第13話.戦い➀

 「はぁ〜たらふく食べたし、そろそろ行こうぜ」


 佐々木が城を指さして言う。そうだ。楽しい時間はもう終わりで、ここからは仕事の時間だ。佐々木にとっての初任務。彼は武者震いしていた。莉奈がスマホの地図を起動して、城の真下まで行くことにする。


 案外迷うことなくすぐに着けた。しかし空高く過ぎて、どこから乗りこめば良いか分からない。そう思って辺りを見回すと、丁度よい高さのマンションを見つけた。あそこからならジャンプでギリギリ届きそうだ。そう思ってマンションの入口に入る。


 緊急事態で皆避難しているからか、受付の人がいない。自動ドアがどれだけ頑張っても開かないので蹴り破って侵入し、屋上を目指す。階段の位置は難なく見つかり、僕を先頭に1段飛ばしで駆け上がる。


 そして登りきって、扉を開けた。途端、目前にビームが迫る。反射的に前方に転がって直撃は避ける。一瞬振り返ってビームの軌道を見る。後ろの2人に当たらなかったのを確認して前を向く。ビームを発射したのはガンマンだった。体長は僕と同じくらいだろうか。片腕がない。きっと誰かの守護霊だった存在なのだろう。そして彼は言った。


 「貴様ら、ここに何の用だ?城に用があるなら帰りたまえ」

 

 すると、佐々木が僕にこっそり耳打ちする。


 「俺があいつに喧嘩を売るから、気を取られているうちに行って」


 そして佐々木は僕が何も言えないうちに僕の前に出て、


 「帰る訳ねぇだろ、ざけんじゃねぇ舐めてんのか?」


 そう吐き捨てた。元ヤンの気迫がピリピリ伝わってくる。ガンマンもその言葉にピリッと来たようで、「なんだと?」と言葉を返す。僕はこっそり莉奈の近くへ行って、「佐々木が時間を稼いでいる今のうちに城内に入ろう」と囁く。莉奈は軽く頷き、走って城へとジャンプする。そして僕と莉奈は、潜入に成功した。


 「門番が軽く入られてるなんて、メンツ丸潰れだなぁ」


 佐々木は手を叩いて笑う。ガンマンはチッと舌打ちをすると、銃口を佐々木の方に向けて1発撃ち込んだ。それと同時に佐々木のブレスレットから守護霊が出てきて、腕につけた剣で銃弾を斬る。そして佐々木のブレスレットに戻る。


 「俺なぁこないだ、自分より下だと思ってた奴に負けちまってよぉ」


 そう言いながらブレスレットを正面に持ってきて、


 「すっごい劣等感感じちゃって、自分が許せなくって」


 ブレスレットから小さな剣を取り出す。


 「もう負けたくないって思ったから、ガチで努力したんよ」


 剣を左手に持つ。


 「その結果を!今日ここで!見せてやるんだよぉ!」


 剣の持ち手をその右腕に着けた。その途端、持ち手から赤い輪っかが出てきて腕を包み、剣が長く伸びてサーベルへと変化する。更に佐々木は防具を装着して、頭には赤い羽根のついた兜をかぶる。そして変身が終わり、佐々木はガンマンに向けて突進した…。


 僕たちは城内に入って、その広さを目の当たりにしていた。奥が見通せない程の長い廊下が、目の前にのびていた。そして時々、その壁に扉が置かれている。それを片っ端から開けて、シラメを探す。だが、50回も開ける頃には疲れてしまった。そして地面に座った時、莉奈が言った。


 「これ…ループしてるとかない?」


 確かにあるかもしれないと思った。時計を忘れたので正確な時間は分からないが、体内時計だと既に30分は経っている。ということは…もしループしているとしたら脱出する方法は…。


 「それじゃあ私と一緒に、空気を斬りながら進もう。ループの元を斬れるかも」


 そう言って莉奈はソラを両手で抱えて、炎を吐かせながら進む。僕はハルを刀へ変えて斬りながら進む。そうやって1分進んだ頃だった。パリンと空中にヒビが入ったのだ。


 「やった!」


 莉奈はそう言ってソラの炎を増大させる。僕も何度も斬り刻んだ。そして…


 バリン!


 そのゲートが遂に割れて、大広間が顔を出した。勢いよく斬りすぎて少し前によろけてしまう。そして顔を上げる。大広間は左右に階段が回ってのびていて、床には赤い絨毯が敷かれている。ラスボスのいる城の豪華なエントランスみたいだ。すると階段の上にあった扉が開いて、誰かが出てきた。よく見てみるとそれは、直立二足歩行している猫である。正直に言うと細すぎて少し苦手なタイプ…。そんなことはどうでもよくて。


 「おやおや、お客さんが遂にこんなところまでいらっしゃいましたか。城内は関係者以外立ち入り禁止となっておりますので」


 そこで空気がさっと変わり、


 「あなたがたにはそこで消えてもらいます」


 そして猫はパッと飛び上がり、一直線にこちらに飛び込んできた。僕は右に、莉奈は左にそれぞれ避け、莉奈が猫を取り押さえる。そして叫ぶ。


 「ヒロくんは先に行っといて!あんたの守護霊でしょ、あんたでけりをつけてきなさいよ!」


 一瞬の躊躇いがあったが、莉奈は1人できっと大丈夫だろう。僕は軽く頷いて、走って階段を昇り、


 扉を


 閉めた...



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