第49話
私はこの場から一刻も早く逃げたかったので蹴られた痛みも忘れて無我夢中で家まで走った。
自分の住むマンションに戻りバタバタと鍵を開ける。
玄関に入り、急いで鍵を閉めその場に座り込んだとこで自分が震えてるのに気付く。
暫くは玄関に座り込んだまま震えが収まるのを待った。
落ち着きを取り戻してリビングへ向かおうと体に力を入れると
「うっあ、痛っ」
立ちあがろうと床についた手も蹴られたお腹も痛い。
痛みを気にしながらリビングへ行き、灯りの下で自分の体を確認する。
強く掴まれた右手首はあざの様になっていたし、蹴られたお腹は赤紫色に変色していた。
他にも突き飛ばされたときに出来たであろう軽い傷があったりした。
「うわ…これどーしよ。」
手首のあざを隠すには長袖が必須だけどまだ暑さを感じる今、大勢の人が半袖を着ている。
でも大学で寧々に会いあざを見られたら絶対に心配されるし、、と考えたところで私は気付いた。
またあいつらに会うことがあれば次もこの程度で助かるかなんて分からない。
会わなければいいことなんだけど、でもここ1ヶ月で何度もこの近くのスーパーやコンビニで会ってるんだから私がこの辺に住んでるってことはあいつらにもバレてるはず。
大学にも行かないといけないし、買い物にも行くとなればあいつらに会うのも時間の問題じゃないか。
そう思うとまた体が震えてきた。
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