6話

 更に一年後、修行内容に一本歯下駄を履いて森の中を全力疾走することが加わっていた。


この間のとある日、街を歩いているとドワーフに遭遇する。


旅のドワーフ、ボブ爺との出会いである。


ボブ爺はコタローの持つ刀?に興味を持ち、声を掛けたのだ。


コタローはちょっと誇らしげに刀?を見せたが、返って来たのはダメ出しのオンパレード。


いろいろ聞かれたコタローは刀?の作り方?を教えると、ボブ爺から一言。


「作ってやる」


いろいろ思うとこは有ったコタローではあったが、有無をも言わせぬボブ爺に任せることにして、修行に向かった。


特に期待せず。


実はこのボブ爺こと旅のドワーフは鍛冶界隈で有名な人物であったが、コタローが知るはずがない。


また、ボブ爺との付き合いが長くなることも、この時点で分かるはずもなかった。




 修行内容について、やる回数を一日100回にしていたメニューは一日1000回に変更していた。




 ボブ爺と出会って一週間後、宿屋にボブ爺が刀を持って訪れた。


ついでとばかりに、この街に店を構えたことをコタローに報告した。


あまりの早さ、見た目だけでもコタローが作った刀?とはまるで違う刀、期待の低さ、何よりボブ爺のことを忘れていたコタローは驚いた。


金額を聞いたコタローに対して、いらんと答えるボブ爺。


ならばと、コタローは苦無の作成依頼を出す。


苦無のことを知らないボブ爺に説明することになったが、大したことはなかった。


後日、コタローの修行に投擲が加わったことはもちろんのことだった。




 余談ではあるが、コタローは、貰った刀の銘を「柴丸」とした。


自分が作った刀?に銘を付けずに良かったと思いながら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る