貴女というネットワーク、僕という衛星

たった一人を愛したつもりだった

でも気づけば

その人が見ていた世界全体に

手を伸ばしていた


あなたと繋がるということは

あなたの記憶と繋がることだった

まるで知らない街の地図をなぞるように

名前も知らない景色まで 好きになっていた


「あなたが好き」と言ったとき

それは、あなただけじゃなく

あなたを形作る すべての交差点に向かって

わたしの想いはひらいていた


夜中にふと呟いた歌の一節

昔好きだった本の一ページ

わたしの知らないだれかの名前

そのすべてが あなたの中で呼吸していて


わたしはあなたの中心ではなく

あなたの衛星だった

けれど、それでもよかった

誰かの想い出の端っこで

小さく光っていられるなら


あなたをまるごと好きになったというより

あなたを通じて

世界が、すこし優しく見えた

それが、いちばんの幸福だったのかもしれない

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