第6話 番外編 久我道長2

事件発覚から数年後


「結局何も情報が見つからなかったな」


男は2人の子供を見る。彼らが地下室で発見してから数年。2人は男が住んでいる屋敷で遊んでいた。地下室にいた赤ん坊の2人は元気よく成長した。


それはいいわけではない。彼らの両親がどうなっているのか不明のまま。本来ならば実の親に育てられるはずであった。不幸に彼らの両親や村人達も消えた未解決事件としてなってしまったがその解決の目処は立っていない


「ねえ、道長!私の方がお姉ちゃんだよね?」


小さな女の子ー田中麗奈は男の子に聞く


「え?知らないよそんな事・・・」


誕生日はどちらが早いのか分からないーわけではない。彼らが住んでいたとされる家で見つかった紙からして先に生まれたのは道長の方だ


お姉ちゃんお兄ちゃんかと言われるとお兄ちゃんだろう。なんせ、道長の方が誕生日が早いからだ


「麗奈。どちらが上なのかの質問を答えるとしたら道長のほうが上だよ。誕生日は彼のほうが早いからね」


男が言うと首を傾げる


「私の方が上じゃないの?」


「ああ、道長のほうが早く生まれているからお兄ちゃんだね」


「お兄ちゃん?なにそれ・・・?」


お兄ちゃんという言葉に首を傾げる道長


「私より上だって!良かったね!」


「??何が上なのか分からない・・・」


どういうことなのか理解していない道長は混乱している。何がすごいのかなんで上なのか全く理解していないのだ。まだまだ小さい子供である


「そう言えば、道長」


「??」


「俺が買ってあげた和菓子食べたのか?」


「!」


「忘れん坊だな」


忘れやすい道長に慣れているなのか無表情から笑う男性


(何も起きないことを祈るか)



そんな願いを男は願っている。だがそれは




神の悪戯か運が悪かったのか


その願いは叶えなれない


彼らにとって最初のーーー



__________




『ドッカーン!!』


『!?』


突如大きな爆発音が鳴って驚く3人


「パパ!怖い!!!!」


「うわーーーん!!!!」


2人が男に抱きつく。そのせいなのか身動き取れないが今は二人を避難させるのかと何が起きたのか把握しないといけない


「当主様!大変でございます!!」


家の使用人達が現れる


「何が起きた。瀬戸。先程の爆発の正体を気づいたか?」


「それがげーーー」


瀬戸と呼ばれた男性が何か言おうとした時にまた爆発がした。それも何度も


『!?』


「原初『青』が京都を攻めています!」


「!」


原初が京都を攻めていることに驚く


「何!?能力組合は空を把握しているのか!!原初が暴走だと?本当に何が起きて上がる・・・」


「すでに最高権力者達を含めた上層部は動いていますが原初『青』を筆頭に『黄』『紫』が暴れているため『青』に対する戦力が少ないのです」


原初3人が日本に来て暴走するという予想外の事件が発生したなんぞ男は驚愕する。そもそも、原初が日本にいる時点でおかしいのに3人も来ているのなら状況は最悪だ。


今すぐ、自分の子達と住民の避難をさせて自分も参加するべきと冷静に考えるがそれを考える時間は全くない


「ここかな?」


『!?』


空から現れた青髪の男に驚く皆の衆


「何故ここに・・・」


「何故ここにって言われても仕方ないーなんてあるわけないが目的を達成するために暴れているだけだ。何も問題はない」


問題しかないのが聞いた人の共通の感想だ。青髪が特徴な男が誰なのかすぐに皆は理解した。見ただけで理解するほど男は異常なのだ


原初『青』ゼルファ


彼の目的はーーー


「田中麗奈をこちらに渡せ」


男の娘として育てている麗奈を奪うためにきたと理解した男はキレて言う


「どこから来たのか知らない奴に娘を渡す父親がいるか!!!!とっとと帰れや!!貴様に渡すモノなんぞねえんだよ!!!!」


「ああ?数年前に死ぬはずだった奴を殺すために来たのに随分舐めてんなぁ?まあ、能力者が俺に渡す者がねえのは分かるがそれはどうでもいい。邪魔をしないなら殺さないでやるが渡せよ」


キレた男にキレるゼルファ。すでに会話は成立しているのか怪しい


「だからやらねえって言ってんだろ!数年前?まさか、村の人間を消したというあの事件の犯人はお前が!!!!


なんでそんなことをしたぁ?あ?目的のためになら人を殺していいのかぁ?テメェらの目的が能力者だけの世界なら俺らにちょっかいかけんじゃねえ!」


魔法を発動させてゼルファに攻撃する


「その程度の威力で俺に勝てると思っているのか?残念だな通じねえよ」


魔法を簡単に無効化させる。長く生きている原初に魔法が通じるのか分からないが簡単に魔法を消した辺り、知っている魔法は通じない。ならば


「魔法がなくても能力がある」


自身の能力を発動させる


男ー坂上四季の能力はーー


「・・・なんだぁ?その姿」


姿を変える坂上に面白いのかどんな能力であるか気になるゼルファ


坂上の姿はーというより着物から軍人服に変わっただけ。ただ、能力による変化であると理解しているのかゼルファは攻撃しない。


攻撃するよりもどんな能力なのか分からないといけない。下手に手を出せばこちら側が負けるかもしれないからだ


数百年生きているゼルファは数えきれないほどの能力者と相手してきた経験を持っている。その経験から語るのはどんな能力なのか判明するまで消耗するような攻撃はしないこと。


それがゼルファが考えていることだ。自由に戦闘をしたいわけではない、自分に危害を加えそうな力を持つ者には警戒しないといけない


「ふっこれが俺の姿だ」


「服を変えた程度で?」


「能力に文句を言うなんて原初様は能力者を羨ましいと思っているのかぁ?」


原初が能力者ではなく、魔法使いなのを知っているからの煽りである。それを聞いたゼルファはブチ切れて戦闘をしようとしたが辞める。


ここで本気を出せば目的対象を逃してしまうと考えられるからだ。田中麗奈の殺害のために動いているのに絶好のチャンスを逃して失敗した理由がキレたからと同僚に言ったらなんて文句を言われるのか分からない


面倒、それが本音である。原初である彼にとって面倒ごとは避けたい。だが、そんなことを原初の共通の目的である能力者だけの世界には到底届かない。本音を心の中で思うだけにしないといけないのだ


「はぁ?そんなのはどうでもいい。今まで相手してきた能力者は数え切れないからな。これでも能力者との戦闘はしているんだよ」


「それは当たり前だろ。能力者だけの世界?できるわけない。非能力者が生まれたら殺される世界なんて誰が望んでいるんだよ。いや、お前らが望んだ世界の時の人間達ならそうするかもしれねえか」


自分とは違うからと理由で迫害されることは歴史から見てよくあることだ。白人が黒人を差別するように彼らが望む世界は非能力者を差別する世界。


今の世界より差別の異常さは桁違いになるだろう。才能がないだけで殺される世界は今も昔も未来もあるかもしれないし、すでにある、あったと答えられるが


「そんな世界を使って何を望む?お前達が過去に何をされたのか知らないがそんな世界を作っても今と分からねえよ。人間の本質は変わらないからな。能力者も非能力者も」


過去に人間によって闇落ちをしたとされる原初。過去がどうあれ、非能力者だからと殺す理由は理解できないーいや、したくない。過去と今は違うからだ


「・・・・・・」


「今回の件は俺の娘を殺しに来たんだろ?マジでふざけているのかぁ。言っておくがあいつは能力者だ。何故、能力者を殺す?


お前達の妄想とは違うと思うが?能力者を殺してまで目的を果たすとは随分覚悟を決めているようだなぁ。お前達が何をやろうとしても達成しない」


すでに子供達を避難させているので全力で相手できる。周りの建物などが被害出てしまうがそんなのは甘い考えだ。原初を相手に周りの被害なんて考える暇なんてない


「くだらん・・・お前は俺達の何が分かる?」


ゼルファが問うと


「お前らの計画は失敗する」


どこから出てきたのか分からない自信を持つ坂上


これより、ゼルファVS坂上四季の戦闘が始まる

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