第47話 北東への道

 ダリア先生の側近であるローブの人に連れられるまま、俺たちは王都の北東へと向かっていた。


 サッサ・ロンドがいるというギルドまでの道のり、定期的にホロが敵の配置を指摘してくれており、それを参考にローブの人は適切なルートを確保しながら俺たちは順調に進んでいた。


 幾度かルートを変えることしばらく、俺達は思いのほか簡単にサッサ・ロンドのギルド拠点の傍へとたどり着いた。


 そこは、王都の中とは思えないほどに異国情緒あふれる場所であり、特に美しい花々や植物がたくさん生えているのが目に留まった。


 まるで別世界に来たような感覚になっていると、ローブの人が話しかけてきた。


「ここが賢者サッサ・ロンドのギルド、黒百合の園となります」

「武闘派だと聞いていたから、もう少し武骨なイメージだったが、花が好きなんだな」


「彼女は今、ちょうどこの屋敷の真ん中にある部屋で、部下がホロ・グラムベリーを連れてくるのを待っていると思われます」

「随分と詳しいな、どうしてそこまでわかる?」


「あなた達を迎えに行く前まで、偵察を行っていましたので」

「・・・・・・それもダリア先生の命令なのか?」


「はい、ともあれ黒百合の園にある屋敷にいることは間違いなさそうです」

「じゃあ、早速侵入と行きたい所だが、向こうがホロを狙っているとなると、ダリア先生にかくまってもらった方がよかったかもな」

「そんなことはありませんジュジュ様、あのいけ好かない女に一撃食らわせない事にはこの恨みは晴れません」


 ホロは、真剣なまなざしでそういった。


「そうか、ならこの作戦はホロを中心に考えよう、雑魚は俺がすべて引き受けてサッサロンドへの道を切り開く、サンゴはホロのサポートをしてやってくれ」

「え、私がこの人のサポートをっ?」


「あぁ、頼めるか?」

「ジュジュさんがそういうのでしたら、わかりました」

 

 サンゴは少し困った様子で承諾したのだが、ホロは納得いかない様子で声を上げた。


「ジュジュ様、私にサポートなど必要ありません」

「念のためだ、相手は賢者なんだろ、念には念を入れておかないとな」

「・・・・・・わ、わかりました」


 しぶしぶではあるが、二人とも納得した様子を見せてくれた。そのうえで俺はローブの人にお願いして先導してもらう形で、黒百合の園へと潜入を始めることになった。


 黒百合の園への侵入は庭師専用出入り口から行うらしく、早速そこに向かうとそこには小さな扉と門番が一人立っていた。


 俺は、すかさずクロコを呼び出し、影を使って大きなクモの姿に変形させると、サンゴとホロが叫び声を上げそうになったが、すぐさまその口をふさいだ。


「ここでバレたら台無しだ、我慢しろ」


 二人は必死の形相でうなづくと、それを確認した後、門番の死角へとクモを這わせた。そして頃合いを見計らってクモに物音を立たせると、門番はすぐにクモを発見した様子を見せた。


 このまま恐怖で逃げ出してくれれば最善だが、果たしてどうなる事やら。


 そう思って門番の様子を見ていると、奴は叫び声をあげる事も何かをする気配もなくただただ突っ立っていた。だが、門番はやがてまるで棒の様に直立不動のまま倒れてしまった。


 その様子に俺たちは門番の元へと向かうと、そいつは泡を吹いて気絶していた。


 気の毒とは思いつつも、これで難なく黒百合の園に侵入する事が俺たちは、周囲に警戒しながらサッサ・ロンドがいる屋敷へと難なく侵入することに成功した。

 

 あまりにもうまくいきすぎる展開に多少の警戒をしながらも、この勢いのまま屋敷の本丸へと向かった。

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