第44話

クラブに着くと寧々は早速「いい男探してくる!」と中央に男女がたくさん集まる場所へ駆けていく。


私はバーの方へ向かい遼さんを探す。


「え…」


バーのカウンターの横に居た遼さんは2人の男性と話しているのを見つけた。が、その1人がとても見覚えのある後ろ姿だったから私は声を掛けた。


「奏?」


「…は?」


そう。見覚えのある後ろ姿は奏のもの。


振り向いた奏はとても驚いたように口を開いていた。


「あ、音ちゃんだ。久しぶり。」


「あ、裕哉さんお久しぶりです。」


奏と居たのは裕哉さんだった。


「何でこんなとこ来てんの?」


「だめなの?あ、遼さん昨日のタクシー代返そうと思って…」


質問をしてくる奏に適当に返事をして横にいた遼さんにお金を返そうとすると


「いやいや、気にしないでって言ったじゃん、勝手にタクシー呼んだのはこっちだし、お金は要らないよ。」


「昨日って…は?音そんなここ通ってんの?」


「昨日友達に誘われて初めて来ただけだよ。」


「あー。…伊織には…会った?」


私が伊織さんを好きなことは知ってるから奏は心配だったんだろう。


「うん。」


「そっか。」


奏には心配をかけたくない。

大丈夫だと言うようにしっかりと目を見て答えると奏はちゃんと察してくれた様で私の頭にぽんと手を置いて微笑んだ。


「ねえ音ちゃん、その服似合ってんね。」


「あ…りがとうございます。」


「何か、綺麗な黒髪のストレートロングで背中隠れてるけど、動いた時に真っ白な背中が見えてるのめっちゃエロい。」


まさか裕哉さんにそんなことを言われるとは思ってなくて顔に熱が集まるのが自分でもすぐに分かった。








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