第11話
「怖いんなら手、繋いでていーよ。」
そんな事を言われて思わず私は軽く手を握り返した。
私が手を握り返した時、イオリさんがフッと笑った様な気がした。
それからは繋いでいる手に意識が集中してしまい、何も怖さを感じないまま出口に近づいた。
みんなが出口をくぐる中、ぐいっと手を引かれた私は気付くとお化け屋敷の暗幕の裏側にいた。
「え…」
「しーっ」
人差し指を私の口元に立てるイオリさん。
それだけで私の顔に熱が集まるのが分かった。
みんなが出て行くのを確認すると
「名前は?」
少しの明かりはあるものの、暗がりの中私の正面に立つイオリさんは壁に寄りかかって私の片手を繋ぎながら問いかける。
「お、音…です…」
「音ちゃんか」
かわいい名前だね…なんて呟きながら繋いでいた手を恋人繋ぎに変えてきた。
「音ちゃん、俺と遊ばない?」
ふわりとした笑顔を見せながら聞いてくる。
「えっ?あ、あの…遊ぶって…」
多分、イオリさんが言ってる"遊び"とはそういうことだろう。
決して純粋な遊びではないはず。
これだけかっこいいなら周りの女の子達が放っておかないのも分かる。
きっと沢山の女の子達と遊んできたんだろうとも思っていたけど、、
やっぱり私は"そういうコト"が目的の遊び相手にはなりたくない。大前提に何の経験もない私が相手をする事なんで出来ない。
「あ…の…わたしは…んっっ!!」
断ろうと思った時、いきなり私の腰を引き寄せながらキスをしてきたイオリさん。
体を回転させ、さっきイオリさんが寄りかかっていた壁に今度は私を押し付ける。
後ろに逃げ場のない私の顎を指で上げるようにしながら深い口付けを始める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます