戦車スキルで生き残れ! ==異世界ファンタジーサバイバルバトル==(戦車編)
わたなべ たくみ
第1話 追放された戦車オタク
インダス帝国の古城にある訓練場は、今日も剣と魔法の音が響き渡っていた。だが、その喧騒とは全く無縁の場所で、俺、タイチは膝を抱えて座り込んでいた。
「タイチ、貴様は本当にどうしようもないな!」
教官の怒鳴り声が飛んでくる。無理もない。
ここ、インダス帝国に召喚されてから三ヶ月。俺は毎日血の滲むような訓練を続けてきた。しかし、結果は散々だ。
俺のステータスは目を覆うばかりだった。
タイチ
職業:車長
レベル:0
体力:35
魔力:35
筋力:35
素早さ:35
器用:35
その他・・・・
スキル:
戦車 Lv.0
収納 Lv.0
鑑定 Lv.0
召喚された時、「素晴らしいスキルだ!きっと帝国に貢献してくれるだろう!」と皇帝直々に期待の言葉をかけられたが、その期待はすぐに絶望へと変わった。
俺のスキルは「戦車」「車長」「収納」「鑑定」という、普通はLv.1であり、このファンタジー世界ではなぜかおれはLv.0で全く意味不明なものばかり。そして、肝心の基礎能力は、どれもこれも驚くほど低い。同世代の平均値が体力80、力70、素早さ60だと聞けば、俺がいかに劣っているか、火を見るよりも明らかだろう。
剣術の訓練では、木剣を振るうたびにバランスを崩し、魔法の訓練では、詠唱どころか魔力の「ま」の字も感じられない。そして何より、この世界の移動手段である馬車の操縦が全くできない。手綱を握ると、なぜかバックギアに入れたかのように後ずさりしたり、急発進して壁に激突したりするのだ。
「もういい!貴様のような役立たずは、帝国には不要だ!」
城の広場で、俺は皇帝陛下の前に跪かされていた。周囲には他の召喚者たちが、憐れむような、あるいは嘲笑うような視線を向けている。
「追放する。二度とこの城に足を踏み入れることは許さん!」
皇帝の冷たい声が、広場に響き渡る。俺は無言で頭を下げた。追放。それは、この世界で生きていくにはあまりにも過酷な現実だった。だが、不思議と悲壮感はなかった。むしろ、ホッとしている自分もいた。
俺は地球にいた頃は、筋金入りの戦車オタクだった。暇さえあれば戦車の資料を読み漁り、模型を作り、シミュレーションゲームに没頭した。そんな俺に、剣や魔法なんて無理な話だ。
しかし、なぜだろう。この世界に来てからというもの、「戦車」という言葉を口にするたびに、胸の奥で何かがうずくような感覚があるのだ。
門番に背中を押され、俺は城の門を出た。目の前には、見慣れない街が広がる。異世界ファンタジーサバイバルバトル。俺の本当の物語は、ここから始まるのかもしれない。
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作者からのお願いです。 やる気につながりますので
星の★★★ 評価 よろしくお願いします。
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