11.近づく二人-2-






「!!」


「シェリー・・・?」


「レオン・・・?」


 見ていた夢の内容が余りにも惨く、残酷であったが故に泣いていたのだろう。


 武人である事を示すレオンハルトの武骨な指がシェリアザードの頬を濡らす涙を拭う。


「・・・・・・良かった」


 確かに感じる涙を拭う指の感触に、優しさを含んだ声に、自分の事を案じてくれている青とも藍とも見える色鮮やかな瞳に見つめられて安堵したシェリアザードの瞳から再び涙が零れ落ちる。


「シェリー・・・!!」


 泣いているからなのか、今のシェリアザードが余りにも儚げで消えてしまいそうだと思ってしまったレオンハルトは我知らず目の前に居る女を抱き締めていた。


「レオン・・・?」


「俺には、いえ、私には何がシェリーを悩ませ苦しめているのか分かり兼ねますが・・・」


 俺はシェリーを護る騎士


 貴女が生きている限り、俺は貴女の傍らにあり続けます


「生きてる・・・レオン、生きているのね。レオン、こうして貴方の心音を聴いていると・・・落ち着くわ」


 ありがとう、レオン


 これからも私の傍に・・・


 レオンハルトの胸から聞こえる心臓の音が子守歌のように感じたのか、或いはレオンハルトが生きているという証に安心したのか、シェリアザードは寝落ちしていた。


「シェリー?・・・眠ってしまった、のか?」


 見えない敵から護るかのように、レオンハルトは腕の中に居るシェリアザードを抱き締めたまま静かに目を閉じる。


 その頃


(えーい!お主達が互いに想い合っている事を我は分かっているのだ!どちらからでもよいからさっさと告白せぬか!!)


((((もしかして、俺(私)達ってお邪魔虫・・・だったりする?))))






 二人だけの世界に浸っているシェリアザードとレオンハルトに対してそんな事を思ってしまう一柱と四人であった。






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