第34話-世界への波紋バリキーの暗躍-
「浄化……成功しましたね」
白石先生が安堵の息を漏らしながらポータルを見つめる。健太も計測器の数値が正常に戻ったのを確認し、深く頷いた。美咲は、枯れた黒い植物の跡から新しく咲いた小さな白い花を見つけ、そっと指で撫でていた。
「まるで、世界が息を吹き返したみたい」
その美咲の言葉に、私も深く頷いた。私の内側から湧き出る温かな光も、ポータルの浄化に呼応するように、より澄み渡っていくのを感じていた。
研究所に戻った私たちは、今回の戦いの詳細と、ポータルの浄化メカニズムについて白石先生と共に分析を進めた。私の中の光が、
「佐藤さんの力は、まさに“光の導き手”ですね。この力こそが、
白石先生の言葉は、私に大きな責任と、そして確かな使命感を与えてくれた。
──数日後。
研究所には、世界中から緊急の報告が相次いだ。私たちが浄化したあのポータルだけでなく、世界各地でも同様の現象が発生していたのだ。黒い靄に包まれ、不穏なエネルギーを放つポータルが現れ、そこから現れる存在は、これまでのモンスター以上に悪質で、各地に混乱をもたらし始めていた。
「これは……
白石先生は、世界地図に示された赤い点を指しながら厳しい表情で言った。赤い点は、バリキーの影響を受けているポータルの位置を示していた。その数は日を追うごとに増えている。
「このまま放置すれば、世界は闇に飲まれてしまうでしょう」
私は、強く拳を握った。あの夢で聞いた、デーモンの最後の言葉が蘇る。
『……光は繋がり……真なる敵は……深淵に潜む……警戒を怠るな……特に……お前……光の導き手……』
「私に、何ができるのでしょうか」
私の問いに、白石先生はまっすぐ私を見つめて言った。
「佐藤さん。あなたの光の力は、世界を救うための鍵です。私たちは国際的な協力体制を構築し、各地のポータルを浄化するプロジェクトを立ち上げます。あなたには、その中核として、世界を巡ってもらいたいのです」
世界を巡る旅──平凡な女子大生だった私には、あまりにも壮大な話だった。でも、私には美咲と健太がいる。そして白石先生も、全力で支えてくれる。
「分かりました。私にできることなら、何でもします」
私の返答に、白石先生は深く頷いた。
「ありがとうございます。これは、人類の未来をかけた戦いです」
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