ポリファーマシーとは?
hekisei
第1話 ポリファーマシーとは?
本稿ではポリファーマシーについて語る。
が、多くの読者が「ポリファーマシー? 何じゃそりゃ!」と思うのではなかろうか。
実際のところ「そんな言葉は聞いた事がない」という医師もいるくらいだ。
なので、最初にポリファーマシーの全体像に述べ、その後に詳細を説明したいと思う。
まずはポリファーマシーの意味だ。
これは日本語では「多剤併用」と訳される。
「ポリ」が「沢山の」という意味で、「ファーマシー」が「薬剤」という意味なので、合わせて「多剤併用」だ。
つまり1人の患者に多くの種類の薬剤が処方されているという状態を表している。
単に多くの種類の薬をのんでいるだけでなく、色々困った副作用が起こる、というのがポリファーマシーである。
「多くの種類」というのは、具体的には5~6種類以上と定義されている。
最近では10種類以上の薬を処方されている患者も珍しくはない。
筆者自身も外来患者に交付する処方箋が3枚にも及ぶことがある。
数えた事はないが、ひょっとしたらこの患者に処方している薬は20種類を超えているかもしれない。
多くの薬を処方したからといって直ちに困った事態を招くわけではない。
が、時に困ったことになってしまうのは事実だ。
具体的には「興奮して変な事を言う」「やけに怠い」「全身に発疹が出来た」「考えがまとまらない」など、一体どんな難病・奇病なんだ、と思わされる症状が見られる。
で、よくよく調べてみると10数種類に及ぶ処方薬の1つが原因になっていた、という事だったりするわけだ。
被疑薬を中止してみると途端に症状がなくなるので「やはり犯人はこの薬だったのか」という事になる。
だから薬の出し過ぎ、すなわちポリファーマシーは良くない、という結論に至るのは当然だ。
しかし、事はそんなに単純なものではない。
やはり避けがたい原因があるからポリファーマシーになってしまうわけ。
単に「ポリファーマシーに注意しましょう」とだけ言っても回避困難なのが現実だ。
また、何らかの症状が見られたとしても、それが新たな疾患の始まりか、それとも薬の副作用なのか、それを判断するのは容易ではない。
仮に薬の副作用を疑ったとしても、どの薬が原因になっているのか。
そいつを10種類以上の薬の中から探し出すのは極めて困難だ。
時には複数の薬の相互作用で副作用が起こることもある。
だからポリファーマシーは最初から避けるべきだ。
やむを得ず多くの薬を処方する場合、常に副作用の発生に注意しなくてはならない。
もし処方薬による副作用が起こったら、すぐに対処すべし。
さもなくば、取返しのつかない事態を招きかねない。
本稿ではそれぞれの局面について何話かに分けて、その詳細を述べることとする。
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