第7話 秘匿スキル

リオとの夕食は、今後の俺たちの作戦会議となった。まずは、俺の持つスキルの説明からだ。特に、この世界ではありえない「戦車」という存在について、リオの反応は想像以上だった。


「戦車?鉄の塊が動いて、銃を撃つんですか?」


リオは目を丸くして、興奮と困惑が入り混じった顔で俺を見つめていた。無理もない。彼の常識からすれば、ファンタジーの魔物や剣士、魔法使いの世界に、突如として現れた巨大な鉄の塊は、理解不能な存在だろう。俺はドイツ1号戦車のスペックと、燃料が俺の魔力であること、そして弾薬がポイント消費であることを、できる限り分かりやすく説明した。


そして、俺はリオに「操縦手」の役目を担ってもらうことにした。


「俺の職業の『車長』は、戦車における全ての乗員の役割をこなせる万能スキルなんだ。指揮官、砲手、運転手、無線通信士、装填手。全部俺一人でできる。でも、一人で全部やるのは効率が悪いし、何よりこの戦車は本来二人乗りだ。だから、リオには操縦を担当してほしい」


俺の誘いに、リオは緊張した面持ちで頷いた。戦車を操縦するという未知の体験に、不安と期待が入り混じっているようだった。


「それと、大事な話がある。俺のスキル『収納』のことだ」


俺は自分の身体を指差す。


「このスキルで、俺はどんなものでも、好きなだけ体の中に収納できる。そして、いつでも取り出せる。」




「だから、できるだけ『歩き』で移動して、荷物は俺が収納して持ち運ぶ。

君も、なるべく荷物を持たなくていい」




リオは再び驚きに目を見開いた。常識破りのスキルの連続に、彼の頭はパンク寸前といった様子だ。俺が荷物を収納すると、リオの背中にあった小さなリュックサックや、腰に下げていたポーチが、あっという間に俺の体の中に消えていくのを見て、リオは言葉を失っていた。


「ただし」


俺は真剣な表情でリオに釘を刺した。


「この収納スキルのことは、絶対に他の奴には話すな。特に、お前の『盗賊』という職業と『罠解除』のスキルも、あまり触れ回らない方がいい。俺たちが追放された身だということは、絶対に隠し通す。生き残るためだ」


リオは真剣な眼差しで俺を見つめ、固く頷いた。彼の顔には、幼いながらも、この過酷な世界を生き抜くための覚悟が宿っていた。


こうして、タイチは戦車という切り札、そしてリオという新たな仲間を得て、本格的な異世界サバイバルへと身を投じることになった。リュックサックを背負ったリオの姿は、まるで普通の冒険者のようだ。しかし、その中身が空っぽであること、そしてタイチの体内に眠る戦車の存在を知る者は、まだ誰もいなかった。

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作者からのお願いです。 やる気につながりますので 

星の★★★  評価 よろしくお願いします。

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