第48話 小隊戦と神06

 マイリとキルスティに合わせて岩の間を飛んでいく。

 中央は押しているのかもしれない。地図での中間地点は過ぎた。

 やがて、たくさんの人を感じた。

 その方向に進むと、荷電粒子砲の光が両軍から滝のように流れていた。

 僕は停止の合図を出した。あの戦闘の中に入れるほど機体は強くない。

「おお。きれい」

 マイリは感激していた。

「あの様子だと、オレたちはすぐに墜ちるな。防御力が足りない」

 シルバは攻める気はないようだ。

「これは無理ですね。周辺の敵を叩きますか?」

 キルスティが提案した。

 僕は決着がつかない時に、生存数が関わるかシルバにきいた。

「それは、どうだったかな? ……軽く説明は読ん程度だ。わからないな」

 僕と同じで詳しくは知らないようだ。

「説明を読んだの?」

 マイリは説明書を読まずに使うタイプのようだ。

「私も知りません。あの分量は多すぎます」

 マニュアルは二種類ある。簡単にまとめて書かれたものだ。正式でなく詳しい説明はない。そして、正式の詳しい説明は別にある。これを読むんで頭に入れるのは隊長や副隊長、参謀だろう。普通の一般隊員には知らなくても遊べる。

 ひまわりにきこうと思ったがやめた。仕事中だろう。終ったら、どうだとばかりに報告してくるはずだ。

 僕はもう一戦して下がるのを提案した。

「おっ。戦えるの? やる、やる」

 マイリが乗った。

「そうだな。近くの敵を叩くか?」

 シルバも戦いたいらしい。

「近くに観戦している敵がいます。それを叩きましょう」

 キルスティはもう敵を探していた。

 僕たちはその敵を叩くことにした。


 今回も強襲である。まずはキルスティの狙撃から始まる。そして、慌てたところを僕とシルバで襲う。隊列が崩れたところにマイリが切り込む。

「「了解」」

 みんなが同意した。

 僕たちは有利なポジションに移動した。そして、キルスティの狙撃を合図に動くことにした。

 五機の敵は固まって中央の戦闘を眺めていた。僕たちが近づいているのもわからないようだ。

 僕はキルスティの狙撃範囲に入ると、止まった。あとはキルスティの狙撃と共に飛び出ればいい。

「では、いきます」

 キルスティの狙撃が始まった。

 僕とシルバ、マイリは岩の陰から飛び出す。そして、拡散荷電粒子砲を放つ。そして、アサルトライフルも同時に撃ち込んだ。

 敵は驚くいたようだ。バラバラに動く。二機ほど状況がわかないのか留まった。

 僕は一機にレールガンで狙撃する。敵の盾は弾き飛ばした。しかし、撃墜にはならなかった。

 シルバはその二機にガトリングガンで攻撃する。盾をなくした一機が爆発した。僕も拡散荷電粒子砲を放つ。戸惑っていた敵は全身に受けて爆発した。

 僕はマイリを探した。立て直した敵と接近戦をしている。相手の武器はスナイパーライフルだ。近接戦闘では有利のようだ。マイリは確実に相手の装甲を削った。そして、撃墜した。

 残る二機はシルバのガトリングガンにほんろうされていた。盾で受けながら逃げる手段を探しているようだ。

 僕はレールガンで狙撃をした。横から脇腹に弾丸は入った。すると、爆発した。

 僕は幸運だった。レールガンで僕は精密射撃はできないからだ。

 残る一機はキルスティの狙撃で頭が飛んで、次の狙撃で爆発した。

 僕は索敵をする。戦闘の光で敵が来る可能性があるからだ。しかし、探知範囲には敵の気配は感じなかった。

「レオンさん。どうしますか?」

 キルスティにきかれた。

 僕はマイリの損傷度合いをきいた。

「半分ってところかな? でも、まだ、やれるよー」

 マイリは元気なままだ。

 終了時間まで五分しかない。できることは少ないだろう。近くにいる敵を探してもいいし、帰ってもいい。この辺りで敵を探すのありだが、戦闘中に終わるだろう。

「帰ろうぜ。やれることやった」

 シルバは帰り道を指した。

 シルバのいう通り、あがく必要はないだろう。結果を見ればいい。

 僕たちは自軍の戦艦に向かった。


 戦艦近くにいるポムポムと合流した。

「お疲れ様です。勝ってましたか?」

 ポムポムは不安なようだ。

 僕から見るとこちらが押している。しかし、確実に勝っているかわからない。

「タイムアップで終了だ。時間になれば判定が出るだろう」

 シルバはいった。

 僕たちは判定を待った。

 終了時間なると、機体のモニターに大きく文字が並んだ。

『おめでとうございます。勝者、クリアストリーム』

 判定では勝ったようだ。

「やったー」

 マイリの声が聞こえた。

「おめでとうございます」

 ポムポムは手を叩いていた。

「ポムポムも私たちと一緒よ。役割が違うだけ」

 キルスティは笑っていた。

「完全勝利ではないけど、いいのか?」

 シルバの疑問に答える人はいない。それに、スペースギアでは詳しい判定は教えてくれない。あとで小隊長からメッセージが入るだろう。

 コンソールが現れた。帰還かログアウトかきいてきた。

「ロビーで祝勝と反省をしよう」

 シルバはいった。

 みんなは賛成した。

 僕は帰還を押した。

 次の瞬間には戦艦の格納庫にいた。

 僕は緊張から解き放たれて息をはいた。そして、空気を吸い込むと、また、はいた。

 勝ったのは素直にうれしい。しかし、至らない点が浮き彫りになった。課題は山積みだった。

 僕はコクピットハッチを開ける。そして、外に出る。まだ、格納庫は真空なようだ。ヘルメットが外せない。

 そこに、一人の人が僕に向かって流れてきた。

 僕は受け止めて、機体の一部をつかんで勢いを殺した。

「お疲れ様」

 ヘルメットの中の顔はひまわりだった。

 僕はお疲れ様ですと返事をして、ひまわりに特殊回線で進捗をきいた。

『あの小隊にはスピリットユーザーが多いわね。把握しきれていないわ。今後も調査が続くわ』

 僕は相手の小隊が中隊になれるかきいた。

『可能性はあるわね。でも、小隊と中隊では大きな壁がある。それを乗り越えられるかはわからないわ』

 僕は他の人の判断をきいた。

『それは、まだわからないわ。先輩も情報を集めているだけで、分析はしてないわ』

 今、確認しているスピリットユーザーの数をきいた。

『手分けしているから。結果が出るのは明日か明後日。呪いの気配でもあるの?』

 呪いはない。しかし、相手のスピリットユーザーに危機感がないのが問題だ。小隊長がスピリットユーザーなので安全だと思っている。

『それで、集まっているのね。それはよくも悪くも注目される。危険ね』

 その危機感がないので困る。

『レオン君がそこまで抱える義理はないわよ。あとは上に任せればいい』

 僕にできることは限られているのを実感する。弱い自分が嫌になる。もう少し、手を広げたい。

『わがままね。人一人ができることなど、たかが知れている。そうでなければ、人は群れないわよ』

 ひまわりのいう通りだろう。僕は今できることをするしかなかった。

『求めすぎるのも問題よ』

 ひまわりは笑った。

 僕は回線を切り替えて、今回の戦いで目標を達成できたかきいた。

「七割ぐらいかしら。殲滅はできていない。でも、敵を押していた。その間に資源衛星は確保できた。そうなるはずよ。あとは運営から結果が来るから、小隊長からのメッセージを待って」

 それで、わざわざ格納庫に来た理由をきいた。

「きちんと仕事したのを、ほめて欲しかっただけよ」

 自分でいう神経がわからない。

「だって、ほめてくれる人いないもん」

 先輩や上司はなら見ているだろう。

「みんな忙しの。それに滅多に評価しないらしいわ」

 それは重要な仕事をしているからだろう。自然と基準が高くなる。

「それでも、ほめ言葉一つあってもいいと思わない?」

 がんばっているのは認めるが、気分にムラがありすぎる。もう少し、自分をコントロールして欲しい。

「それは女の子にはいったらダメよ。体調で変わるから」

 ひまわりの剣幕に押された。僕はうなずくしかなかった。

「わかれば良し。でも、レオン君は男の子ね。もう少し、女の子を知らないと損するわよ」

 あとで女性の扱い方を検索しようと思った。

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