守護霊の正しい使い方

渡辺海

第一章

第1話.シラメとの出会い

 『よっ』


 電車に乗っていると後ろから声をかけられた。全く聞き覚えのない声だ。


 ドアの近くで誰かの知り合いが再会したのだろう。


 いずれにしろ僕には関係のないことだ。そう思っていた。


 『おーい、君に言っているんだよ』

 

 ーうるさい。ここは電車の中だぞ。どこの誰が大声あげてるのか知らんけど、もう少し声を下げろよ。

 

 そう思ったタイミングだった。

 

 『そっか…じゃまた後で』


 まるで僕の心を読んだかのようなタイミングだったので、驚いて上ずった声が出てしまった。周りの人の視線が一気にこちらを向く。すいません…驚かせちゃったな…。電車がちょうど駅に着いた。人を避けながら逃げるように電車を降りた。


 ー急に話しかけるなよ。驚くだろ

 

 『そうかぁ、ごめんよ』

 

 ーというか君は誰だ

 

 『僕のことは…シラメって呼んでくれ。君を守ることになったから、挨拶をしにき た』

 

 ーえっ。つまり…僕の守護霊?

 

 『そっ。だから君の心も簡単に読める』

 

 ーマジかよ…。

 

 『何か問題でもあるのか?』

 

 ーいや…別に…。

 

 『まっ、そういうことでよろしく』

 

 ー少し聞いていいか?

 

 『ん?別にいいけどどうした?』

 

 ーまずは、君の声は僕にしか聞こえないのか?

 

 『そうだよ。特別だからね』

 

 ーあと、守護霊は簡単に変わるものなのか?

 

 『普通は変わらないけど…霊界でクーデターがあって、今までの守護霊は皆追放されちゃった。そして新しく僕達が任命されたってわけ。』

 

 ー…ってことは君の前にも僕には守護霊がいたの?

 

 『そゆこと。誰だって小さい頃から守護霊がいるんだよ。ま、君に挨拶はしなかったけどね』

 

 ーなんで挨拶しなかったんだよ

 

 『そればっかりは…規則だし仕方ないんじゃ?』

 

 ー…。

 

 『とりあえずこの先、世の中は大きく変わる。それだけ言っておくよ。それじゃ』


 そして翌日の朝。適当にテレビをつけてトーストをかじる。テレビに出たのはニュースだった。


 目を見張るような内容だった。「守護霊とは」と大きく書かれていたからだ。


 『ほらな?大きく変わるって言ったろ?』

 

 昨日聞いたシラメの声が耳元で聞こえる。

 

 ーまぁ…そうだな

 

 『あ、1つ思い出した』

 

 ーん?何を思い出したんだ?

 

 『君に渡しておくものがある』


 そしてテーブルの上に何か置かれた。手に持ってよく観察する。

 

 『これがブレスレット。僕を呼び出せるよ』

 

 つまり、いつでも会話できるということだ。とりあえず手に着けておくことにし た。

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