第6話.家凸(2回目)
私は佐藤莉奈。校庭で突如始まったバトルを最初からずっとベランダで観戦している。対戦カードはヒロくんと河原崎ちゃん。
とても激しい戦いの末、最後は刺し違えて2人とも固まっている。さぁ、どうなるのか。固唾を飲み込んで、結果を待つ。
少し経った後、河原崎ちゃんの守護霊が彼女の金色の指輪に戻り、おもむろにヒロくんは剣を鞘に収めた。
やった、僕は勝ったんだ!僕の後ろで敵が倒れる音を聞きながら心のなかでこっそりそう叫び、僕…虎野将大はゆっくりと剣をしまった。カチリと鞘と剣がぶつかる音が心地よい。
「なんで…なんでよ!」
気づくと、河原崎が何か言っている。
「どうしてあなたみたいな陰キャが勝ってるの?こんなのおかしい…そうよ!これははんそ…」
「反則じゃねぇぇぇ!」
ブチギレた。ここまで一生懸命にやってるのに、どうして反則と罵られないといけないんだ。
「陰キャ陽キャ関係なく、人間ってのは平等なんだ!そこを忘れるんじゃねぇ!」
そう言い残し、僕は教室へと帰った。
「それにしても、今日の昼休みはすごかったね〜」
彼女の家への帰り道。莉奈にからかわれた。あんなに怒ったことは僕も初めてだったので、少し疲れた。
一生懸命戦って勝ち取ったものを、反則と言われ罵られちゃ誰だって怒らずにはいられないだろう。
「あの時、ほんと顔真っ赤だったんだから〜」
「…うるさい」
「やれやれ照れちゃって〜」
そう言うと莉奈は、右頬の絆創膏を突っついてくる。戦いの後、莉奈が貼ってくれたものだ。
「やっ、やめろよ」
僕はそう言いながら彼女の手をはらった。そういうやり取りをしている間に、彼女の家に着いた。しかし少し様子がおかしい。
そう、家の前に誰かいるのだ。明らかに怪しい人で、頭にフードを被っている。小声で莉奈に聞くと、面識はない人のようだ。
ただ、最近よく見かける男の人だと言う。間違いない。こいつはストーカーだ。声をかけたくないが、丁度前にいるので、どいてもらうために声をかけるしかない。
「すいません、そこどいてくれませんか?」
するとその男は振り向き、一瞬気持ち悪い笑みを浮かべた後、イラッとした表情を浮かべた。
「あん?なんでどかねぇといけないんだよ」
「そこ、僕の友達の家なんですよ。そこに立たれちゃうと入れなくて」
「じゃあ入らなければいいさ」
無茶言わずにさっさとどいてくれよ…。こういう人は話しても聞かないから…
「仕方ないか」
大きくため息をつくと、ブレスレットを掲げて、変身する。勿論、男を倒すつもりはない。ただの脅しだ。帰ってもらうための。そして剣を取り出し、男へ向ける。
「どかないなら、これであなたを斬って通らせてもらいます」
そう言いながら剣を振り回す。しかしそれでも逃げ出さずに、
「守護霊の剣で、現実のものなんか斬れるわけがない」
と言った。ため息をつきながら、地面に転がってる石に向かって剣を振った。石は綺麗に2つに割れた。すると...男は顔を青く染めながら、
「どうして…」
と言った。
「さぁ、どいてくれないか?」
すると男は渋々どいた。彼の横を通った時、すれ違いざまに「くそが」と言われたような気がしたが無視することにした。今、僕はそんなことより引っかかったことがあったからだ。
「さっきの男の前で石を斬った時、どうしてって言ってたけど、なんでか分かる?」
莉奈の部屋に入って早速、彼女に聞いてみた。同年代の女子の部屋に入るのはまだ慣れないが、普通の言い方で言うことができた。すると彼女は答える。
「守護霊の原則として、現実の物や人に直接干渉できないらしいの。だから石を斬れる事はおかしいの。ま、ヒロくんは守護霊に’’変身’’してるから違うかもだけど」
なるほど。そういうことだったのか。
「そういえば最近、守護霊の暴走事件が増えてるらしいね」
そう言うと莉奈はスマホのネットニュースを見せてくれた。なるほど、確かにそういう事件が大きく取り上げられている。
「身近な人の守護霊が暴走したら、どうしたらいいと思う?」
莉奈は不安そうな目つきで聞いてくる。
「もしそうなったとしたら…戦うしかないんじゃない?」
莉奈はなぜか、少し残念そうな顔をした。
その後も会話だったりゲームだったりをして、17時まで時間を潰した。
また明日ね、と手を振って莉奈の家を出ようとすると、玄関の門のすぐ前に段ボールが置かれている。宅配便かと思ったが、莉奈は何も頼んでいないと言う。とりあえず中身を見てみることにした。
すると、2匹のハリネズミがそこにいた。白色と赤色の2匹。どちらも少し弱っている。どうやらもう少し、莉奈の家にお邪魔する事になりそうだ。
とりあえず毛布の上に寝かせて床に置いておいた。身動き一つしなかったが、20分もすると立てるまで回復した。しかしまだ元気がない。
お腹が空いているようだ。皿に少しだけ温めたミルクを入れて置いてやると、可愛い仕草を見せながらそれを飲んだ。
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