第15話.戦い③

 私、佐藤莉奈はヒロくんを見送って、猫と相対した。猫は鋭い爪を飛ばして攻撃を仕掛けてきたので、右手の指輪から盾を出して弾き返す。猫はひらりとかわした。そして猫は高く飛び上がる。そして急降下して爪で切り裂く。これも盾で防ごうとするが、若干のひびが入ってしまった。そして猫は何度も爪で攻撃してくる。それをずっと盾で弾く。


 「どうしたの、さっきからずっと防御じゃない」


 遂に猫がそう言った。私がずっと防御していることに違和感を感じたのだろうか。


 「そうね。彼ももう着いただろうし、そろそろいっか」


 そう言うと私は、髪をポニーテールに束ねている髪飾りを取った。セミロングの髪が解き放たれて下へ下がる。そしてその髪飾りを、左手の薬指につける。


 「こういうことするのは久しぶりなんだけど…」


 私はそう呟きながら左手を握り開きを繰り返し、そして指輪に触れる。


 「本気で行かせてもらうから」


 そして私は、変身する。私の、本来の姿に。久しぶりにこの力を出したので、解放感が凄い。そして指を鳴らす。そして私の横から槍が出てくる。穂は3つ。私は笑みを浮かべながら手を横に伸ばしてそれを掴む。軽く振り回してから、構える。この感じ、懐かしい。


 すると猫はこちらに飛び込んできた…かと思いきや私の後ろに回る。背後から安全にとどめを刺そうという魂胆なのだろう。いいわ。そう思ったこと後悔させてやる。そして私は宙返りをする。逆さまに見える世界。時間の進みがひどく遅くなったように感じる。まぁいい。こうなってくれて私も狙いつけやすいし。


 さっきまで私がいた所で爪を振り抜いた猫に向けて、私は槍を構えて猫の胴体を狙う。そして、突き刺す。3つの刃が猫の腹部に刺さる。そして槍を引き抜きながらもう1回転して少し離れた所に着地する。少し槍に血がついてしまった。だが、これくらいなら仕方ない。すると後ろから猫の声が聞こえる。


 「あなた…一体何者なの…」


 私は顔だけ振り向いて、うつ伏せに倒れている猫の目を見て伝える。


 「私は佐藤莉奈。あの人の…ヒロくんの恋人。そして彼の、本当の…」


 そう言ったが反応はない。けれど体はまだ消えていないから、生きてはいるんだろう。いや、もう霊だから生きてはいないか。そう思いながら私は槍を抱え直して階段を昇る。


 ヒロくん、今行くから。


 僕は部屋の床を転がる。やっと止まって立ち上がろうとした時、シラメの攻撃が飛んでくる。僕に当たるすれすれの所で、刀で受け止める。反応速度が落ちていると確信する。既に傷だらけで、更にさっきからずっと守りの側だからな。


 結局あの黒炎の術はシラメに当てることはできなかった。それどころかあの術の反動で一瞬動けなくなり、隙をつかれてしまった。そこからずっと守りの側。


 ふと、僕の頭に悪い予想が横切る。このままシラメの攻撃がずっと続いたら…。やがて僕の防御が追いつかず、あの衝撃波に直撃したら…。僕の頭の中に、佐々木の守護霊がフラッシュバックする。僕が最初に守護霊で戦闘したあの時。その時の敵は一瞬で体が…。


 覚悟を決めて僕は飛び上がる。ここで必ず挽回する。それが唯一の勝ち筋だから。右手で黒炎を出して、左腕の腕飾りにその炎を伝導させる。そして、衝撃波の形をした炎を飛ばしながらシラメに突撃する。


 シラメは、僕がしようとしている事に気がついたようで、ニヤリと口角を上げた後に剣を構える。そして、僕が飛ばした炎に自ら当たりに行った。傷1つついていない。力の差を見せつけるため…?けれど今更、もう後には戻れない。僕は落下する勢いのまま、最後の攻撃を繰り出した...

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