第9話💬テスト勉強

 明々後日しあさっては、いよいよ期末テスト。今回も科目漏れはないか?前回の中間じゃあ、英文がひどすぎて親からも担任からもこっぴどく叱られてしまったのは、結構心にくるものがある。

「いや〜、いすぐちゃんが英語得意で助かったよ。今回はまだしも、が全然で。」

「こちらこそ、私も古典わからなかったから。」

 現在、図書室。私は、いすぐちゃんと薫と一緒にテスト勉強に取り組んでいる。皆それぞれに得意苦手が有り、それを克服するべく努力するのだ。私は、英語。薫は科学。いすぐちゃんが、古典に取り組んでいる。薫一人だけ理系科目なのは、本人 いわく好きな方に突き進む派だかららしい。ちょっとよくわからん。

「にしても、いすぐちゃん転入してから2週間しか経ってないのにテストって大丈夫なの?」

 ふと浮かんだ疑問と、その中にある不安を言葉にしてみる。

「う〜ん、さっき先生から訊いたら私だけ別室で、2週間前からの範囲だけやるんだって。」

「へぇー。つまり一人だけ贔屓ひいきってわけか。」

「ほらそこ、そういうこと言わない!」

【冗談だよ。ふたりともいじ甲斐がいあるな〜。】

「冗談だってぇ〜」

 薫は大抵のことには正直である。それは彼女の吹出しを観ればよくわかる。本人が悪ガキな思考しているのはいただけないが。

 でも、たまに何かはぐらかそうとする本音も観える。殆どの人によくあることだから気にすることもない。

 そう考えると、1ヶ月半くらい前の、暮密くんの黒塗りの吹出しは何なのだろうか。駄目だ。気にし始めたら、テストにまで影響しそうだ。

 すると、いすぐちゃんが。

「あ、でも満点自体が低くなるからどういう扱いになるか…」

 まあ、そうだよね。他の同級生クラスメイトとは、出題範囲が狭いのに、同じ扱いはできるわけがない。

「そういえばクラスには、もう慣れた?」

 薫は、いすぐちゃんに何気なく訊いた。

「うん。お陰様かげさまで毎日楽しいよ。よるちゃんのお陰で皆と仲良くなれたし。」

 急に自分のこと褒められたことに驚いて動揺しているけど、ちょっと…いや、めちゃくちゃ嬉しくなってニヤけてしまう。

「おやおや、よかったねぇ褒められて、嬉しいねぇ?」

 向かいの席の薫から弄られているが、嬉しさが勝って、全く頭に入らない。ヤバい、ニヤケが止まらなくなったきた。

「や、やめてよ…なんか照れる…」

 ん?今の自分、なんか見覚えあるな…誰かと似ている気がする。誰だろう…

「……あっ!!」

 急に大声を出しちゃったもんだから、二人を驚かせてしまった。

「どうした、大丈夫かい?」

「ご、ごめん。うん、大丈夫。」

 司書の先生が席を外していて良かった。さっきの疑問を咀嚼していたら、突然記憶のなかから飲み込める答えを見つけていた。それにる「あ!」だ。

 この感じ、暮密くんだ。この前、喋ってたときみたいなオドオドした感じ。いや私そこまでオドオドしてないでしょ、自分で云うのもあれだけど。

「…ねぇ、いすぐちゃんは、席替えで新しい席になって、どんな感じ?」

 折角なら、彼がどんな人なのか探ってみようと丁度この前隣の席になった子に訊いてみる。

「うん、隣が明梨くんなんだけど、ものすごく話が合うんだ。それに彼もギターやっているんだって。」

「へぇ〜」

 ありがたいことに、私の知りたかった話題がすぐに返ってくる。彼女が初めて此処にきたときの自己紹介の内容を思い出す。そっか、この子もギターできるって言ってたっけ。

【私が、教えているのもあるけど、意外と飲み込みが早いんだよなー】

え?いすぐちゃんが教えているの?

「ギター弾けるなんて凄いねぇ。今度デュエットでも誘ってみようかな?」

「あ、でも最近始めたらしいから、結構猛練習しているらしいよ。たまに教えてほしいって頼まれるし、リクエストしたらやってくれるかもだけど…」

 あぁ。そういうことなのか。薫の思案に対して、いすぐちゃんからの返答は、ただの友達クラスメイトって感じの雰囲気を醸し出している。彼女にも、友達ができてよかった〜!

 てか、いいじゃん!リクエスト!なんか弾いてもらえそうな曲探しておこうかな…

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