの元から俺は去った。
*
「……まさかこんなことになるなんてな」
パーティーを追い出された俺はこれからどうしたらいいか考えながら街を歩いていた。
「まあ、長く友人だった奴からこういう仕打ちを受けると結構ショックなんだな」
幼馴染で長い付き合いのあった迅からパーティーを追い出されたことで思った以上に自分が落ち込んでいるのに気付いて俺は力なく笑う。冒険者がパーティーを抜けたり入ったりするのはよくある話だというのに。
「……とりあえず教会に行ってモンスターの討伐の依頼でも受けるか」
沈んだ気持ちを紛らわすためにも今は体を動かしていたかった。今の俺を見かけた人間がいたなら亡霊と勘違いしてしまうかもしれない。俺はそんなことを気にすることもなく、討伐依頼を受けるために冒険者協会の建物へと足を運んでいた。
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