近所に博物館がある

3000年続く博物館の割には未来から来たような見た目をしている

天井は吹き抜けで開放感がある

入場無料

ただし鰐が居る

餌代は必須

手のひらサイズの生肉が1つ50円で買える

何の肉かは誰も知らない

1階は鰐の為に床が水浸しになっている

靴が濡れるのが嫌な人は来ない方がいい

正面玄関から入って右側には大きな水槽が2つ重なっている

1階から見える下の方には見たこともない古代の魚がいる

うろこが鉄くずのような金たわしのようになっている

その中に真っ黒いモノ(おそらく本体)が包まれている

サイズは結構大きい

ひとつの水槽に沢山泳いでいる

水槽の前には線が引かれていてこれ以上近付かないようにと注意書きがされている

2つ目の上に重なっている水槽は下からは見えない

線が途切れる先に水槽に直接取り付けられた階段がある

これを登るらしい

2階(と言っても区切りはないため階段を登ったから高くなったいわゆる2階という扱い)にたどり着くとようやく上の水槽が見える

ここには小さな恐竜がいる

体の割に凶暴である

運が悪ければ共食いを見ることができる

あまり見たいものではない


※ここが動物園や水族館では無い理由としては恐竜がいるからである

筆箱に入る定規程度の厚さのガラス1枚で隔てられているだけであるため向こうがぶつかってきたら直ぐに割れてしまいそうな怖さがある


正面玄関から入ってすぐ左側はレストラン

海のような匂いがする

夏真っ盛りや潮風などという爽やかな香りではない

プランクトンの死んだような臭い

いわゆるニンゲンの死臭がするのである

左側少し奥にはL字型の水槽

これは水族館と言ってもいいほどの大きさの水槽

吹き抜けの天井の1番上近くまで続いている超巨大水槽である

こちらもガラスは筆箱に入るサイズの定規程度の厚さ

現実的にはありえない厚さだがここならば大丈夫らしい

その水槽の周りは少し高くそして溝があってこちらの床の水は入らないようになっている

少し水が漏れているのが気になるが溝に穴があるわけでもなく浸透していくような作りでもないため水槽からの溢れ出るものでは無いのだと思う

大きすぎて奥の方がよく見えない

たまにクジラの声が聞こえるのでおそらくいる


天井からはよく分からない木で出来た模型が沢山ぶら下がっている

細い蜘蛛の糸のようなものでぶら下げられておりいつ落ちてくるか分からないためあまり下を通りたくはない


2階の恐竜の水槽スペースを奥に進むと日没後立ち入り禁止の部屋がある

日没後立ち入り禁止とはいうがそもそもが入ることは許されずドアに付けられた窓から中を覗く仕組みになっている

日没後に覗いてはいけないという意味である

昔からの噂だがこの奥には人喰いの何かがいるらしい

日没後にここの窓を面白半分に覗いたニンゲンは中の何かが血のようなものを舐めていたと話した


〖ここで目が覚める〗


あそこの部屋の床は普段から黒い

日没後なら尚更暗く何が何だか分からない状態で血だと判別できるのだろうか

ぼくはその何かが普通に水でも飲んでいただけだと思った

そう思いたいだけかもしれない

床が黒い意味を考えるのをやめた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る