第14話

「はあ〜去年とは全然立場が違うよね・・・」


Sクラスで窓から見上げている女性ー今村春香はため息する。現在の彼女のランクはSで順位は1位。普通に見たら高い順位であろう。


だが、現在の学年の順位は入学時点の3位から9位へと変わっている。ここまで順位が落ちるとは思っていなかったが仕方ないかもしれない。


なんせ、上位にいる8人中4人は始原であるからだ。始原がある時点でおかしいがもう慣れている話だ


自分は強いと思っていたがそうではなかった現実。SSクラスの誰に勝てるのか怪しいくらい弱いと思っている。


最高権力者の孫としての立場がないなんては彼女は考えていない。それは祖父が頑張って努力して獲得できた地位だからだ。祖父ができるなら孫もできるなんて通じない。


ただ、そう考えてしまうのは実家からの期待としての重圧(プレッシャー)だ。両親がそうしているのか?と言われると違う。家族ではなく、親戚が自分が強いのかという話に興味を持っているのだ


親戚の集まりは特に面倒だ。現在どれくらい強くなっているとか、能力者としてやっていけているとか、何位になっているとか面倒と苛立つほどの言葉を言われる。


それを祖父が聞いた時は祖父はキレてぶっ飛ばしたし、両親はキレて出禁にするほど自分を守ってくれるが現在の1年生トップクラスの人達は自分と比べ物にならないほど強い


父親である今村焔はAランクの人間だった。だから、Sランクになった自分を褒めてくれたと同時に自分のペースで強くなってくれなど自分が決めたことを尊重してくれる。


だから、強くなりたいと思いが強くなっていくのだが現実は彼女の予想を遥かに上回る


同じ最高権力者の祖父を持ち、入学時点で4位、自分より低かった海野流星がトップ。2位だった風間は変わらずだが、荒野、星宮、天野、大正寺谷、公明院、松本に順位を抜かれた。


始原がその中で3人もいるから仕方ない部分はあるがそれ以外の3人はどうなのか?


荒野は不明、星宮に関しては父が学生時代の時の同級生でSクラスにいて、国が警戒するほどの強さを持つ星宮勝蔵の娘だから強いとなるかもしれないな能力が天使系の能力だから勝てないのもあるかもしれない。


天野は神系能力者であり、先月の事件で敗北したとはいえ、実力者として認めている


6人とも自分と比べて何か秀でているのだ。『神風』を持っている自分とは違い、能力も実力も高い


「劣等感を抱いてしまうよね・・・」


もっと強くなるためにはどうしたらいいのかと方法を考える。近道をせずに日々修行するしかないだろう。


自分の能力を極限まで鍛えるか誰かと修行して戦闘経験を積むかと色々方法があるが彼女にとって1番成長しやすい方法は何だろうか


その答えに辿り着くにはいつになるのか彼女はまだ知らない


彼女はSSランクへ上がるだろうか



ーーーーー


「まだだな。これでは足りない・・・まだまだ強くなる必要があるのか・・・」


闘技場で1年生と戦闘をして勝利した男ー七五三木宗太郎は闘技場に出る。彼は1年ほど前に起きた竜脳会の襲撃事件から比べると1年前とは比べものにならないほど強くなっていた。


日々努力を積み重ねたのが理由である。日々の努力の結果、この前のランクを判断してくれる水晶を触る機会があり、水晶に触った。するとSSランクが表示されたのだ。彼は強くなっていた


その結果どうなったかと言うとSSクラスに入ることが決定した。Sランク1位である、今村より先に認定されたのだ。彼の努力の結果が実ったと言おうか。


しかし、彼はSSクラスに入ることになったという結果に満足していない。それは何故か?


現在の自分の実力はSSランクに認定されてもSSランクにいる者達に勝てるのか怪しいからだ。彼が1番相手できるのは誰なのかの質問をされると分からないと答えるだろう


1番相手できる1年SSランクは・・・松本かもしれないがその場合は松本が弱いから相手できるのか近い実力があるから相手できるかと考えているのかと思われるが違う。


正直に言うと松本の能力は並の能力者でも相性が悪い。魂を操る能力を持っている可能性は大であり、自分どころかSSランクの者達でも相性が悪いと判断するだろう。


まあ、例外の人達がいるのでそれを断言するのは七五三木の判断に過ぎない。


だが、実際にそのような事を可能にした者はいる。海野流星だ、海野が勝利したのは彼女が加減したのか海野が彼女より上回った実力を持っていたからかなんて七五三木は知らないが勝ったというのは事実であり、本人も認めている


なら、彼は海野の実力を疑うのか?残念ながらそれはないのだ。死女王との戦闘から数ヶ月後にあった海野と公明院ー魔王との戦闘があった。


その戦闘を見ていた彼は海野が死女王である松本に勝ってもおかしくなく、本当なんだろうと判断した。


海野と公明院の2人が全力を出したのか怪しいところであるがここ1年で海野流星については理解している。


学園長の甥っ子で最高権力者の1人の孫で元生徒会長の弟という話を知っている。彼の親戚だけでもやばいと思うだろう


さて、彼の目標は海野流星を超えるためなのか。SSクラスの人達と戦えるほどの実力を手に入れるだけで最強に勝つという目標を持ってはない。


6つも能力を持っている相手に勝てる方法が思いつかないからだ。自分の能力『方向転換』では相手にならないのは分かっている。


能力から見て、悪魔系と天使系の能力を持っているのは確定、能力の上位クラスを複数も持っている相手に勝てるとは思えない


だから・・・だからこそ


自分の能力を覚醒する必要があった。能力者の限界を超えるために



覚醒能力



これは秘匿された能力の上位互換と言われている。世間が知られていないほどの重要な力だ。


彼は確定した情報を持っていないから知らないかもしれないが海野流星の祖父、久我道長は持っている。他にも持っているいふ。


何故、その力を知っているのか?別に誰から聞いたからではない


自分の能力が別の能力へ至ろうとしていると気づいたからだ。言えば勘だ。


それを気づく時点で彼は異常である。本人はそれを神が与えた試練と考えているがそれはだろうか


ある日のこと


「・・・やるか」


学生寮の自分の部屋で何かしようとする七五三木。自身の魔力を能力に注ぎ込んだ。能力に魔力を注ぎ込むという普通の人なら理解できないことを彼はやる


その瞬間、部屋は彼の魔力の暴走によって膨れ上がる。能力に魔力を注ぎ込む前に結界を張ったことで今のところは問題がないがどんどん増えていく七五三木の魔力に耐え切れるのか分からない。


危険な行為をしている七五三木。失敗したら死ぬかもしれないことをしているからだ。危険すぎる行為には代償がある。


今回の場合は失敗した時に死んでしまうかもしれないというやばい代償であるが確実に成功させるという意思を持ち、七五三木は行う


その結果



『方向転換』


が覚醒して


『運命』


対象の方向を変える力である『方向転換』から対象の運命を操る『運命』へと覚醒した


彼が覚醒する機会は殆どない。本来ならなかったかもしれないし、あったかもしれない。失敗すると思っていた覚醒への進化を成し遂げた。


「あははは!!や・・・と!成功した!!」


覚醒の成功にハイになっている七五三木


「これなら、SSランクの人達から文句を言われない」


最強になる目標を持っていなかった七五三木。最強へと目指すのか、それか諦めて上位の実力者としてなるのか


「今はこの能力を自由自在に使えるまで鍛えるか」


披露するのは使いこなしてからだと七五三木は考える。使いこなすことが現在の目標、使いこなすことができなかったら能力と同じである。


覚醒能力は能力の上位互換、その能力の力を存分に発揮することが覚醒能力者である


「やるしかないよな」


窓を開けて青空を見上げて呟く七五三木


ニヤリと笑っていた

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