酔っ払い人間のおっさんと人魚の女王のお*さんの対談は続く

第1話 病み上がりの月曜日~謎の絵の宿舎にて

メル;人魚の女王・メルジーヌさん。押しかけアシスタント

名代;プリキュア御意見番・名代藤本定義 酔っ払いさんで通っている。


・・・・・・・ ・・・・・ ・


メル あんた、昨日は殆ど寝とったみたいやな。ご意見番終らせて。

名代 いやあ、寝汗しっかりかいたわ。途中断続的にのどは痛くなるし。

メル 今日は病院行かな、あかんで。

名代 もちろん行く行く。後、走り回らにゃあかんわ。


メル ところで、昨日は久々に、姪っ子が出たな。

名代 みこと? ああ、出た出た。

メル 親ばかの延長やっとったやろ?

名代 ま、まあな。アイドルなんかにうつつぬかして、のう。

メル 他にすることあるやろとか、言わんよな❓

名代 いやあ、そら、いくらでもあるとは思うが。

 ま、わしの娘じゃねえからええ。ああいう子がいても、ええ。

メル なんか妙な物分かりのおっさんじゃのう。

名代 人のこと、あまり言えたものじゃないけどな、わしも。

  なんせワシ、元岩井小百合ファンクラブだぜ。

メル そうじゃった。ほりゃ、カッティ―を悪し様には言えんわな。

名代 ま、まあな。でも、わしと違って怪しいアンちゃんや。

メル あんたも十分怪しいで。鏡、見てみ。

 鏡よ鏡、この世で一番怪しいオッサンは、だーれ❓

 ほれ、この酔っ払い人間や❣ と、鏡が云っておるわよ。

名代 それは鏡の真意に非ず❣ 恐怖のとしまえん人魚の御託宣なり!


メル その話はちょっとやめよ。であんた、忙しいみたいじゃのう。

名代 そうなのよ。そんな中、出先で休めたのは幸せよ。

メル ヘルマン・ヘッセと四反田五郎の往復書簡関連は、進んでいる?

名代 ちょっと手を休めているところ。待機中というべきか。

 ま、待機せんでも大気中にある物体のおかげで仕事は進んでおる。

メル あほな洒落のデキソコナイはやめんちゃいな。


・・・・・・・ ・・・・・ ・


メル せーくん、ヘルマン・ヘッセと四反田五郎のやりとり、全体としてどのように捉えておるのか?

名代 あれはな、わしの原稿読んでくれたらわかる通り、人類普遍の、いつの時代も変わらぬ年長者とそれに食いついていく年少者のやりとりの水位の典型であると、わしは思うねんな。

 確かにな、ヘルマン・ヘッセと四反田五郎の間のやりとりは、文学的な何かをやりとりするのではなく、私的なやりとりが多い。実は他の往復書簡集でも、程度や状況の差はあっても同じようなものだぜ。

 でもな、それだからこそ、普遍的な人とのつながりの本質が見えてくるのよ。

 メル姉あのな、わし、ヘルマン・ヘッセと四反田五郎の間と同じような構図の付合いを見ていったら、ロマン・ロランと高田博厚にまず出会った。それで話を聞きよったらなんじゃい、万年東一と宮崎学の関係性にも思い至った。それから今度は実話じゃないけど、映画の炎のランナーのサム・マサビーニとハロルド・エイブラハムズの関係性も、史実に残る部分とは別のところで、そのような人間模様がしっかり描かれておったのね。

 いろいろ見たけどな、この手の男社会ってのは、厳しい条件下成立する関係性の中での年長者と年少者のやりとりというのが通例でな、そんなこと抜きに無条件にして無償といってもいい関係とは程遠いはずのものなの。

 ヘッセが四反田に、最後の最後、自作エッセイの翻訳許可を与えて、それで四反田が返信に「ありがとうございました。」と書いて返した。こんなきれいな今生でのやりとりの〆、他に見たことがないよ、わし。四反田五郎がヘルマン・ヘッセに必死でくらいついていくように手紙を書き続けなければ、あれはたった1回の僥倖で終ったのよ。ま、どっかの女性グループの「打ち上げ花火」みたいなものや。

 ところが、そうではなかった。

 四反田五郎は、後にこそ自分の手紙のやりとりなどに気を遣う間があったらヘッセはもっと作品を作れたはずだと、後悔のようなことを述べている。だが、本当にそう言い切っていいだろうか?

 わしには、そうは思えない。彼が手紙を送り続け、ヘッセが老体にムチ打ちつつ広島の若者に手紙や物品を送り続けた。これは、マサビーニとエイブラハムズのような特別な条件のもと成立した関係なのよ。

 その対立軸として、わし、ひろがるスカイの虹ヶ丘よよさんのお言葉出した。あの関係性も実はわしの指摘する男社会とそうそう変わらないものかもしれんけど、元をたどれば、ね。だけど、彼女の言葉は、明らかにわしが指摘した男同士の関係性とは、確実に違う。どっちがいい悪いの問題じゃない。


メル そこはもう、あの原稿を読ませてもらうわ。ちなみにせーくん、あなたも、その特別な関係性の中くらいついて言った年少者の典型じゃない❓

名代 それは全く否定しないしできっこもない。よくくらいついていけたわ。

メル せやな。だからこそ、あんたはヘルマン・ヘッセと四反田五郎の関係性について語れるだけの力がついているのよ。

 それ、ひょっとせんでも、あんたがヘッセさんと四反田さんに選ばれてこの世に公開する運命を追っていたってことじゃないかな。

名代 いやあメル姉、わし、そこはまったくその通りや。だからこそ、ヨヨさんのあの言葉に大きな違和感と底知れぬすごさを感じ取ったってことよ。

メル そうかもしれないわね。

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