第27話 行動は言葉より雄弁である
秋の風が校庭の木々を揺らす放課後、
中学三年生の真央は、友達の輪の外でひとりベンチに腰掛けていた。
クラスのリーダー的な存在で、「みんなをまとめて」と先生や友人に頼られることも多かったが、最近は自分の“言葉”が本当に届いているのか不安になる日が増えていた。
文化祭の準備で意見がぶつかり、みんなの輪が少しずつバラバラになりかけていた。
「話し合いをしよう」と何度も提案したけれど、空気は重くなるばかり。
「なんでみんな、分かってくれないんだろう」
そんな苛立ちと無力感に、心がくじけそうになった。
その日の夜、父とリビングで夕食を囲みながら愚痴をこぼした。
「私、リーダー向いてないかも。いくら言葉で伝えても、みんな動いてくれない」
父はしばらく黙って聞いた後で、ゆっくり話し始めた。
「シェイクスピアの言葉を知ってるか? “行動は言葉より雄弁である”――どんなに立派なことを言っても、行動が伴わなければ、人の心は動かない。
本当に大切なのは、“言葉”よりもまず“やってみせること”だよ」
その夜、真央はなかなか寝付けなかった。
翌日、学校に行くと、文化祭の装飾物がいくつも手つかずのまま積まれていた。
「みんな、どうしたらいいかわからないんだ」
そう思った真央は、昼休みに一人で教室に残り、誰よりも早くペンキ塗りを始めた。
「とりあえず一つやってみるか」
手を真っ赤に染めて、夢中で作業を進める。
やがて、一人、また一人と友達が集まってきた。
「何やってるの?」「手伝おうか?」
無理に声をかけたわけではない。ただ、一人で黙々と作業する真央の姿が、自然とみんなの背中を押したのだった。
放課後には、クラスの半分以上が集まり、和気あいあいと装飾作りに夢中になった。
普段は無口な男子が重い段ボールを運び、友達同士でアイデアを出し合い、失敗しても笑い合える空気が戻ってきた。
「真央が率先して動いてくれるから、やる気が出たよ」
誰かがそう言ってくれたとき、真央は心の底からうれしかった。
文化祭当日、クラスの展示は大盛況だった。
先生も、「みんなが力を合わせて、本当にいいものを作れたな」と褒めてくれた。
祭りのあと、帰り道で友達が真央に言った。
「言葉も大事だけど、やっぱり“行動”があると、みんな自然とついてくるんだね」
真央は静かに頷き、「これからは“やってみせる”ことを大切にしよう」と心に誓った。
言葉だけでなく、行動で示す――
それが、本当に人の心を動かす力になるのだと、真央は身をもって知った。
【コラム】偉人と名言
ウィリアム・シェイクスピア
「行動は言葉より雄弁である」
Action is eloquence.
ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)はイギリスの劇作家・詩人で、『ハムレット』『ロミオとジュリエット』『リア王』など数々の名作を生み出しました。
彼は「どんなに美しい言葉を並べても、実際に行動しなければその価値は半減してしまう」と教えています。
言葉で伝えることも大切ですが、
本当に誰かの心を動かすのは、黙っていても“行動”が語りかける力なのです。
迷ったとき、悩んだときは、
まず一歩、自分から行動してみてください。
その姿が、きっと周りの人の勇気や希望につながっていきます。
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